30女生徒の捜索
エスペリに到着して3カ月と半月、優斗が転生して9カ月と半月がたった。
クラスメイトの行方、特に女生徒の行方は早急に知りたい。
俺「クラスメイトの行方を調べたいが、どうしたら良いか見当がつかない。
なんか悪い予感がする。
急がないと取り返しがつかないことになりそう。
一刻を争う事態なのに何も思い浮かばない。
助けて、タマ」
タマ「人探しは忍者の仕事です」
俺「そうか!! ありがとう。タマ」
早速、タマにトラ、レオ、ハナを呼んでもらい、相談した。
トラ「調査、情報分析はレオの得意分野です。
レオ、意見を」
レオ「勇斗のクラスメイトの召喚はアンダシア王国の王都で行われました。
まず王国の行政組織を調査します。
召喚に関する行政文書、金銭の流れを解析し、キーマンを割り出します。
キーマンから情報を奪取すれば行方は判明します」
俺「どのくらい時間がかかる?」
レオ「作戦に投入する戦力により変わります。
緊急ならば、最大の戦力を投入すべきです」
俺「最大の戦力を投入したとして、かかる時間は?」
レオ「1カ月です」
俺「最大の戦力について詳しく」
レオ「各種スパイゴーレム合わせて400体、各種エージェントゴーレム100体です」
俺「どうしたら戦力を手に入れられる?」
トラ「購入してください」
俺「誰から?」
トラ「保守ゴーレム達からです。
優斗がOKなら、即発注します。
請求は優斗宛とします」
保守ゴーレム達から買うのか。
金貨は持っているが、到底足りるとは思えない。
だが、ここでの逡巡は不味い。
俺の直感が告げる。
クラスメイト、玲の命がかかっている。
四の五の考えてはだめだ。
俺は決断した。
俺「OKする。保守ゴーレム達に今すぐ頼んで」
トラ「了、今発注完了しました」
トラ「もう一つ解決すべき問題があります。
我々3人の補給能力の低さです。
改善する必要があります」
俺「補給能力の低さとは」
トラ「我々には戦力(スパイゴーレム、エージェントゴーレム)を持ち運ぶ手段がありません」
俺「どうしたら良い」
トラ「この問題はハナに検討させました。
ハナよろしく」
ハナ「優斗の開発したマジックバッグの術式を利用します。
マジックバッグやマジックポーチでは我々の特性、忍者の能力に制限がかかり、適当ではありません。
そこで、左手の前腕、手の平側にマジックポーチの機能を埋め込みます。
埋め込みについては保守ゴーレムに検討を依頼、可能との回答を得ています」
俺「保守ゴーレムに頼むの?」
トラ「保守ゴーレム達への発注です。
優斗がOKなら、即調達できます。
請求は優斗宛とします」
俺「OKする。保守ゴーレム達に今すぐ頼んで」
トラ「了、今、発注完了しました」
俺「その他、必要なものは?軍資金とか」
トラ「軍資金の調達は作戦に含まれます。
他に必要なものはありません」
俺「トラ、何時、作戦に取り掛かれる」
トラ「作戦名は『友を探せ』とさせていただきます。
今すぐ取り掛かります。
まづ、ダナ遺跡の西、アレフギア局第3物流支部保守区画に行きます。
そこで、保守ゴーレムより戦力(スパイゴーレム、エージェントゴーレム)を受領。
同時に我々の前腕にマジックポーチ埋め込みを行います。
ここまでで2日を要します。
その後、直接王都に向かいます。
同時に、優斗にエージェントを飛ばします。
優斗に送るエージェントは我ら3人と念話を可能とするためです。
王都に付くのに3日、6日目より情報収集を開始します。
作戦完了は約1カ月後を予定します。
定時報告は1日1回、昼時に行います
以上」
俺「了、作戦にかかれ」
* *
焦る気持ちを抑える。
俺は俺にできることをしよう。
再びタマを呼び出した。
俺「クラスメイトの捜索、トラ達が引き受けてくれた。
ありがとう。タマ」
タマ「そうですか。トラ達を強奪したかいがあります」
俺「俺もぼんやりしていられない。
クラスメイトの救出に必要な課題のチュートリアルを組んでくれ。
課題は『移転』、『バリア』、『アストラクト(魔法妨害)』の3つ。
1カ月以内で習得したい」
タマ「この3課題を1カ月は無理かも。
優先順位をつけてください」
俺「『移転』は最優先で、後はできるものを」
タマ「『移転』、『バリア』、『アストラクト(魔法妨害)』の順でチュートリアルを組みます。
きついですが、頑張って下さい」
俺「了」
俺「タマ、知ってたら教えてほしいことがあるんだけど」
俺は『友を探せ』作戦のために保守ゴーレムから戦力を買ったこと。
トラ、レオ、ハナの改造も買ったことを話した。
俺「どうやって支払うか、わかる?」
タマ「まあ、踏み倒せばいいだけですけど。
ちょっと引っかかります。
売買は先払いが原則」
俺「踏み倒すの?
以後、保守ゴーレムが協力してくれないかも」
タマ「あいつら何か企んでますね。
名探偵タマの出番ですか。
面白いことになりそうです」
俺「知りたいのは支払い方法なんだけど」
タマ「6億クレジットくらいします。
優斗はクレジットを持っていません。
だから支払えません。
保守ゴーレム達は支払えないと知ってて取引しました。
だから面白いんです」
俺「身体で払えとか」
タマ「はは、ここは名探偵タマに任せなさい」