第7話 昨日のこと
「ねえ昨日はどうだった!」
昼休みの教室で笑顔の赤峰が、昨日の事を聞いてきた。
「なんとか誤解は解けたみたい」
「誤解? どんな事を話したの」
「そうだ赤峰にも話さないとな。学校で流れてる俺の噂は、全部嘘なんだ。浮気されたのは俺なのに、冬休み明けの学校に来たら俺が浮気してたことにされてたんだよ」
「えー!」
黄宮にした説明と同じような事を話すと、赤峰は驚いていた。
それにしても最初はツンとしていた赤峰も、仲良くなったら全然印象が違うな。
感心する俺を見て、赤峰がスマホを取り出した。
「あっそういえばさ、昨日凛ちゃんからメッセージきてたんだけど」
「なんてきてたんだ」
「青城くんが、復讐したいなら体育祭がいいんじゃないかなって。この復讐って、浮気相手のことだよね?」
「多分そうだと思う」
「体育祭で復讐ってどういうことなんだろうね」
体育祭で復讐か……どういう意味だろう。
親友の悟に競技で勝って、見返してやるとか。
いや黄宮が考えるなら、そんなぬるい事じゃないはずだ。
体育祭で印象的なことは……そうだ。
学年ごとに全ての競技で活躍した生徒を一人代表で、インタビューみたいなことをするんだよな。
そこであの二人の事を言えば復讐になりそうだ。
でもそしたら、二人の居場所が学校になくなる。
庇うわけじゃないけど、俺はそういう復讐はしたくない。
黙って考え込む俺を、赤峰は心配そうに見てきた。
「大丈夫?」
「う、うん大丈夫だよ」
「体育祭でなにかあったけ……」
「多分だけど、学年ごとに競技で活躍した生徒一人を代表にしてインタビューするやつの事を黄宮は言ってるんだと思う」
「あっそこで浮気相手の事を言っちゃえばいいってこと!?」
「うん、でも二人の名前は出したくない」
「えっなんで?」
「俺みたいに学校で居場所はなくなってほしくないんだ」
「ふーん、二人は青城にそういうことしたのに?」
「ちょっと考え方が甘いかな……」
苦笑いする俺を見て赤峰は首を振る。
「ううん、そんなことないよ。青城がしたいことをすればいいと思う!」
「俺がしたい事」
「うん! 復讐じゃないやり方がいいんでしょ」
「そうだな、俺は学校の生徒の誤解が解けたらそれでいい」
「それでいいと思う!」
「赤峰が俺の立場だったらどうするんだ?」
「それはもう、私だったらコテンパンに言うよ!」
「やっぱりその方がいいのかな」
「でも私は私で、青城は青城でしょ! そういう考え方をする青城も好きだよ」
「好きって」
「いやそういう好きじゃなくて……あの、その友達としての」
「わかってるよ! ありがとな」
自分の言葉で赤峰は動揺していた。
簡単に言ったはいいけど体育祭で代表になるなら、いろいろ準備が必要だな。
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