26管理者権限中級取得
エスペリに到着して2カ月、優斗が転生して8カ月がたった。
水の魔道具は店頭販売をやめ、卸販売1本に絞った。
道具屋との卸契約は50件。
行商人は85人と卸契約を交わした。
水の魔道具の作成はポム、ポミーだけでは間に合わなくなった。
水の魔道具の作成方法を流れ作業に替えた。
まづ、水の魔法陣のスタンプを作った。
このスタンプを紙に押す。
紙を職人に渡し、銀板に貼り付ける。
職人はインク部分を削り、削り終わったら、紙を剥がす。
職人ギルドから通いで、職人20名、予定の管理、在庫管理で事務員5人、工房職長1人、事務長1人の27人を雇い入れた。
また家政ギルドから職人と使用人、優斗達の食事の手配に料理人7人と料理長、掃除や洗濯などの家事のため、家政婦を9人と家令の18人を住み込みで雇い入れた。
わずか2カ月で魔道具工房を立ち上げることができた。
売り上げは月当たり金貨5千枚、必要経費は金貨千枚、利益は月4千枚。
卸契約数、契約当たりの販売数が増え続けているので、順風満帆である。
ルーシーは街に馴染んできたようだ。
服装も来た時とは打って変わって町娘の服装に変わった。
文字の読み書き、計算もできるようだ。
ポミーの手伝いなども積極的にこなしている。
マリーは10歳にしては幼すぎる。
ルーシーに頼りきりだ。
今は苦手な計算を勉強している。
俺はマジックバッグに関するコンテンツを習得し終えた。
管理者権限中級のコンテンツも順調にこなしている。
後1カ月で中級を習得できる見込みだ。
マジックバッグの魔法陣はコンテンツ学習だけで、基礎部分と空間拡張、重量無視の3要素は構築できる。
ただ、ここまでで魔法陣80個の大作で、デバッグに苦労した。
俺が目指すマジックバッグは、
ここに時間経過無しの魔法陣約20個と、生物可の魔法陣約20個を追加する必要がある。
生物可の実験用に鶏を5羽、生け捕り、庭で飼った。
鶏を使用し、何十回もテストを重ね、問題ないことを確かめた。
マジックバッグの魔法陣は1個が直径4cm、これを125個連ね、5mの帯を作る。
帯の両端をつなげると約直径160cmの輪ができる。
直径160cmの輪を通せる物がマジックバッグに入れたり、出したりできる。
マジックバック用の帯は50本作った。
その内の1本を使い、ウエストポーチを作った。
今夜、イステナ様の空間から金貨や復讐神使徒全書を持ち帰ろう。
エスペリに到着して3カ月、優斗が転生して9カ月がたった。
管理者権限中級のコンテンツもあと1個クリアすれば終わる。
地獄の様な学習漬けからようやく解放されようとしていた。
そんな折、水の魔道具の大口発注が舞い込んだ。
ポム「優斗、王都の商人から水の魔道具300個の発注があります。
発注書には王都へ送るのではなく、エスペリで軍に渡せとなっています」
俺「エスペリで軍に、騎士じゃなくて?」
ポム「はい、確かに軍と」
俺「その商人は兵站商人か。いつ渡せと」
ポム「2週間後です」
俺「もうじき軍が動くのか」
ポム「ウエスリーム王国と戦争ですか」
俺「行商人が来たら、情報仕入れといてね」
ポム「了」
* *
タマ「おめでとうございます。
これで管理者権限中級のコンテンツは全て取得です」
俺「今回はしんどかった」
タマ「3人喜びますよ」
俺「そうだ、保守ゴーレムに頼まないと」
タマ「そう言うだろうと思い、もう頼んでおきました」
俺「え! じゃあ3人に伝えないと」
タマ「そう言うだろうと思い、もう伝えてあります」
俺「……」
タマ「3人を呼びます。お礼が言いたいそうです」
トラ達はすぐにやってきた。
トラ「3人を代表してお礼を申す。
タマ殿、人間形体への転換、感謝する」
タマ「いえいえ、大した苦労ではありません。
礼には及びませんよ」
俺「……」
タマ「優斗、3人は明日から1週間、ダナ遺跡の保守区画に行って、人間形体になります。
その間、留守にします。
それと私も3人に同行するので留守にします。
私が留守でも、教育IDは使えます。
私に代わって、汎用のお世話役がお相手します」
俺「タマも同行するんだ。なんで」
タマ「秘密です。良い女には秘密の1つや2つ、ね」
俺「タマ、今日は男なんだけど」