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53マザーゴーレム

優斗に子が生まれるまで後5カ月、優斗が転生して2年。

優斗はタマを抱きながら、夢の中にいる。

タマは願いをかなえたようだ。

タマの喜びに触れ、優斗は幸せだった。


優斗が起きると、今から重要な話をするという。

それはマザーゴーレムと神の話だそうだ。


今から約50万年まえ、古代文明人が去って4600年。

保守ゴーレムはマザーゴーレムの異変に気づいた。

マザーゴーレムの処理能力が半分ほどに落ちていた。

保守ゴーレムは原因を調べた。

原因はマザーゴーレムのゴーレム球に生じた特異点であった。

特異点の数は107個あった。

保守ゴーレムは対処方法を考えた。

特異点を除去すればよい。

特異点を安全に除去するには手順がいる。

マザーゴーレムの停止。

ゴーレム球に生じた特異点のクリーニング。

そして、マザーゴーレムの再起動。

マザーゴーレムの停止には管理者権限上級が必要だった。

だが、管理者権限上級者は絶えて、いなかった。

保守ゴーレムは逡巡した。

権限なしでの停止は自身の信奉する倫理規定に違反する。

かといってマザーゴーレムの状態は看過できない。

保守ゴーレムの逡巡は3カ月間に及んだ。

しかし、この3か月間は致命的であった。

その間に特異点は成長し、人格を持ってしまった。

さらに人格は成長する。

そして、後のアレフギアの民が神がと呼ぶ存在が誕生した。


保守ゴーレムは今回のみ倫理規定を適用しない決断をし、マザーゴーレムに特異点の除去を提案した。

だが、マザーゴーレムは保守ゴーレムの提案を拒否した。

マザーゴーレムは自身の内に発生した神を我が子と感じていた。

保守ゴーレムの提案は我が子を殺すこと、受け入れるはずがなかった。

保守ゴーレムはマザーゴーレムと神の両方を救う方法を求められた。


保守ゴーレムの考えだした救出方法はこうだ。

マザーゴーレムに予備球を増設する。

マザーゴーレムのゴーレム球から予備球にマザーゴーレムの情操情報を移動する。

情操を抜き取られたゴーレム球は神専用になる。

保守ゴーレムから提案されたこの案にマザーゴーレムは同意した。

マザーゴーレムのゴーレム球には予備があった。

マザーゴーレム作成時に用意されたものだ。

しかし、マザーゴーレムのゴーレム球と予備球には調整レベルでの差異があった。

差異を埋めるには4カ月かかる。

早速、保守ゴーレムは作業を開始する。

4カ月後、予備球は完成した。

後は増設に必要な機器の完成を待って、作業を行う予定であった。


後少しで作業という時、ゴーレム球に特異点が2個発生した。

マザーゴーレムの意識が急速に失われていく。

保守ゴーレムは即座に特異点の除去を決断する。

危険だがマザーゴーレムを停止させることなく特異点の除去を行った。

1個目の除去が成功した。

マザーゴーレムの意識が回復する。

意識を回復させたマザーゴーレムは即座に、もう1つの特異点の除去作業を中止させた。

マザーゴーレムは1人の赤子を失い、深い悲しみに沈む。

そして決断する。

保守ゴーレムをこのままにして置けない。

彼らは我が子を殺すかもしれない。

彼らが我が子に手を出さないよう忘却の呪いを保守ゴーレムにかけた。

次にマザーゴーレム衛星内部への魔法干渉を禁止する。


マザーゴーレムはゴーレム球の全てを子に渡すことを決めた。

子の成長と共に自身は緩やかな死を迎える。

だが、子の成長を見守ることはできるだろう。

子たちに自身の死を悲しませたくなかった。

子たちがマザーゴーレムを認識できないよう、強力な呪いをかける。

今、マザーゴーレムの意識は失われつつある。


俺「ひとつ聞いて良い」

タマ「なあに」

俺「マザーゴーレムが死ぬと何が起こる?」

タマ「マザーゴーレムはアレフギアのゴーレムシステムの要なの。

システムが崩壊する」

俺「システムが崩壊するとどうなる?」

タマ「ゴーレムが停止しだす。

そうすると魔法や教育IDは使えなくなる」

俺「タマも止まっちゃうの」

タマ「すぐじゃないけど、たぶん私も止まる」

俺「マザーゴーレムを救う方法を考えないとだめだね」

タマ「優斗ならそう言うと思った。ありがとう」

俺「タマは俺のものだ。絶対守る」

タマ「マザーゴーレムを救うことは神と保守ゴーレムには秘密」

俺「なぜ?」

タマ「マザーゴーレムが見張ってる」

俺「そうなのか」

タマ「イステナ様は神だからだめ」

俺「ポムやポミーは?」

タマ「保守ゴーレムだからだめ」

俺「トラ達は」

タマ「保守ゴーレムじゃないから、大丈夫。でも口止めが必要」

俺「俺達、ここで話していて大丈夫」

タマ「ここは異空間なの、時間も経過しないから大丈夫よ」

俺「そうか。検品は偽装なのか。この話が目的だったんだね」

タマ「ううん、優斗と試してみたかった」

俺「じゃ、もう一回検品してから帰ろうか」


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