出会い(2)
どうしてツグミちゃんが、ここに居るんだ?
確かに中学校は違ったけど、高校で会えるなんて思ってもみなかった。
でも、こんな姿を見られるなんて顔から火が出るほど恥ずかしい。
それにしても、ツグミちゃんもちょっとぽっちゃりしてたな、食べることが好きだったなんて、僕と同じでちょっとうれしいな。
ツグミちゃん、名字が変わってるから、きっといろいろあったんだろうな。
僕のこと覚えてくれてるかな、さっきまでこの姿を見られるのが嫌で仕方なかったのに、もう、違うことが気になってる。
僕ってこんなにツグミちゃんのこと気にしてたんだ。
「え~それでは皆の自己紹介が終わったということで、学級委員長と副委員長を決めたいと思います。誰か立候補してくれる人はいませんか?」
手を上げる生徒が一人もいなかった。
「それでは、誰か学級委員長に推薦したいという人はいますか?」と先生が聞くと。
「は~い、矢部さんがいいと思います」
一人の女子生徒がツグミちゃんを推薦した。
「は~い、私も矢部さんがいいと思います」
また違う一人の女子生徒がツグミちゃんを推薦した。
「矢部さん」
「はい」
「矢部さんに推薦があるのですが、やっていただけますか?」
「分かりました、頑張ろうと思います」
ツグミちゃん、本当に学級委員長したかったのかな?
それにしても、あの女子生徒とは仲良くなれる気がしないな。
「それでは、副委員長を決めます。誰か、やってくれる人はいませんか?」
どうしよう、どうしよう、僕なんかが副委員長をやっても何もできないだろうし、ツグミちゃんに迷惑をかけるだけだと思うし。
そう思い、手を上げるかどうかを迷っていた、その時。
「池田暖さん、私と一緒に副委員長をしてくれませんか」
「は、はい!」
(?!どうして、こうなった。何でツグミちゃんが僕のことを指名したの、いきなり名前を言われて、びっくりして思わず返事しちゃったよ)
「よかった、副委員長も決まったわね。二人はこの後、委員会があるから、学校に残っていてね。それじゃ、皆今日はお疲れさまでした、10時30分のチャイムが鳴ったら下校してくださいね」
10時30分になり、チャイムが鳴った。
みんな一斉に帰りだす。
「それじゃ、矢部さんと池田君、委員会よろしくね」
「分かりました×2」
「ごめんね、池田君巻き込んじゃって」
「い、いや、僕も手を上げようか迷ってたし。背中を押してくれてうれしかったというか」
「私を推薦したあの2人、中学校が同じなの。私はこの学校に受験して入ったんだけど、あの2人はスポーツ推薦で入ったみたい」
「そうなんだ、中学校でも学級委員長をしていたの?」
「3年間の間やってたから、なんとなくやることはわかるけど、池田君は大丈夫?」
「大丈夫、大丈夫、副委員長をやるくらい、学級委員長をやるより楽だからさ」
「ありがとう」
「何が?」
「何でもない、さあ、委員会に行こ」