第4話 討伐対象設定
ユウキは朝ごはんに、鶏のような魔物の卵を使った目玉焼きとパンを作った。今回は焦がすこともなく、いい感じに作ることができたのだ。早速どんなふうに食べているのか見るために、剣の前に朝ご飯を置いた。
「食べていいよ」
【い、いやぁ……お腹空いてないからまた後でにしてくれない?】
「……そう。じゃあ食べちゃうよ?」
そう言って、わざと大げさに美味しそうに食べ始めた。それを羨ましそうに剣は眺めている。
「ふぅ~、美味しかったぁ……」
膨らんだお腹をさすりながら、ユウキは剣に聞こえるように大きな声で言った。
【え……? マジで?】
驚いたような声で剣はそう呟いていたが、気にせずユウキは剣を手に取った。
「さて、お腹いっぱいになったことだし、レベルを上げに行こう!」
靴を履いて外に出た。スライムと会った時よりも、暑くなった気がする。
ユウキはレベルを上げるために巨木の前に立って、剣を構えた。その時、剣から音声が流れ始めた。
【ちなみになんだけど、魔物倒したときの方がレベルが圧倒的に上がりやすいぞ!】
「マジで!?」
その音声を聞いたユウキは、すぐに家の近くの魔物が多いエリアへ向かって走り出した。
「そう言えば……スライムにも勝てないのにどうやって倒すんだ……?」
魔物が多いエリアに着いてからユウキは気付いた。
どうしようか、と悩んでいると、近くの茂みからスライムが出てきた。スライムはユウキの存在にまだ気付いていないようだ。
「一回で倒せないなら、倒せるまで殴り続けてやる!」
それから約20分――――
ひたすらスライムを殴っては、攻撃されないように距離を取る、を繰り返してようやく倒すことができた。
【レベルアップ レベルが 69 に上昇しました 魔物撃破ボーナス 有り】
「ほおおおぉぉぉぉっ! 凄い! 本当にめっちゃ上がった!」
攻撃力は121も上がっていた。
「マジか……なんかスゴい! これのレベル上限ってどれぐらいなのかな……?」
【上限無し】
「え……? わぉ……じゃあ無限に強くなれるってこと!?」
【多分。知らんけどね】
「マジかぁ……! じゃあ強くなったら魔王殺しに行くか!」
ユウキはどこまでも強くなれると聞いて、調子に乗って大きすぎる目標を立ててしまった。
【設定しました。討伐目標 魔王】
「……え? 今なんて言った……?」
【一年以内に倒せないと、この剣の所有者は呪い殺されます】
この音声を聞いて、ユウキは絶望した。もともとクソ雑魚だったのに、一年以内に魔王なんて倒せるわけない。攻撃力も少しずつ上がってきているが、ユウキ自身のレベルが上がっているわけではないので、防御力はゴミのまま。しかも攻撃力が上がっているとは言っても、分かりやすい(?)たとえで言えば攻撃力が121上がったのは、握力が0.5kg増えた程度だ。まぁ、要するに雑魚のままということだ。
「いやぁ、まさかほんとに死ぬなんて事はないよね? うん。きっとそうだ。忘れよう」
【いや、マジのマジのです】
「………」
ユウキはレベルアップするために、急いで魔物を探し始めた。