43ハーレム
クラスメイトを救出して8カ月、優斗が転生して1年7カ月がたった。
ナンシーによる優斗の教育は終わった。
優斗は自信満々であった。
昨夜は王都で神聖教団の処理をした。
徹夜だった。
処理に使ったマジックバッグをかかえ、ダナ遺跡の保守区画に来ている。
保守ゴーレムにマジックバッグの保管をお願いするためだ。
保守ゴーレム「確かにあずかりました。
厳重に保管いたします」
俺「お願いします」
保守ゴーレム「お疲れの様ですが」
俺「昨夜、仕事で徹夜した。
すこし眠いだけです」
保守ゴーレム「宿泊所が使えます。
お休みください」
俺「仕事があるので、お暇します」
ハナ「昨夜の作戦のまとめは私達でやります。
優斗、休んでください」
トラ「そうです。休養も作戦のうちです」
俺「じゃあ、少し休むことにする。
何かあったら起こしてね」
* *
一方、同時刻に、タマがナンシー、玲、あかり、ルーシー、マリー、ローラを会議室に呼び出していた。
タマはこの日、優斗が夕方まで帰らないことを知っていた。
トラには優斗の引き止めを約束させている。
タマ「皆さん、集まっていただいてありがとう。
お話の前に、嬉しいお知らせです。
優斗が男になりました。2週間前です」
ルーシー「どういうこと、良くわかるように言って」
タマ「優斗が子作りできるようになりました。
ということです」
ローラ「おめでたいことだけど、今日の話と関係あるの」
タマ「大ありです。
確認ですけと、皆さんも子作り大丈夫ですよね」
皆、あっけにろられ、返事ができないでいた。
タマ「返事が無いのは全員子作り大丈夫と言うことで良いですね。
では、ここにいる全員でハーレムを作ります。
ハーレムの目的は優斗の子を50人生み、育てることです。
確認ですけど、皆さん優斗のことが好きですよね。
優斗のことを嫌いな方や優斗の子を生みたくない方はハーレムへの参加資格がありません。
申し出てください。
この後の話に参加しなくて結構です」
この後、皆がばらばらに話だし、怒り出す。
タマ「皆さん、静かに、黙らないと叩き出しますよ。
1人づつ順番に聞きます。まづ、玲」
玲「なぜ、ハーレムなんて必要なの。
私はやよ。
優斗は誰にも渡さない」
タマ「玲、あかり、ローラ、ルーシー、マリー、あんた達、優斗に命を救われたの覚えているわよね。
優斗はある神様の使徒なのよ。
知ってるでしょう。
優斗は神様にお願いしたの。
皆の命を助けたいと。
神様は願いを認めるのに条件を付けた、それが50人の子供。
約束を違えると優斗の命はないわ。それでもいいの」
玲「でもやだ。優斗は私のもの」
タマ「玲、あなた50人子供を産める?」
玲「産めるわけないでしょ」
タマ「じゃあどうするの。
勇斗を殺すことになるわよ。
あなたそれでいいの」
玲「私から勇斗を取らないで、ハーレムなんて大嫌い! 」
タマ「優斗は玲のものよ。
でもね、独占できないの。
理解しなさい」
玲は伏して子供のように声を上げて泣いた。
タマの目配せで、
ナンシーが玲のそばに行き、玲を抱きしめる。
タマ「次はあかり」
あかり「ハーレム、言葉が大嫌い。奴隷のひびき」
タマ「このハーレムはね、優斗が王様じゃないの。
優斗を王様にすると、あかりのいうようになる。
優斗にかまってもらえない子が出てくる。
女はずるいの。
自分だけ大事にされるよう王様に取り入る。
優斗だと簡単にコロッといちゃう。
だからこのハーレムはクイーンが支配する。
公平にね。
女は欲深いから優斗の全部が欲しいの。
でもその欲を突き詰めると優斗を失う」
あかり「優斗は優しいからハーレム嫌いよ」
タマ「優斗にかこつけて言わない。
自分が優斗を独占できないからハーレムが嫌いなんでしょ。
頭のいいあなたなら判るはずよ。
感情に流されてはダメ、幸せになるにはね。
勇斗はあかりのものよ。
ただ、誰も独占はできないの。
少し考える時間をあげるわ。
冷静に考えてみなさい」
あかりは下を向いて泣き出した。
タマ「次はローラ」
ローラ「私は優斗が大好き。
優斗の子を産めるなら幸せよ。
私は文句ないわ。
でもクイーンはタマなの」
タマ「私じゃないわ。
クイーンはナンシーよ」
ローラ「どうしてナンシーなの」
タマ「無かったの、優斗を教えるコンテンツがね。
テクニックとか生物学的な性教育はあるけど、それとは違うの。
だからナンシーに頼んだ。
優斗を見事に教育してくれた。
その教えぶりを見て、判ったの、ナンシーならクイーンが勤まるって」
ローラ「ナンシー、優斗とやったの、答えてよ」
ナンシー「教育したよ」
ローラ「やったのか聞いてるの」
ナンシー「そりゃ、やらないと教育できないだろ」
ローラ「何回ぐらい」
ナンシー「覚えてないけど、30回くらいかな」
ローラ「ナンシーだけずるい。
私も勇斗が好きなのに。
なんでナンシーなの。
私も勇斗とやりたかった。
ナンシーだけ30回もやったの。
私は1回もやってないのに。
もういや! ナンシーもタマも嫌い! 」
タマ「ローラ落ち着きなさい。
私がナンシーに頼んだの。
1つは優斗に自信を持たせるため。
もう1つは皆のためよ。
ローラは白くて酸いだけのイチゴと赤くて甘いイチゴのどっちが食べたい」
ローラ「赤くて甘いイチゴ。
私でもナンシーと同じことできた」
タマ「何、その根拠のない自信。
自分の実力をわきまえていない点で、あなたは教師失格よ。
あなたルーシーと優斗を争い、ケンカしてるわよね。
そんなレベルでは優斗の教師は任せられないのよ」
タマの剣幕にローラは沈黙した。
タマ「ローラ、勇斗が好きなんでしょ。
ケンカでは勇斗は手に入れられない。
ハーレムは勇斗を手に入れるチャンスなの」
タマ「次はルーシー」
ルーシー「勇斗はその、そういうことする相手と思ってなかった」
タマ「じゃあ、どうしてローラとケンカしてたの?」
ルーシー「私が勇斗と話すといつもローラが邪魔する。
それに、ローラはこの頃、勇斗にベタベタする。
勇斗もローラも気持ち悪かった」
タマ「自分の気持ちも理解してないとは。
困ったわね。
ルーシーは最後に聞きます。
ナンシー、ルーシーをお願いできる?」
ナンシー「タマ、これは貸しでいいか」
ナンシーがルーシーと個別に話をすることになった。
タマ「次はマリー」
マリー「優斗は大好き。でも優斗、私のこと嫌いみたい」
タマ「そんなことないわ、優斗はマリーのこと大好きよ」
マリー「この前服買ってて頼んだら、叱られた。
我儘だって」
タマ「マリーは怖かったのね。
いきなり欲深そうなお姉さん達が3人も現れて、大好きな優斗が盗られちゃうんじゃないかと。
安心しなさい。
マリーの分はちゃんとあるから。
そのためのハーレムなの。
マリーも我儘だと思ってるでしょ」
マリー「うん」
タマ「マリーは素直で良い子ね。
マリー、覚えておきなさい。
我儘で優斗の愛を計っちゃいけないの。
優斗はまだ未熟だから、誤解しちゃってる。
優斗はマリーに嫌われてると思ってるのよ。
ほんとはマリーは優斗のこと大好きなのにね」
マリー「分かった」
タマ「最後にルーシー」
ルーシーはナンシーとの話を終えていた。
ルーシー「ごめんなさい。
私も優斗のことが好き。
優斗がいないと生きていけない」
タマ「順番にハーレムに参加する、しない、の最終的な回答を聞きます」
紆余曲折あたったが、全員ハーレムに参加することになった。
ナンシーよりハーレムの決まりが言い渡された。
決まりと言っても「メンバー間で喧嘩はしない」「メンバーへの陰口禁止」「優斗への不満は優斗ではなくナンシーに言う」「子供ができたときはナンシーに知らせる」といった当たり前の内容だった。
ナンシー「優斗の予定を決めたので、各自メモしてくれ。
まづ、順番だが、優斗と知り合ったのが古い順とした。
玲、あかり、ローラ、タマ、ルーシー、マリー、私の順だ。
私が終わったら、また、玲から始める。
ここまでで何か質問は」
タマ「なんで私が入ってるの。
私は優斗の子、産めないわ」
ナンシー「タマ、自分で何とかしてくれ」
タマ「…」
ナンシー「次は時間、夜9時に優斗を各自の部屋に行かせる。
時間をずらすのはあり、優斗と個人的に相談で。
あと、マリーは特別ルールで夜7時、質問は?」
マリー「私も9時でいいわ」
ナンシー「マリー、いつも何時に寝てる?」
マリー「8時」
ナンシー「じゃあ6時にするか」
マリー「うーん、7時でいい」
ナンシー「ルーシーとマリーは今日から4日間、夜は私の部屋に泊まれ、教えることがある」
ルーシー「分かったわ」
マリー「分かった」
ナンシー「それから、優斗は今日から部屋に行かせる。玲、準備しとけ」
玲「うそ、まだ準備できてない」
ナンシー「まだ、昼前だぞ、十分だろ。
それとも、あかりに譲るか?」
玲「やよ、分かったわ」