25神聖聖女旅団
エスペリに到着して1カ月、優斗が転生して7カ月がたった。
魔道具屋の開店にこぎつけた。
優斗達の役割は現在、次の通りである。
ポミーは工房長、午前中は水の魔道具の作成、午後は店頭で販売員。
ルーシーは午前中は教育IDでお勉強、午後は自由時間。
マリーは午前中は教育IDでお勉強、午後は自由時間。
レオは1日、ルーシーの個人護衛。
ハナは1日、マリーの個人護衛。
トラは1日、魔道具屋の護衛。
ポムは店長、午前中は水の魔道具の作成、午後は卸販路開拓、帳簿。
優斗は店主、マジックバッグ、管理者権限中級のコンテンツを学習、金銭管理。
水の魔道具は卸販売で売れ出した。
エスペリでは4軒の道具屋と卸契約した。
イステでは1軒、行商人5人と卸契約を行った。
王都にも販路を広げようとしている。
商売が膨らむと煩わしい付き合いも増える。
夜の店での付き合いはポムに任せていた。
ただ、今日は王都の商人と卸契約を行った。
商人はエスペリ商業ギルドマスターと懇意であった。
成り行きで、商業ギルドマスターと商人、俺の3人で夜の店に繰り出すこととなった。
1軒目は食事、2軒目は若い子のいる賑やかで楽しい店、3軒目は大人の魅力のしっとりした店だった。
3軒目になぜか気になる女性がいた。
ギルドマスター「ナンシーが気に入りましたか」
俺「はい、ちょっと気になります」
ギルドマスター「ナンシーは神聖聖女旅団の団長です」
俺「神聖聖女旅団ですか、知りません。
教えていただけますか」
ギルドマスターは神聖聖女旅団について教えてくれた。
神聖教団の一派、神聖教団はゼウアラ神を信奉する。
神聖聖女旅団は女性の駆け込み寺。
不幸を抱えた女性が逃げこむと言う。
悪い噂をいろいろ教えてくれた。
俺「神聖聖女旅団ですか」
ギルドマスターは笑った「本人に聞いてみますか」
俺「聞けますか?」
ギルドマスターは店のマスターの元へ行き、マスターに金貨を渡し、何やら話している。
そのあと、ナンシーが現れ「外で話そう」と誘われた。
俺はギルドマスターにお礼を言い店を出た。
俺は落ち着いた所でと、ナンシーに頼んだ。
歓楽街のそばの洒落たホテルに案内された。
受付で休憩料金を支払った。
部屋番号を聞き、キーを受け取り、部屋に入る。
ナンシー「こういうところは初めて」
俺「はい」
ナンシー「お布施は金貨5枚よ」
俺は金貨5枚をナンシーに渡した。
俺「話が聞きたいんだけど」
ナンシー「いいわ」
俺「ナンシーは使徒?」
ナンシー「直球ね。そう、ゼウアラ様の使徒よ。
使徒に興味があるの?」
俺「実は俺も使徒なんだ。
イステナ様の使徒。
復讐神の使徒と言ったほうが通りが良いかも。
ジングル見せるよ」
俺とナンシーはジングルを見せ合った。
ナンシーに大笑いされてしまった。
5回も見せろと要求されてしまった。
ナンシー「私に復讐」
俺「え! しない。初めて、ほかの使徒に会ったから、話してみようと」
興味のあった神聖聖女旅団について聞いた。
・神聖聖女旅団の団長は全て、ゼウアラ神の使徒
・ゼウアラ神は弱者救済を旨とする
・神聖聖女旅団は地区ごとにある
・ナンシーはエスペリ地区の団長
・エスペリ地区の神聖聖女旅団はだいたい百名くらいいる
・神聖聖女旅団の団員はお布施で生活している
神聖教団との関係についても聞いた。
・神聖教団はゼウアラ神の信者から寄進をつのる
・神聖教団にはゼウアラ神の使徒はいない
・神聖教団からは年1回、お金が神聖聖女旅団へ交付される
ナンシー「彼らはゼウアラ様を利用してお金儲けしている。信仰してないわ」
俺「ゼウアラ様は何もしないの」
ナンシー「ゼウアラ様は彼らに関心がないの」
俺「搾取されて、悔しくないの」
ナンシー「悔しいけど。年1回、お布施にしては大金を払うお客でもあるの」
俺「大金?」
ナンシー「一晩で金貨10枚。
もちろん私が相手するわ」
神聖聖女旅団でお布施のもらえる女は10人ほどだという。
10人で90人を養うのだ。
台所は苦しいはず。何とかしてやりたい。
話が弾み、夜遅くなってしまった。
ナンシーから連絡先を聞きだし、今日はお開きにしようといった。
ナンシー「何もしないの。お布施を出して」
俺は誘導を解いて、10歳の自分を見せる。
俺「ほんとは、まだ、こんななんだ。
体の準備ができてない。
それに、決めた娘がいる」
ナンシー「驚いたわ」
俺「10歳じゃ、なめられるだろ。仕方なしさ」
ナンシー「あなた、未経験なんでしょ。勉強は必要よ」
俺「その娘に怒られるよ、浮気すると殴られる」
ナンシー「浮気と勉強は違うわ。
勉強もしないでその娘とやるつもりだったの。
その娘をがっかりさせるつもり?
もし失敗したらその娘、
殴るどころか『さよなら』って言うわよ」
俺「ええ~」
ナンシー「私が教えてあげる。
お布施は頂くわよ。
できるようになったら来なさい」
俺「お願いします」