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第3話 赤峰の洋服選び

 腕を引かれ連れていかれたのは、駅の近くにある洋服店だった。

 レディースの服しかないお店に入るのは、元カノと付き合ってた時以来だな。

 少し気まずいけど、一緒に選ぶのは楽しかった思い出がある。


「なにぼーっとしてるの?」


 立ち止まっていたら、赤峰あかみねが話し掛けてきた。


「あっごめん、ちょっと思い出しちゃってさ」

「もしかして元カノの事?」

「う、うん」

「あんなことになっても思い出しちゃうんだ」

「いや、そういうわけじゃないけど」

「まあ別にいいけど、でもこれからはその思い出も私で塗り替えていこうよ」

「それってどういう……」


 どういう意味か聞こうとしたが、赤峰はお店に入って行ってしまった。

 洋服店の中にはゆるふわな感じの服が多く、どの服も淡い色をしている。

 赤峰と出掛けたことはないから制服の姿しか見たことなかったけど、こういう服が好きなのか。

 店の中を見ながら歩いていると赤峰がそでを引っ張ってきた。


「見てこれ! 似合うかな?」


 水色の服を指さしながら俺に言う。


「どうせなら試着してみたらどうかな?」

「うん、そうする!」


 はしゃいだ様子で試着室に向かっていく。

 これじゃあ赤峰とデートしてるみたいだな。

 なんかそう考えたら、変に意識しそうになってきた。


 試着室の目の前で待っていると赤峰がカーテン越しに口を開く。


「ねえ着替えたから開けてみて」

「うん」


 開けるとそこにはいつもと違った雰囲気の赤峰が、恥ずかしそうに立っていた。

 似合ってて可愛い。

 でもよく見ると胸元が目立つような服になっていて、さっき意識したせいもあって思わず胸に目がいってしまう。

 それに気づいた赤峰がカーテンで隠すようにしながら言った。


「へんたいっ……」

「ご、ごめん。意外とそこが強調されてたから」

「み、見るのはいいけど……周りの子と比べて大きいから、恥ずかしい」

「へっ?」

「あっまた見てる! 変な声出しながら見ないで!」


 怒られてカーテンを閉められてしまった。

 周りの子と比べて大きいなんて言われたら、意識してなくても見ちゃうだろ。

 言われてみれば大きかったな、普段は気にしてなかったけど着痩せするタイプなのか。

 いや、何考えてんだよ俺は。

 せっかく友達になれたんだ、しっかりしないと。

 

 しばらくして試着室から赤峰が出てきた。


「あんな反応したんだから似合ってたってことだよね?」

「うん、めちゃくちゃ可愛かったよ」

「ありがとう……じゃあさっき胸見てきたからさ。選んでほしいものがあるの」

「えっ?」


 選んでほしいものってまさか……。


 俺の嫌な予感は当たっていた。

 同じお店にある下着コーナーの目の前で立ち止まり、頬を赤らめた赤峰が言う。


青城あおきはどういうのが好きなの……」

「もしかしてこれを選ぶの!?」

「そ、そうだよ……私の胸見たんだから、お詫びとして選んでよ!」

「赤峰が言うなら、わかった」


 彼女がいた時も選んだことなんてなかったのに、赤峰のを選んでいいのか。


 じっと見てたら恥ずかしくなってきた、早く俺が好きなのを選ぼう。

 俺はピンクの透けている下着を指さした。


「こういうのはどうかな?」

「ふーんこういうのが好きなんだ、ちょっと透けてるじゃん……えっち」

「赤峰が好きなのを選べって言ったんだろ」

「たしかにそうだったね!」


 そう言いながら赤峰は俺が選んだのを手に取り、胸にあてて見せた。


「どう、似合う?」

「う、うん似合ってる。凄い似合ってるけど……」


 俺は赤峰の胸を見たあと、その後ろにいる人物と目が合った。


 あれは同じクラスの、黄宮こみやりん!?


 ただでさえ学校の嫌われ者の俺が、こんなところで同じクラスの生徒に会うのは色々とまずい。

 後ろに気づいていない赤峰は、俺の反応を見て不思議そうにしている。


「どうしたの?」

「いや、その……」


「こんなところで何をやってるのかしら嫌われ者さん」


 口を開いた黄宮こみやは不快な表情をしていた。

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