51名探偵タマ
優斗に子が生まれるまで後8カ月、優斗が転生して1年10カ月。
ハーレムの皆はタマが用意した胎教チュートリアルを受講して出産に備えだした。
アン医師とリン看護官に、つわりの酷い時には診察をお願いしている。
全員を診察したアン医師から母子共に順調と報告を受けた。
ひと安心である。
優斗は管理者権限上級のチュートリアルを順調にこなしている。
クラスメイトの救出や復讐がひと段落したおかげで学習に集中できる。
タマからは、このペースを守るように言われた。
* *
タマ「ミカン君、今日は50万年前から49万年前の間で封印コードに反応する情報がないか調べてくれたまえ」
ミカン「名探偵タマ。調べてみます」
ミカン「あれ、おかしいです。
1万年ピッタリのはずが、7カ月情報が少ないです」
タマ「年単位で、不足している年を割り出しなさい」
ミカン「はい」
ミカン「495,392年前が5か月分の情報しかありません」
タマ「同年の魔法ログはどうかな」
ミカン「魔法ログには1年分の記録があります。
アカシックレコードが改ざんされたのでしょうか」
タマ「ミカン君、アカシックレコードは改ざんできないよ」
ミカン「封印でもなく、改ざんでもなく、7カ月情報をどのように隠したのでしょうか」
タマ「アカシックレコードの記録開始年は何時かな」
ミカン「55万年前です」
タマ「55万前から50万年前の間で情報の過多を調べてくれ」
ミカン「あ、7カ月分多いです」
タマ「年単位で、超過している年を割り出しなさい」
ミカン「533,001年前に19か月分の情報があります」
タマ「その年に封印情報があるか調べなさい」
ミカン「封印情報を発見、封印コードで隠された部分が7カ月分です」
タマ「もう一息だ、がんばろうミカン君」
タマ「アカシックレコードから495,392年前情報をAI衛星の記憶球にコピー、
533,001年前情報の封印コードで隠された部分もコピーしなさい」
ミカン「名探偵タマ。理解できました。
495,392年前を封印コードで隠された部分で復元するのですね」
タマ「ミカン君、正解だ」
ミカン「今から495,392年前を復元します。
えーと3日かかります」
タマ「ミカン君、処理をバックグランドに沈めなさい。終了を待とう」
ミカン「名探偵タマ。分かりました」
タマ「55万前から現在までの間で情報過多があるか調べなさい」
ミカン「名探偵タマ。了解です。
あ、終わりました。
情報過多は先の7カ月分だけです」
タマ「55万前から現在までで封印情報があるか調べなさい」
ミカン「えーと、
1600万件程あります」
タマ「全てをマークしなさい。後で調べましょう」
ミカン「了解です。ただ、我々2名で1600万件を調べるのは荷が重いのではないでしょうか」
タマ「保守ゴーレムにAI衛星ゴーレム上で動作する思考型解析ボットの作成を依頼済みだよ。
来週には完成する。
これを使えば1600万件でも1日もかからず解析できる」
ミカン「名探偵タマ、さすがです」
タマ「みかん君、今日は終了しよう」
ミカン「了」
タマは何かあるとすれば50万年前だと推測していた。
AI衛星の記憶球に復元したアカシックレコードを読み解こう。
手がかりはある。
追跡対象は保守ゴーレムだ。
保守ゴーレムは何者かから忘却の呪いを受けている。
誰が何時、『忘却の呪いを保守ゴーレムにかけたか』これが分かれば、芋づる式に追跡できる。
タマ「保守ゴーレムには申し訳ないが、
こんなおいしい手がかりはないわね」
3日を待つとしよう。
教育ゴーレム達はタマから報告を受けた。
優斗様が管理者権限上級を目指している。
もうじき教育ゴーレムの願いが叶う。
現在、優斗は唯一、教育IDを発行できる管理者権限の保有者だ。
もし、優斗の身に何かあれば、それを考えると不安でたまらない。
教育IDを発行できる管理者権限の保有者を増やしたい。
しかし、管理者権限を取得できる者は稀なのだ。
古代文明人でも千人に一人程しかいなかった。
管理者権限の上級者となるとさらに稀で、1千万人に一人。
そこで目をつけたのが、勇斗の子。やはり血筋は重要で、効率よく管理者権限者を確保できる。
勇斗の子は50人生まれるという。
タマと同等かそれ以上優秀な教育エージェントを用意しよう。
教育ゴーレム達の思いは次の段階に移行していった。