第12話 気温上昇
【お前を殺せば………毎日お腹壊していた地獄から解放されるんだぁ!】
そう、変なことを叫びながら裸のおっさん(剣)は氷竜に殴りかかった。
氷竜は変な見た目のヤツだから舐めているのだろう。渾身のパンチを避けようとせず、じっとおっさんを見つめていた。
ペチン、という氷竜の肌を叩いたのであろう音が聞こえてきた。
それから3秒ほど経ったが、氷竜に変化は起きなかった。
「やっぱり………。あんなショボそうなパンチでダメージが入るわけ無いよな………」
そう呟いて、氷竜が怒って攻撃してくる前に逃げようと、裸のおっさんを置いてけぼりにして森林の方へ足を進めた時、後ろからとても苦しそうな氷竜の断末魔が聞こえて来た。
「え!?」
驚いて振り返るとそこには、氷が割れるように崩れ落ちて消滅していく、氷竜の姿が目に入った。それと同時に気温が急に上がったのか、とても暑くなった気がした。
崩れて消滅していっている氷竜の前には、モザイク必須のムキムキのおっさんがドヤ顔こちらを見ていた。
【見たか? これがオレのチカラだ】
「マジ………か………」
【スゴいだろぅ?】
ドヤ顔を見ているだけで吐きそうな気がしたので、視線を他の場所へ移した。
「その………本当の姿………、っていうの? それ見せちゃって大丈夫だったの?」
【あー………。ヤベぇ………忘れてくんね?】
「無理。いや、インパクト強すぎて忘れたくても忘れられねぇよ!」
こんないかにもヤバそうなおっさんなんて忘れられるわけが無い。しかも剣から生まれるというオマケ付き。
【そうかぁー。じゃあ仕方ない、オレの本当の姿を教えてやる!】
そう言いながらモザイク必須な場所を隠さずに腕組をして、真剣な顔つきになった。




