18魔法学習の日常
冒険者の仕事と共に利用者権限中級を目指すチュートリアルに従い学習している。
中級はコンテンツ項目が24、初級より大幅に増えた。
ただ、学習時間を増やしたので、予定では2週間で習得できるはずだ。
タマ「魔法改変1の学習を始めます。
概要は予習されていますね。
口述してください」
俺「魔法には必須引数とは別に任意引数とリミッターがある。
既存の魔法の任意引数とリミッターを指定した新しい魔法を作成できる。
新しい魔法は個人別に用意した魔法スロットに登録する。
スロットを指定して、魔法を発動できる。
中級では8スロット解放される」
タマ「よくできました。
ファイアーボールでは必須引数として方向と高さが必要でした。
任意引数には大きさ、温度、速さなどがあります。
まだありますが、詳細は魔法文字の詳細を調べてください。
大きさについては初期値:直径30cm。
指定可能範囲1cm~50cm。
1cmより小さいとエネルギーが足りず、50m飛びません。
50cmを超える場合、威力が大きすぎて事故になるため指定できません。
次は温度ですが、初期値800度。
指定可能範囲300度~1400度。
300度以下では炎とならない。
1400度以上だと周囲がプラズマ化する可能性があり、指定不可。
最後の早さですが、初期値100km/h。
指定可能範囲80km/h~130km/h。
リミッターの理由については省略します」
優斗にはマジックアローを実際に改編し、優斗用のスロットに登録してもらいます」
俺「質問、俺用のスロットはもう用意されているの?」
タマ「授業中のみスロットを使えます。当然ですが、コンテンツを取得すれば、スロットを使えるようになります」
俺「了」
俺「マジックアローの任意引数には外径、矢重、矢長、速度とあるけど、材質は指定できないだろうか」
タマ「材質は魔法構築言語でないと指定できません。利用者権限上級を取得するチュートリアルで学習する予定です」
俺「矢重が1g~45gとあるけど、0gは指定できないのかな」
タマ「矢重×速度が相手に与える物理ダメージとなります。矢重0gではダメージを与えられません」
俺「物理ダメージを0にしたいんだけど」
タマ「優斗が希望するストーンバレットやマジックバレットを想定した質問ですね。
これも魔法構築言語の習得が必要です、利用者権限上級を目指しましょう」
* *
以前、奴隷の首輪を鑑定し、魔法陣に興味を持った。
コンテンツを学習し、魔法陣の中身について理解が進んだ。
魔法陣の中の文字はやはり魔法文字であった。
ただ、ファイアーボールの様な魔法発動用の魔法文字ではなく、記述専用の魔法文字である。
魔法陣には魔法陣専用の文法やルールがある。
条件分岐や事象の待ち合せ、複数の魔法陣を連携させることもでる。
一口にいえばプログラム言語であった。
ここで1つ問題が発生した。
魔法陣を実際に書いたのだが、魔法陣が発動しなかった。
原因は優斗にある。
優斗は魔法文字が下手なのだ。
優斗なりにお手本通り、丁寧に書くのだが、文字のバランスが崩れ、魔法文字として認識されない。
タマ「コンテンツの魔法陣記述は一応、合格としますが、字が下手すぎます。
魔法陣はあきらめましょう」
俺「やだ、俺のマジックバッグの夢が! 」
タマ「あきらめるのが優斗のためです」
俺「やだ、やだ、助けて、タマ」
タマ「そうですか、分かりました。
何とか手を考えましょう」
俺「さすがタマ、ありがとう」
タマ「何とかするには、管理者権限が絶対必要ですからね。学習に励んでください」
* *
スキルに関するコンテンツを学んだ。
スキルとは一言で言うと肉体に対して発動する魔法だった。
1人あたり、スキルは7個まで登録できる。
優斗は既に7個スキルを保有しているので、これ以上、スキルを追加できない。
ただし、管理者権限を取得すると、さらに7個のスキルを登録できる。
スキルの習得はスキル用チュートリアルがあり、受講し、合格すれば取得できる。
俺「スキルが、肉体に発動する魔法なのは判った。
スキルの中で『鑑定』は他のスキルと毛色が違うように思う。
どういう仕組みなの」
タマ「鑑定は思考、視覚情報をキーにアカシックレコードを検索し、結果を得る魔法です。
詳しい仕組みはもう少し先のコンテンツで学習します」
俺「アカシックレコードとかあるんだ」
タマ「あります。興味ありますか」
俺「うん、絶対知りたい」
タマ「管理者権限初級のチュートリアルに組み込みます」
* *
俺はイステナ様にお祈りしている。
俺「イステナ様、報告です。今日、利用者権限中級を取得できました。
ありがとうございます」
イステナ「おめでとう。優斗」
俺「町に出てきて1カ月たちました。
冒険者も魔法も順調です。
そろそろ復讐の仕事も取り組めます」
イステナ「いまのところありません。
自由にしていてかまいません」
俺「俺、イステナ様の役に立ちたいです。
復讐の仕事、いつでも取り組めるようにしておきます」
イステナ「優斗の気持ち、うれしく思います」