27クラスメイト
エスペリに到着して3カ月と1週間、優斗が転生して9カ月と1週間がたった。
夜、みんなで会議をしていると、男2人、女2人が魔道具工房を訪ねてきた。
警備ゴーレム達が戻る頃なので、そうかと思ったが1人多い。とりあえず、会議室に通した。
俺「トラ、レオ、ハナか、1人多くなってるけど」
女の1人「最後に発表しまーす」
俺「じゃあ、順番に自己紹介してくれるかな。
あとタマは事情説明、よろで」
トラ「俺、トラです。忍者になりました。
暗殺、捕獲が得意です」
トラは身長178cm、見た目22歳、金髪、顔は醤油顔、腰に短刀。
レオ「俺がレオです。同じく忍者です。
分析、情報戦が得意です」
レオは身長175cm、見た目20歳、青髪、顔はソース顔、刀を背負う。
ハナ「私がハナです。くノ一忍者です。
潜入、情報収集が得意です」
ハナは身長168cm、見た目18歳、赤髪、東洋系美人、ナイフのみ。
タマ「タマでーす。
アイドルでーす。
タマがあんまり可愛いんで、
いつの間にか教育ゴーレムになってました。
優斗の特権つかって人間形体になりました」
タマは身長165cm、見た目16歳、銀髪、胸は小ぶりだがそこそこ。
普通、こんな自己紹介は「痛い」のだが、
「痛さ」など吹き飛ばすほどの超美少女ぶりだった。
俺「トラ、レオ、ハナ、タマ、ほんとにかっこいいよ。
トラ、レオ、ハナ、タマは明日、冒険者登録してきて。
4人で登録ね。
身分証になるから。
ハナ、タマが絡まれたら、トラ、レオで守ってね」
タマには本当に驚かされる。
タマは教育ゴーレムになったと言った。後で、教育エージェントとの違いを教えてもらおう。
* *
ハナが軍隊の情報を調べてきた。
ハナ「王都から軍隊が来ます。規模は戦闘兵600、工兵200、補給兵200。エスペリ到着は4日後、7日後、ウエスリーム王国方面に出立。エスペリでの野営地は南の牧草地、ギルドに野営地での下働きの募集が張り出されました」
俺「補給兵が到着したら水の魔道具を届けよう。
今回は俺とポミーで届ける。
良いかな」
ポム「了」
今日はポミーと2人でエスペリ南の野営地に水の魔道具の納品に来ている。
補給兵の士官が多忙とのことで、2時間ほどの待ち時間ができた。
町に帰って出直すには時間が足りない。
戦闘兵の行軍を眺め、ポミーと雑談をしていた。
ぼんやり眺めていた戦闘兵の中に黒髪の男を見かけた。
3人いる。顔を注視する。
見覚えがある。
雄太、篠山雄太がいる!
後2人は?
間違いないクラスメイトだ。
3人も他人の空似がそろうはずがない。
やっとみつけた。
これで玲の消息が聞ける。
玲に会える。
声を掛けようとしたとき、奴隷の首輪が目に入った。
奴隷の首輪!
喜びから怒りへ、心が一気に染まっていく。
雄太が、クラスメイトが奴隷にされていた。
冷静に観察すると、戦奴の行軍であった。
俺はポミーに念話で指示する「ポミー、緊急事態、納品は任せるよ。俺は離脱する。
すぐにトラ、レオ、ハナをここに呼んで。
駐屯地で俺を探し、見つけたら俺の頭上に不可視で待機さて」
ポミーの了解を確認し、
俺は目立たぬようゆっくり歩き出す。
同時に隠密を発動する。
戦奴の行進の中に新たにクラスメイトを見つけた。
これで4人。
ただ、戦闘兵の行軍前半は見ていなかった。
その中にもいる可能性がある。
全員を見つけるためには兵士の野営地に行く必要があった。
隠密を発動しながら兵士の野営地に進む。
一般兵はテントで、奴隷兵はテントなし、毛布のみで野営するようだ。
既に頭上にはトラたち3人が浮いていた。
念話で4人のクラスメイトを覚えるよう言い、
位置をマークするよう命じた。
奴隷兵の間を縫い、他のクラスメイトを探した。
あと2人見つけた。
これで6人。
彼ら二人も位置もマークするよう命じた。
俺「トラ、マークした人は俺の友達。
今夜、救出する。
準備があるので、俺は一旦工房に戻る。
夜、救出に来る。
それまでマークを継続。
友達を守ってね。
何かあったら連絡おねがい」
トラ「了」
3人と別れ、魔道具工房に戻った。
まづ、イステナ様に報告する必要がある。
イステナ様にお祈りを捧げる。
俺「イステナ様、お願いがあります」
イステナ「なんですか」
俺「今日、クラスメートを6人見つけました。
軍隊の奴隷にされていました。
まづ、彼らを救いたいです。
その後、クラスメート全員救いたいです」
イステナ「優斗にとって大切なこと?
詳しく話しなさい」
俺「俺、致命的なミスをしていました。
召喚されたクラスメート達は安全で、
楽しく生活してると思い込んでました。
でも、今日、違うことが判かりました。
俺が楽しく生活してる時、
クラスメート達は苦しんでました。
クラスメイトに玲ていう娘がいて、
俺の嫁と決めた娘で、
その娘が今、苦しんでると思うと、
俺、死にそうです。
全力で救いたいです。
俺の一生、イステナ様に捧げます。
だから、わがまま聞いてください」
感情がたかぶり、涙があふれる。
俺「お願いします」
イステナ「分かりました。
50人子を成しなさい。
それが条件です」
俺「無理です。玲、50人も産めません」
イステナ「も~、お馬鹿な子。
女を10人、自分のものにしなさい。その女一人一人に子を5人産ませなさい。
女の10人や20人ものにできないようであれば、私の使徒としては失格です。
私の使徒なら根性見せなさい」
俺「理解しました。荷が重いけど、がんばります」