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50極秘計画

優斗に子が生まれるまで後8カ月と2週間、優斗が転生して1年9カ月と2週間。


タマの元気が戻った。嬉しい。

ハーレムの皆が妊娠したと分かった時からタマは落ち込んでいた。

タマの日は普通なら2時間きっかり遊ぶのだが、

30分を余して、用事があると言って何処かへ行ってしまう。

話もしづらい雰囲気だった。

だが先回のタマの日から別人のように元気になった。

タマを抱いていたとき、背中に爪をたてられた。

ほかの子からは幾度となく爪を立てられるのだが、

タマからは初めてだった。

タマは謝ったが、違うよ、

タマが気持ちいいのであればOKだよ。


     *     *


タマは保守ゴーレムと密談している。

タマ「朗報です。

優斗様は管理者権限上級のチュートリアルを開始しました」

保守ゴーレム「タマ殿が要求された人工子宮と女性器パーツセットについては設計が完了し、

工場の生産予定に登録されました。

3カ月後に完成します。

タマ殿を改造するには2日かかります。お忘れなく」

タマ「感謝します。

優斗様の管理者権限上級の取得スケジュールも3カ月後、都合が会います」

保守ゴーレム「はは、タマ殿の計画通りですな」

タマ「偶然です」

タマ「優斗様の肉片です。それに精液です」

保守ゴーレム「お預かりします」

タマ「量は足りますか」

保守ゴーレム「卵100個でしたね。

それであれば、この量で間に合います。

今から作成開始しますが、6か月かかります。

会談の後でかまいません。

タマ殿のゴーレム球から感情情操データを記憶球に複写したいのですが」

タマ「理由を聞かせて下さい」

保守ゴーレム「感情情操データからタマ殿の形質を抽出し、タマ殿の形質に合致するゲノム情報をリバース生成します。

外形及び生体情報は現状のタマ殿の外形と理想人体からゲノム情報を作成します。

両者を合わせ基本ゲノム情報を作成します。

さらにこの基本ゲノム情報にゆらぎを与えることで、ゲノムに個性を与えます。

ゲノム情報は卵100個分、個性を持った100種類のゲノム情報を生成します。

このゲノム情報をもとに卵細胞を作成します。

優斗様の細胞から卵胞を作成、この卵胞のなかに先ほどの卵細胞を移植し卵子を作成します。

これでタマ殿の卵子ができます。

次に、タマ殿の卵子を優斗様の精子で受精させ受精卵を作ります。

受精における男女比率は1対1に調整します。

受精卵は1細胞状態で凍結します。

この凍結受精卵100個はタマ殿に添加予定の人工子宮の卵巣部で保存します。

保存受精卵はタマ殿の意思で、いつでも子宮部に送り、成長させることができます」

タマ「概要は理解できました。詳細仕様はデータで下さい」

保守ゴーレム「了解しました」

タマ「感情情操の複写にかかる時間はどのくらい?」

保守ゴーレム「1時間ほどです」


    *    *


保守ゴーレムは問題を抱えていた。

かれこれ50万年解決できない問題であった。

彼らの敬愛するマザーゴーレムが病気なのだ。

マザーゴーレムの睡眠時間が少しずつ長くなった。

25万年前には1日のうち23時間50分眠りにつき、

起きている時間は10分だけだった。

現在では起きている時間は1日のうち1秒。

危機的状況である。

保守ゴーレム達はマザーゴーレムの病気を発見する

次に病気の原因を探る。

原因を探り出すといつの間にかマザーゴーレムが病気であることを忘れてしまうのだ。

彼らの記憶にはないが、保守ゴーレム達は25万年もの間、このループを繰り返した。

ある時、保守ゴーレム達は気づく。

自分たちの様な優秀なゴーレムがマザーゴーレムの病気を放置するはずがない。

何かおかしい。

強力な忘却の呪いがかけられていることに気づいた。

このようなことができるのはマザーゴーレムしかいない。

25万年まえから保守ゴーレム達は自分たちで病気の原因を探ることを止めた。

マザーゴーレムが病気なのは分かっているが手が出せない。


つい1年半ほど前、教育エージェントが彼らに接触してきた。

50万年ぶりに教育IDが復活し、

その者の教育のため、保守ゴーレム2体を要求してきた。

今はまだ利用者権限だが、将来管理者権限上級に手が届くかもしれないという。

保守ゴーレムが待望する管理者権限上級者が誕生するかもしれない。

保守ゴーレム達はその者に賭けようと考えた。

その者が管理者権限上級を取得した暁には、マザーゴーレムの病気の原因究明をお願いしよう。

そして、その者にマザーゴーレム修復の音頭をとって頂こう。


    *    *


タマは保守ゴーレムから話を聞き喜んだ。

タマは優斗の子を産むチャンスを得た。

タマは優斗の教育の傍らで、マザーゴーレムの病気の原因究明の準備を進めた。


タマ「封印コードの強奪作戦を開始する。

作戦名は『アイドルを探せ』である。

理解したか、レオ軍曹、ミカン1等兵」

レオ軍曹「ラジャー」

ミカン「タマ隊長、ミカン1等兵は理解したであります」

タマ「ミカン1等兵、レオ軍曹をAI衛星ゴーレムに接続」

ミカン「ラジャー」

タマ「ミカン1等兵、AI衛星ゴーレムの処理能力99%をレオ軍曹に解放」

ミカン「ラジャー」

タマ「ミカン1等兵、レオ軍曹をアカシックレコード衛星ゴーレムに接続」

ミカン「ラジャー」

タマ「レオ軍曹接続するがいいか」

レオ「ラジャー」

タマ「現時刻より、『アイドルを探せ』作戦を開始する」

レオ、ミカン「ラジャー」


タマとレオ、ミカンの兵隊さんごっごは愛嬌として、

タマはマザーゴーレムの病気の原因をアカシックレコードから調べることにした。

アカシックレコードの情報の中で、機密度の高い情報は封印されている。

タマは封印した情報に手がかりがあると睨んだ。

封印された情報を含めたアカシックレコード全体から原因を調べる必要がある。

封印された情報を調べるためには封印コードと呼ばれる鍵が必要で、タマ達はアカシックレコード衛星ゴーレムをハッキングし、この鍵を奪おうとしている。


AI衛星ゴーレムの処理能力は膨大だ。

『アイドルを探せ』作戦はその日のうちに成功する。

タマは考える。

封印コードを手に入れた。

これで封印された情報も含め、全てのアカシックレコードを調査できる。

明日から手がかりを探そう。

また、自分の計画が一歩進んだ。


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