21ポムとポミー
町に帰還した。
タマと二人で管理者権限初級のチュートリアルを構築した。
タマ「コンテンツは26個。
今まで以上に習得に時間がかかると思います。
期間は1カ月とします。
俺「1カ月か、よろしく、タマ」
タマ「管理者権限の取得に際し、性格テストを受けていただきます」
俺「前に受けたのと同じもの?」
タマ「はい、ただ今回は十時間のテストです。
オムツを用意してください」
俺「まさか、赤ちゃんがするあれ?」
タマ「はい、赤ちゃんがするあれです。
ただ、優斗にしていただきます」
俺「え〜 ほんとに?」
タマ「ほんとに(フフ)」
いたいけな少年にオムツを買いに行く勇気はなかった。雑貨屋で防水布と麻の布を買いオムツ代わりとした。
タマにヘタレと言われてしまった。
管理者権限初級のコンテンツの学習を始めて2週間、順調に習得していた。
東の関所で気になる話を聞いた。
王都からダナ遺跡の調査隊が来る。
調査隊は魔術師、学者が10人、護衛として軍人が30人の大所帯、召喚魔法を調査するという。
ポムとポミーが心配だ。
タマに言うと、問題ない、心配不要と言われた。
* *
ポムとポミーを含めた将来設計を考えた。
イステナ様とも相談した。
まづ、下宿生活ではポム達を迎えられない。
やはり、一軒家が欲しい。
ゴーレムと暮らす少年という設定も怪しい。
ゴーレムと一緒で不自然でない設定。
行きついたのが魔道具屋だ。
魔道具専門の店であれば、ゴーレムがいても不思議ではないだろう。
イステ市では冒険者設定だった。
いきなり魔道具屋も不自然なので、拠点を移すことにした。
次はエスペリアン公爵領の領都エスペリに決めた。
エスペリはイステ市の5倍ほどの都市だという。
俺の計画はこうだ。
2週後には管理者権限初級を取得し、イステ市を後にする。
ポムとポミーを迎えに行いき、その足でエスペリに行く。
エスペリで魔道具屋を始める。
計画が決まったので、冒険者の仕事や下宿の引き払いの手続きをした。
イステナ様にお祈りを捧げる。
俺「今日、管理者権限初級を取得できました。
明日は下宿を片付けます。
ポムとポミーを迎えに行きます。
そのままエスペリに行く予定です」
イステナ「おめでとう。予定通りですね」
俺「イステナ様の使徒ですから、これくらい」
イステナ「うれしく思います」
俺「あの、下宿の荷物ですけど、エスペリで落ち着くまで預かってください。
一生のお願いです」
イステナ「もういい加減、マジックバッグかアイテムボックスを覚えなさい」
* *
今日は朝一でイステを出て、ダナ遺跡に向かっている。
昼になったころ、ダナ遺跡の調査隊と思しき一行と出会った。
調査は終わったのか。
好都合であった。
ダナ遺跡で動きやすい。
午後3時ごろ、ダナ遺跡に到着した。
索敵を行いつつ注意深く、物流センター保守区画の入り口に向かう。
俺「タマ、入る方法、知ってる?」
タマ「優斗は管理者権限を持っています。
『入れろ』と命令できます」
俺は『入れろ』と命令した。
以前と同じ壁が薄いピンク色に光る広めの部屋にいた。
以前と同じ様に、目の前に2体の白い人形が立っていた。
俺「ポムとポミーを迎えに来た。
2人を連れてきてください」
白い人形の一体が「連絡を取りました。
今、2人はこちらに向かっています。
暫くお待ちください」
暫くすると、男女の2名が目の前に現れ、膝まづいた。
男「お久しぶりでございます。優斗様」
女「お久しぶりでございます。優斗様」
俺「あの、どちら様でしょうか?」
男「ポムです。お忘れですか?」
女「ポミーです。1カ月しかたっていません。
薄情です」
男女はポムとポミーであった。
どう見ても人間としか見えなかった。
話を聞くと、人間と一緒に行動するには保守ゴーレムの汎用形体では都合が悪い。
そこで、人間形体に組み替えたという。
人間と同じように食事もできる、風呂に入っても問題ないという。
ゴーレムたちの技術力の高さに驚かされる。
ポムは見た目年齢25歳、身長190cm、茶髪であった。
ポミーは見た目年齢18歳、身長170cm、金髪であった。
ポムとポミーは似合いの夫婦に見える。
今後はそういう設定でいこうと決めた。
ポム、ポミーに今後の計画を話す。
俺「ポム、ポミー。じゃ、行こうか。忘れ物とかない?」
ポム「問題ありません、優斗様」
俺「ポム、ポミー。『様』とか無しで、敬語は禁止で、よろしく」
ポム「承りました」
俺「そこは『了』でね、ポミーもね」
ポム「了」