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第10話 体育祭前日

「はぁはぁはぁ」


 朝から全力で走りまくっている俺は息が切れていた。

 あれから数週間が経ち、気付けば体育祭前日。

 何度もタイムを計り、だんだんと速くなってきたのが目に見えて分かる。

 黄宮こみや赤峰あかみねも俺が早くなる度に、笑顔で褒めてくれた。


 速くなった俺に赤峰が口を開く。


「本当に速くなったね! 凄いよ青城あおき!」

「ありがとう、でも速くなれたのも二人のおかげだ」

「ううん、私は何も教えてないよ。一番頑張って教えてたのは、凛ちゃんじゃないかな」


 赤峰がニヤニヤしながら、黄宮に視線を送る。

 黄宮は恥ずかしそうにしながらも一言だけ言った。


「短期間でこんな速くなったのは初めて見たかも」

「なんだよその言い方、褒めてるのか」

「褒めてる」

「あははっ、ありがとうな」

「何で笑ったの」

「だって素直な黄宮初めて見たからさ」

「うるさい」


 暴言を吐く黄宮に、赤峰が言う。


「もお最後までそんなこと言わないであげて」

灯里あかりが言うなら……わかった」

「えへへっよかった! じゃあ青城、次が最後の練習だよ」


 二人が協力してくれるようになってから、朝の走り込みも思えば長いようで短かったな。

 これで練習は最後。

 本番のつもりで全力で走ろう。

 遠くで赤峰が手をあげる。

 

「位置について……よーいどんっ!」


 赤峰が手を下ろした瞬間に、俺は足に力を入れて走り出す。

 前を見て最後まで力を抜かずに走れ、走れ。

 ゴールの先まで走るイメージで、自分が出せる限りの力を込めて。


「タイムは?」


 ゴールしてすぐに振り返った俺は、赤峰に聞いた。


「凄いよ青城! これなら陸上部にも勝てちゃうかも」

「えっ本当かよ」

「ほら見て見て」


 赤峰が見せたストップウォッチには、いままでの自分の記録を大幅に塗り替えた数字があった。

 嬉しい。

 何かを努力して、こんなに達成感があるのは初めてかもしれない。

 泣きそうになる俺に、二人は駆け寄る。


「まだ泣いちゃだめだよ青城! 泣くのは明日、学年の代表になれたときにしよ」

「う、うん、そうだよな」


 黄宮も俺が泣きそうになってるのにつられて、目をうるうるさせながら言う。


「よ、よくがんばったね青城くん」


「うっ、黄宮、赤峰、二人ともありがとう!」


 その日は明日の事で頭がいっぱいになり眠れないと思ってたけど、気付いたら朝を迎えていた。


 俺は朝早くから準備して学校に登校する。


「よし、今日は頑張るぞ」


 今日で嫌われ者を卒業するんだ。

 短期間ではあったけど、毎日のように朝は練習して、バイトが無い日は放課後も練習してた。

 大丈夫、俺ならできる。

 今日の体育祭は本気で頑張るんだ。

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