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第1話 最悪のクリスマス

 廊下を歩いていると、一人の男子が言った。


「おっ学校一の嫌われ者じゃん」

「……」

「なんだよその目、お前の味方は誰もいないんだぞ」


 俺が睨むとからかってきた男子は驚いたのか、周りを見ながらそう言った。

 こうなったのもあいつらのせいだ。


 

 高校一年の冬。

 親にわがままを言って一人暮らしをしていた俺は、クリスマスイブを彼女と一緒に過ごそうとしていた。

 両親に迷惑をかけるのはよくないと思い、暇さえあればバイトをして親の仕送りは今のところ使っていない。

 彼女の美沙みさは容姿端麗で高校デビューしてモテるようになった俺が、夏休み前に告白したら無事に成功した。

 クリスマスイブの日も夜遅くまでバイトをすることになっていたが、バイト先の店長が気を遣って早めに上がらせてくれた。

 今日は学校も休みだし、合鍵を渡してる彼女が家で俺の事を待ってるだろう。

 機嫌よく自転車を漕ぎ、急いで帰った俺は玄関を勢いよく開ける。


「たっだいまー!!」


 靴を見ると美沙の靴と、男の靴が並んでいた。


「俺、こんなの持ってたかな」


 玄関の電気がついてるのに彼女も来ない。

 リビングには誰もいない、という事は部屋も少ないし寝室か。

 もしかしてクリスマスプレゼントを用意してたけど、疲れて寝室で寝てるのかもな。

 俺は寝室の扉を開ける。


「美沙ー、帰って来たよ」


 暗い寝室で嫌な声と、布団の中で動く人影が見えた。

 電気をつけて、ベッドを見るとそこには全裸の彼女と男が毛布を掛けてこっちを見ていた。


「えっ……」


 言葉を失い、何も言えない。

 彼女は慌てたように汗が垂れる額をぬぐいながら近づいてきた。


「違うの奏汰かなたくん」

「違うもなにも俺はまだ何も言ってな……てかお前、さとるじゃねえか」


 目の前の事に頭が追い付かなくなっていた俺は、彼女の隣にいた男が高校で一番仲良くしている親友の悟だという事に気付いた。


「悪い奏汰! 俺はこんな事するつもりじゃ……」

「出てけ」

「奏汰……」

「二人とも今すぐでてけっ! 顔も見せるな! 学校でも話し掛けてくるな!」


 すると美沙が泣きながら口を開く。


「うぅ私達……別れるってこと?」

「当たり前だろ! いいから出てけ」


 怒る俺を見て二人は裸のまま慌てるようにして出て行った。

 

「ふざけんなよ」


 壁に向かって用意していたプレゼントを投げつける。

 その場にへたり込んだ俺は、そのまま寝ていた。

 

 冬休み明け。

 学校に行くと俺に待っていたのは地獄だった。

 浮気していたのは俺で、しかも美沙を寝取ったという噂が流され悪者は俺になっていたんだ。

 美沙が周りに付き合っていることを言うのは恥ずかしいと言っていたから、誰も俺達が付き合っていたことを知らない。

 この嘘が全て学校では事実という事になった。


 二年生になってもこの噂は学校中に広まり、さっきの男子みたいに俺の事を嫌われ者と呼んでくる奴も出てくるようになった。

 そこで俺は考えたんだ。

 高校に入学する前に見た目を変えてモテるようにもなった俺が本気を出せば、この状況を打破できるんじゃないかと……。

 こうして青城あおき奏汰かなたの、信用を取り戻すための高校生活が始まった。

 

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