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第2話 隣の席のツンデレ

 教室に入って席に座ると、隣の席の赤峰あかみね灯里あかりがこっちを見てくる。

 高校二年生になってから嫌われ者になったが、赤峰はツンとしている時も多いけど何故かたまに優しくしてくれていた。

 俺の信用を取り戻す為にも、嫌われてなさそうな赤峰から友達になるか。


「なあ赤峰」

「えっな、なに!?」

「そんなに驚くなよ」

「別に驚いてないけど!」

「あのさ赤峰、俺と友達になってくれないか」

青城あおきと友達に……む、無理に決まってるでしょ! 学校中の嫌われ者で浮気する人なんかと友達になりたくない」

「だよな……」


 一瞬目を輝かせたような気がしたんだけど、無理みたいだ。

 好意的に見てくれてそうな赤峰に、ここまで拒絶されると傷つくな。

 肩を落とす俺を見て赤峰が口を開く。


「で、でも嫌いなわけじゃないから」

「そっか、ありがとな」

「別にお礼なんか言わないでよ」


 嫌いなわけじゃないならよかった。

 どうにかして赤峰と友達にならないと。

 俺は気合を入れる為に頬を叩いた。


 その日は休み時間のたびに、赤峰に話し掛けていたが少しずつ距離をとられている気がする。


 放課後になる頃には、反応もしてくれなくなった。


 と思っていたが、放課後の教室で赤峰が耳打ちをしてきた。


「駅で待ってるね!」

「えっ」


 そう言って鞄を持って立ち上がった赤峰は、友達と一緒に教室を出て行く。

 駅で待ってるって、俺の事を待ってるってことだよな。

 俺は机の上に広がっていた教科書をしまい、駅まで向かった。

 

「本当にいるのかな?」


 駅周辺を見回すがどこにもいない。

 もしかして俺は騙されたのか。

 改札に入ろうとした時、後ろから肩を叩かれる。


「ごめん! 友達が一緒に帰ろうって言って、振り切るのに時間がかかっちゃって」

「あっそうだったんだ」

「どうしたのそんな顔して、もしかして私が騙したとでも思った?」

「そ、そういうわけじゃないけど」

「ふーんそっか」


 二人きりで話す赤峰はいつもと印象が違う。

 俺は赤峰の事をじっと見つめていたら、頬を赤らめながら恥ずかしそうにして口を開いた。


「あ、あのさ学校でのことなんだけど」

「学校でのこと?」

「友達になろうって言ってくれたでしょ!」

「あっ、うん」

「私はもう青城と友達だと思ってたんけど、あらためて言われてびっくりしちゃってさ。思ってもないこと言っちゃったんだ」

「えっ赤峰と俺が友達」

「そう! 今日は青城が話し掛けてくれたけど、私がいつも話し掛けてたでしょ」

「まあ確かにそうだな」

「だから勝手に友達だと思っちゃってた」


 俺は気付いてなかったけど、赤峰は友達だと思ってくれてたのか。

 あんな事があっても友達として話し掛けてくれてたんだ。


「……ありがとな」

「えっ」

「あの事があってから、友達なんてできると思ってなかったから嬉しくてさ」

「別に私は気にしてないよ! それに学校でのことは噂だし、青城がそんなことするような人には見えないから」


 本当の事を知らないのに、こんな近くに俺の事を見てくれてる人がいたんだな。


「赤峰……友達になろうってあらためて言ってごめん」

「別にいいよ! でも友達っていうのはわざわざ言わなくても、気付いたらなってるものでしょ」


 学校では見たことのない可愛い笑顔で赤峰は言ってくれた。


「じゃあ私達友達になったんだし、欲しいものがあるからちょっと付き合ってよ!」

「えっ付き合うって、何処に行くの?」

「洋服屋さん!」


 そう言われた俺は腕を引っ張られ連れて行かれるのであった。

 見た目は可愛いくて少々強引でツンとしてるところもあるけど、でも俺の事を理解してくれそうな人と友達になれてよかった。

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