第8話 朝からグラウンドで走り込み
俺は朝から学校の校庭に来るように赤峰に言われていた。
言われた通り来たはいいけど、まだいないか。
そう思っていると遠くから声が聞こえた。
「青城ー!」
「えっ赤峰と、黄宮!?」
二人は朝から学校のグラウンドをジャージ姿で走っていた。
俺もジャージを持ってくるように言われて嫌な予感がしてたけど、もしかして走るために着替えろってことか。
走って近づいてきた赤峰が言った。
「いきなり呼んじゃってごめんね!」
「大丈夫だけど、もしかして走る為に呼んだの」
「うん! 体育祭までの体力づくりのために走った方がいいと思って!」
「だからって二人が俺に付き合う必要はないんだぞ」
「ふーんそんなこと言っちゃうんだ。朝から走ろうって言ったの、凛ちゃんなんだけどなぁ」
「えっ黄宮が!?」
黄宮の方を見ると、目を逸らされてしまう。
嫌われてる割には協力的だな。
「ありがとな黄宮!」
「どうせ青城くんは体力がなさそうだから、こうでもしないと代表になんて選ばれないと思っただけ」
「なんだよそれ」
呆れる俺に赤峰が顔を近づけて言う。
「あんなこと言ってるけど、男子の友達ができて嬉しいみたいだよ!」
「えっ俺と話した時は、友達にはまだならないとか言ってたけど」
「そうなんだ、凛ちゃんは素直になれないとこあるから大目に見て」
「うんわかった」
二人でこそこそと話す姿を見た黄宮が、話を遮るように言う。
「二人とも走るよ」
俺は急いで更衣室まで行きジャージに着替えて、グラウンドに向かった。
走る二人と合流して、俺も走り出す。
三人で一緒に走るが、目の前の二人は話しながら余裕そうにしている。
俺も走るのには自信あったんだけどな。
だんだんと置いていかれる俺を見て、赤峰がペースを落としてくれた。
「もう疲れちゃったの?」
「二人とも速すぎなんだよ」
「まあ私達陸上部だからね!」
「えっ陸上部なの!?」
「あっでも二年になる前に凛ちゃんが怪我でやめちゃったから、私も一緒にやめちゃった」
「でもちょっと前まで陸上部だったんだろ。道理で速いわけだ」
納得する俺に黄宮は冷たく言う。
「体育祭は部活とか関係ないけどね」
「まあ確かにな」
「それに陸上部の生徒に勝った方が注目されて、代表に選ばれやすくなるんじゃない?」
「それもそうだな。勝てるか分からないけどやれることはやってみよう」
「分からないじゃない、体育祭までに勝てるようにしてあげる!」
「そうしてくれるのはいいけど、今日は俺、放課後に久しぶりのバイトだからお手柔らかにな」
横で聞いてた赤峰が話しに入ってくる。
「私達もバイトだよ! 優しく教えてたら誰にも勝てないよ!」
「赤峰もスパルタだな……」
「えへへっ頑張ろう、じゃあ行くよー!」
「おう!」
黄宮はスパルタだと思ったけど、赤峰も意外と厳しいみたいだ。
弱音を吐くわけにもいかないよな。
体育祭で代表になりたいのは俺なんだ。
二人に協力してもらってるんだから、本気で頑張ろう。
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