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デブとブタ  作者: コヨコヨ
14/16

夜のグラウンド

そう言いながらも結局食べてしまった出雲先輩だった。

「ふ~美味しかったね」

「うん…美味しかった」

「ま、糖分補給くらいにはなったろ」

「出雲先輩が一番多く食べてましたけどね…」

「頭を使うと糖分が取りたくなるんだよ…」

「それにしても、さっきの人は誰なんですか?いまさら聞くのも何ですけど…」

「あぁ、あいつは私と同じクラスの中野桃子、幼稚園からの一緒の腐れ縁ってやつ」

「それにしては中悪かったですね…」

「色々と意見が分かれるんだよ、あいつとは昔から…」

「そうなんですね…」

――色々と複雑な関係のようだ…

「ま!そういう事だ。さっさと部室に戻って今日出来ることをするぞ」

「はい!」

僕たちは結局出だしの部室へと戻った。

「ん…何だよもう帰ってきたのか?早かったな」

「調理室が家庭科部に占領されてたんだよ。こっちが使ってるから今度にしろってさ、4人しかいねえんだから空いてるところ使わせてくれていいだろ…あいつは昔から堅苦しいんだよ」

「なら、南沢に連絡しないとあいつ色々買ってくるぞ」

「そうだな、真紀にも一応連絡しておくか」

「皆さん…一応連絡先は知ってるんですね」

「ま、連絡先知らねえと色々と面倒だからな。校長に集められたとき一応交換したんだ」

「なら私も入れてもらっていいですか!」

「別にいいぞ、それじゃあラインのIDかQRコード見せてくれ」

「はい!」

――僕はこの流れで、一気に5人の連絡先をゲットしてしまった。今まで親と執事さんの連絡先しかなかった僕にとってはとても嬉しい誤算だ。

「それじゃあ、今日の所はここら辺で解散だな」

「そうだな、そろそろ雨が降ってきそうだ。降水確率80%だってよ、お前らもさっさと帰った方がいいぞ」

「分かりました、今日もありがとうございました」

「おう!気を付けて帰れよ」

「は~、今日も楽しかったね!美味しいケーキも食べられたし」

「そうだね、調理室を使えなかったのは残念だったけど。あ!ごめん、ツグミちゃん。僕今日中に先生に渡さないといけない宿題があったんだ。ごめんけど、先に帰っててくれる」

「そうなんだ、分かった。それじゃあね池田君!また明日」

「うん、また明日」

ツグミちゃんは手を振って先に帰って行った。

「あ~早く教室に戻って宿題のノートを先生に提出しに行かないと雨が降ってしまう。今日は傘を持ってきてないんだ」

僕は教室に付き、誰もいない教室の扉を開け、電気を付ける。

「え~と…確かここに、あった!宿題のページは…て!あと1ページやってない!もう提出時間過ぎちゃうよ!」

速攻で残っていた宿題を終わらせ、先生に提出しに行く。

「遅れてしまってすみませんでした!」

「大丈夫、提出しに来るだけまだましだよ。いつまでたっても出さないやつもいるから」

――案外あっさり許してもらえた…良かった。僕のとりえと言ったら誠実さくらいしかないからな…。

僕が宿題を提出したころにはもう午後7時になっており、外は既に真っ暗の状態だった。

グラウンドのライトがまだついているおかげか、少なからず職員室から下駄箱までの道は転ばずに済みそうだ。

しかし…

「あ…やっぱ降ってるよな…」

降水確率80%はだてではなく、既に大量の雨が降っていた。

「迎えに来てもらわないと…まぁ多分すぐ近くにいるから。電話すれば…あ」

――しまった…連絡先を交換した時、部室の机に置いたままだ。

「取りに行くか…」

比較的下駄箱から部室までの距離は近い、問題はカギがかかっているかどうかだ。

部室の前に付きドアに手を掛ける、少し力を入れるとドアは動いた。

「あ…良かったカギ空いてる」

すぐさま部室に入り、机の上に置いたままになっているスマホを手に取ると。

「うわ…執事さんからのラインが1分おきに送られてきてるよ…」

すぐさま執事さんに連絡し滅茶苦茶心配されたが、すぐ迎えに来てくれることになった。

「は~、心配かけちゃったな。…ん?こんな時間に外からまだなんか聞こえる…」

僕は部室の窓から外を覗くと、1人の生徒がこんな時間さらに雨だというのにグラウンドを走っている姿を見つけた。

その時僕は無意識にカメラを手に持っており…気が付いた時には1枚の写真を撮ってしまった。

「は!ぼ…僕はいったい…どうしてカメラなんて」

撮った写真を確認すると…今まで撮った写真の中で最も良く撮れていると思た…

――これじゃあ…盗撮じゃないか…

写真を消そうと思ったが…保存ボタンを押していた。

「どうしてあの子はこんな時間に走ってるんだ…」


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