第3話 スライムだ! これなら流石に勝てるよな……?
カーテンが風で揺れ、朝日が入ってきた。それと同時にちょうどユウキは目が覚めた。
「……もう朝かぁ」
カーテンをずらして視線を窓の外に向けながら呟いた。
「………あ、そう言えば剣どうなってるんだろう……?」
昨日クソ不味そうなご飯をあげて、悲鳴が聞こえてきたのを思い出したユウキは、急いで剣のいたリビングに向かった。
「大丈夫か……って、え? どうした?」
リビングにはぐったりとして、倒れている剣がいた。
【あぁ……お前か……ハァ…ハァ…昨日の…ハァ……ご飯…ハァ…美味しかっt……うっぷ……】
「え? 美味しかった? じゃあ、また作ってあげるから楽しみにしててね☆」
ユウキがそう言うと、ぐったりとしていた剣が、いきなり情けない声で叫びだした。
【や……止めてくれぇ! あ、ちが……違う! いやぁ、そのぉ……やっぱり自分剣ですし? ご飯食べなくてもいいと言うか……】
「いや、大丈夫だよ! 遠慮しないで! 今日も作ってあげるね!」
わざとらしく、煽るような口調でそう言った。
【止めてくれぇぇぇぇぇぇぇぇ!】
「ほんとに遠慮しなくていいから! そんなことよりレベルアップさせるよ!」
ユウキは何か必死に訴えてくる剣を手に取り、外へ出た。外に出ると、目の前に水色のプヨプヨのスライムが気持ち良さそうに日向ぼっこしているのを見つけた。
「ちょうど良いのがいるじゃないか!」
【ちょっと、ほんとに嫌なんだけど……】
ユウキは剣が何か言っているのを無視して人生で一度も勝ったことがない、クソ雑魚モンスターのスライムに襲いかかった。
「ああああぁぁぁぁぁ!」
【嫌だぁぁぁぁぁぁぁ!】
そう叫びながら剣に力を込め、スライムに殴りかかった。
ぷよんっ
剣はスライムに弾かれてしまった。
「うそぉ……マジか……これでも勝てないの……?」
襲われたスライムは日向ぼっこを邪魔されて、相当キレているようだ。
「す……すみませんでしたぁ!」
ユウキはそう言って、一目散にスライムから逃げるようにして家に向かって走り出した。
家に戻ると、安心したように地面に座り込んだ。
「怖かった……。これでもまだスライムに勝てないのか……」
【うん。そんなのどうでもいいから今日のご飯抜きでお願いします】
「わかった。たっぷり作ってあげるよ!」
【止めてくれええぇぇぇぇぇ!】
ユウキは剣がどうやってご飯を食べているのか気になっていたので、今日のご飯で観察することにした。