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29クラス移転の後

朝食を終えた6人は食堂に集まっていた。

昨日までの兵士の服装と違い、街着を着ていた。

俺「今日は皆の話を聞きたい。俺のことも話すけど、後にしたい。

他のクラスメイトもひどい目にあってると思う。

早く助けたいから」


移転後の話を聞いた。6人の話を纏めると、


 移転した後、皆、気絶していた。

 気が付くと、奴隷の首輪をはめられ、檻に入れられていた。

 檻は1人用で狭い。しかも屋外。

 服は着ていない、全裸だった。

 日に1回、2時間の訓練が始まる。

 訓練は立て、座れから始まる。男が言葉を出すと、頭の中で『立て』と鳴り響く。

 言うとおりにしないと体に痺れるような痛みが走る。それを食らうと失禁する。

 最初の数日は「立て」「座れ」が繰り返される。

 2日目になると排泄の訓練が追加される。

 排泄は決まった時間にさせられる。大は朝1回、小は朝、昼、夕方、寝る前の4回。

 それ以外にすると、痛みの罰を食らう。

 食事は朝食のみ。日にパン1個と桶1杯の水が与えられる。

 新しい命令が日々追加される。

 1カ月過ぎるころには100くらい命令と言葉を覚える。

 腹がすきすぎて食事のことばかり考える。

 服を着ていないので逃げようとも思わなくなる。

 そのころには命令に逆らおうとも思わなくなる。

 2か月ほどそんな訓練が繰り返される。命令と言葉は200くらいを覚える。

 3カ月ほど過ぎたとき、狭い檻から30人くらい入る檻に移動する。

 クラスメイトの男子と再会する。

 私語を話すと檻の中の者全員が罰を食らうので、話す気力が消える。

 命令は団体行動に関するものになる。

 定期的に檻の前で、知らない男が自分の首輪を外すよう命令される。男が首輪を外すと、その男は死ぬ。

 4カ月後、体を川で洗う。そのあと軍服が配られる。移転後初めて服を着る。

 軍隊に入れられる。この時、クラスメイトはばらばらになった。

 雄太たち6人は同じ軍隊に入れられた。

 軍隊では戦闘訓練1週間、土木工事3週間を繰り返した。

 1週間前に突然、行軍が命じられた。どこに行くのか分かっていない。


俺「女子がどうなったかわかる」

雄太「俺は移転してから見ていない。

訓練所には女はいなかった」

クラスメイト「俺も見ていない。

どうなったか分からん」

俺「じゃ、途中で別れた男子は」

雄太「別々になるとは思わなかった」

クラスメイト「せめて言葉が分かればなー」

俺「みんなこっちの言葉はどれくらい話せる?」

雄太「命令ぐらい、それと単語、パンとか剣とか服とか」

俺「クラスメイトを助けたい、女子はもっと心配、手がかりが欲しい」

「………」

俺「分かった。だいじょうぶ。別の手を考える」

雄太「役立たずですまん」


クラスメイトの過酷な状況に同情した。

しばらく、穏やかな日々を過ごさせてやりたい。

俺「当面だけど、みんなにはこっちの言葉を覚えてもらおうと思う」

雄太「優斗、俺達って元の世界に帰れるのかな」

俺「はっきり言うよ。

不可能だって。神様が教えてくれた」

雄太「神様が知らないとか、嘘吐いてるとかないか」

俺「ない。雄太が自分で確かめることもできる。

一生勉強するなら」

雄太「そうか、どっちにしろ、喋れることは必要か」

俺「喋れないと町中は危険だし、脱走した後だから、しばくおとなしくした方が安全」

雄太「分かった」

俺「皆も良いかな。意見があったら言ってね」

話が長くなったので、休憩時間を取った。


俺はタマを呼び出し、会話、読み書きと社会常識についての6人の教育を相談した。

タマからは「任せなさい」との言質を得た。

俺は6人に教育IDを発行し、タマに渡した。

タマは現代語と常識を中心としたチュートリアルを組むという。

タマ「ビシバシ行くから、ブー垂れる奴出るかも」

俺「奴隷よりましだから、ビシバシいちゃて」

タマ「ラジャー、1カ月で仕上げます」


    *    *


俺「俺の先生を紹介します。タマさんです。

タマさんは教育ゴーレム、教育のスペシャリストです。

みんなの教育を担当してもらいます」

タマ「紹介に預かりましたタマです。皆さんの教育係です。

優しい美人なお姉さんです。頼りにしてもらってOKです。

一人ずつ私の前にいらっしゃい」

タマは6人に教育IDを植え付けていった。


タマ、おまえ、日本語、話せるの。いつ習ったの。


タマ「みんな頭の中に教育IDを感じる? 試してね」

雄太「教育ID? あ、ある」

クラスメイト「僕の中にも」、「ある。ある」

タマ「みんな、ある?、見つからない人は手を上げて。大丈夫だね。じゃあ使うて念じて」

「あ」、「おう」…、「え」

タマ「案内役さんの言うことを良く聞いてね」

タマ「あと、お世話役さんに言えば、いつでも中断できるから」


お昼までは皆をタマに任せよう。俺はクラスメイト、特に玲の行方を調べる方法を昼まで考えよう。


昼になり、トラが野営地の状況を報告に来た。

トラ「朝の点呼で、戦奴の脱走が発覚、犬が用意され、追跡が始まりました。

犬は王都方面に街道を4kmほど追いましたが、

追跡者の1人が戦奴の行軍の足取りと気づき、犬での追跡を放棄。以後、動きはありません」

俺「ありがとう。レオ、ハナを引き上げさせて」

トラ「了」


午後になり、俺のことを話した。ほとんど正直に話した。

ただ、イステナ様のことは名前は伏せ、神とだけ話した。

俺がイステナ様の使徒であることは秘密だ。

クラスメイトには話せない。

俺は9カ月で50以上人を殺したと話したとき、多少、反発があるかと思ったが、すんなり受け入れた。

日本人の感性はもう壊れたのだろう。


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