19クエスト
優斗が転生して6カ月、町に出てきて1カ月たった。
今日は利用者権限上級チュートリアルの打ち合わせをしている。
タマ「コンテンツ項目が24個は中級と変わりませんが、上級ではクエストを1個受ける必要があります」
俺「クエスト?、何するの?」
タマ「今回受けるのは『保守ゴーレムに金1kgを届けろ』です。
優斗は金貨を持ってますよね、金貨500枚を保守ゴーレムに届ければ完了します」
俺「ゴーレムっているんだ。
俺、どこにいるかしらないけど、大丈夫?」
タマ「この町の東、20Kmの密林にいます。
ダナ遺跡と呼ばれています」
俺「OK、何時いこうか」
タマ「先にコンテンツ24個を取得しましょう。
2週間で取得できるよう計画します。
3週目にクエストを受けます。
行き1日、現地1日、帰り1日、予備2日でどうでしょう」
俺「魔法の改造に関するコンテンツを先に頼む」
タマ「了」
* *
利用者権限上級のコンテンツ24個を順調に取得した。
今日はクエストで、ダナ遺跡に来ている。
タマ「ダナ遺跡の西にアレフギア局第3物流支部保守区画への入り口があります。
そこに案内します。
現在地より、東400m、北55mの地点です」
俺「了」
索敵に3個の反応があった。
俺「タマ、3人ついてくる。後ろ80m、索敵に反応した。敵かも」
タマ「保守区画入り口は機密事項です。
3人の対処優先で」
俺「了」
隠密を発動し、隠れる。
索敵を続けていると俺を追跡する3人が現れた。
目視で確認する。
誘導で、俺が南に歩いているよう、誤認させる。
俺は南に歩く3人の後をつけた。
500mつけて行き、誘導をといた。
これで3人は俺を見失ったと思うだろう。
俺は急いで来た道を戻り、入り口を目指した。
入口付近を索敵で探ると、1人いるようだ。
近づいて確認する。
少女が座っていた。
俺「タマ、どうしよう? 」
タマ「私に聞きます? 優斗がどうにかしてください」
俺は隠密を発動、少し離れた藪にひそみ、監視した。
少女はまったく動く気配がない。
かれこれ1時間たった時、索敵に3人の反応があった。3人は少女に近づき、なにか話しながら歩き始めた。
俺「タマ、入るのは一時中断したい」
タマ「予備日もあります。大丈夫です」
俺は4人の後をつけた。
4人は遺跡の外れにある小屋に入った。
家族だろうか。
俺「うかつだった。1日かけ、ダナ遺跡の周りを調査する」
タマ「了」
俺は遠足気分でダナ遺跡に来たことを反省した。
イステナ様の使徒として恥ずかしかった。
ダナ遺跡周辺には、あの家族と思しき4人しかいなかった。
俺は夜を待った。
夜になり、家族の住む小屋に向かう。
小屋の外で索敵を行い、4人が小屋にいることを確認した。
これで邪魔は入らないだろう。
俺「いまから入り口に向かう。入れるだろうか」
タマ「入るのに制限はありません。大丈夫です」
急いで入り口に向かい、入口に着いた。
俺「どうやって入る?」
タマ「今、許可をもらいます。許可されました」
一瞬で景色が変わった。
俺は壁が薄いピンク色に光る、広めの部屋にいた。
目の前に2体の白い人形が立っていた。
俺「保守ゴーレムに会いたいのですが。
クエストで金を1Kg持ってきました」
白い人形「私たちが保守ゴーレムです。
教育ゴーレムより聞いています。
こちらにお越しください」
保守ゴーレムは俺をいざなう動作で歩き出す。
俺は保守ゴーレムの後をついていった。
少し歩くと広い空間に出た。
その中の建物の1室に案内された。
部屋の中には別の保守ゴーレムが待っていた。
保守ゴーレム「金1kgをお渡しください」
俺は荷をほどき金貨の袋を取り出し、渡す。
保守ゴーレムは金貨の袋を持ち部屋から出て行った。
入れ替わりに別の保守ゴーレムが来て、お茶を出してくれた。
保守ゴーレム「今、確認しています。
しばらくお待ちください」
俺「ここは何をする施設でしょうか。
教えていただけませんか」
保守ゴーレムによれば、ここは工場から各種部品を保守センターに送るために作られた物流センターだという。
保守ゴーレム「只今、金1kgを確認しました。
『保守ゴーレムに金1kgを届けろ』は完了です。
金は23gほど多いのですが、いかがしますか?」
俺「金貨で返してください」
保守ゴーレム「分かりました。
金貨11枚をお返しします」
俺「では帰ります。外に出してください」
保守ゴーレム「ゲートは夜間外出禁止です。
お帰り頂くのは明日の朝になります。
ここは人間用の宿泊施設です。
今夜はここでお泊りください」
俺はいやな予感がした。
しかし、断ることもできず、了承した。
保守ゴーレム「お世話役として、2体のゴーレムを付けます。
なんなりとお言いつけください」
俺「タマ、泊まることになった。不安だ」
タマ「大丈夫です。私が付いています」