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デブとブタ  作者: コヨコヨ
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部活(3)

「あの~どうして、合同部っていう名前があるのにそれぞれの部活を名乗っているんですか…」

僕は気になったのでつい聞いてしまった。

「ア?」「え?」「は?」「ん?」

それぞれ、反応は違ったが何か同じ感情を感じた。

「合同部?そんなもん知らねえよ。先生たちが勝手に私たちの部活をくっ付けちまったんだ。わが科学部はこの学校創立からある古参なんだよ。それなのに、部員が1人になったら廃部になるか合併するかどちらかを強制的に選ばされたんだ。それなら、少しでも生き残る可能性を考えただけだ。合同部とやらになった覚えはない!」

「だいたい同じかな。私のアニメ漫画研究部はそれほど長いことやっていたわけじゃないけど、先輩たちが頑張ってきたから私も残してあげたいと思ったの」

「俺はただカメラが好きだっただけ。この部活がなくなったら、堂々とカメラ持ち歩けなくなるからな」

「私は、自分の居場所がなくなるのが嫌で、それで廃部になりそうだと言われたときはすごく動揺した、でも合併したら残すことが出来ると言われたから…」

「それぞれに理由があるんですね」

「ま、そういう事だ。だが君たち2人が入ってくれたということは、それぞれ3人ずつになったわけだ、後1人加えれば、元の部活に元通りになるってわけ」

「なるほど、つまり私たちは合同部という1つの部活に入ったと思ったら、実は4つの部活に入っていたということですか」

「そういう事」

「い、いやいやちょっと待ってくださいよ!4つの部活に入ることなんてできるんですか。そもそも、僕は合同部に入るつもりだったんです。いきなり、4つの部活に入れって言われても」

「あ~大丈夫、大丈夫。どの部活もそれほどハードじゃないし。運動部みたいに毎日あるようなものじゃないから。4つくらい余裕余裕」

「いや、そういう問題では…」

「私、やります。先輩方よろしくお願いします」

ちょっと、ツグミちゃん、何言ってるの…そんなことツグミちゃんが言ったら。

「ほら、そっちの方はやるってよ。お前はどうするんだ?まさか、ビビッてるのか?そっちの方はやる気満々だってのに」

「ぼ、僕ももちろん入ります」

あ~あ、やっちゃった。

「よし、決まり!お前らの紙に名前とハンコを押してやるよ」

そう言われ、4人分の名前とハンコを押された。

「あとは、お前たちの名前を書いて先生に提出すれば、晴れて部活の仲間入りだ!そう言えば、お前たちの名前をまだ聞いていなかったな」

「あ、すみません。私の名前は矢部ツグミと言います。好きなことは食べること、嫌いなことは運動することです。精一杯頑張りますのでよろしくお願いします」

「うん、見ればわかる」×4

「ぼ、僕の名前は池田暖と言います。好きなことは食べること、嫌いなことは運動することです」

「うん、見ればわかる」×4

「それじゃあ、先生に提出してきますね」

「ああ、明日またここで説明するから、同じ時間になったら来な」

「わ、分かりました」


「は~、すごい部活に入ってしまったよ…」

「ほんとだね、でもすごく楽しそうだったよ」

「それはそうなんだけど。でも、こんな事認められるのかな」

僕たちは職員室に行き入部届を提出しに行った。

「良いですよ」

「良いんですか!」×2

「はい、ただ、4つの部活の名前は既に無くなってしまっているので、合同部という名前での提出になりますが、部活の中でしたら好きなようにしてもかまわないと校長先生からの指示ですので」

「そうですか…分かりました」

入部届を提出した後、いつもの帰り道。

「ねえ、池田君。今日はちょっと寄り道していかない?」

「寄り道?」

そう言ってツグミちゃんはいつもとは違う道を通って商店街までやってきた。

「商店街…久々に来た」

「そうでしょ。ここに来たら、池田君は私が何をしたいか分かるかな?」

「そりゃあ、勿論分かるよ。コロッケ!だよね」

「正解!さ、行こう」

このさびれた商店街で勇逸残り続けているのがここのコロッケ。

僕たちがまだ幼いころから残り続けている思い出の味。

昔よく、ツグミちゃんと食べに来てたっけ、うれしいこと、楽しいこと、悲しかったことなんかがあるとよくここのコロッケを食べに来たものだ。

最近はツグミちゃんのことを思い出しちゃうから来ないようにしてたけど…

「おばちゃん!コロッケ4つ!」

「ツグミちゃん流石に夕食前に食べ過ぎでは…僕も4つで」

「あら、あなた達、もしかして、暖君とツグミちゃんかい?」

「はい!覚えていてくれたんですか」

「もちろんよ、あれだけうちのコロッケをおいしそうに食べてくれた2人を忘れるものですか。またうちに来てくれてうれしいよ」

「私も、ここのコロッケを食べれて幸せです。今までは事情でこれなかったんですけど…でも、これからはまた通うことが出来るんです」

「そうかい、ありがとうね」

おばちゃんは少し悲しそうな顔をしていた。


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