14利用者権限初級取得
教育IDを利用してから2週間が過ぎた。
優斗は魔法の学習に打ち込んでいる。
タマと相談し、利用者権限初級用のチュートリアルを構築した。
チュートリアルの座学コンテンツが10個、実践コンテンツが6個を全て合格すれば利用者権限初級が取得できる。
タマ「本日のコンテンツはファイアーボール実践です。
合格するには、2秒以内に発動、静止する30m離れた的に当てることです」
俺「了解」
ファイアーボールは火の玉を飛ばすので、火事の危険があり、林では練習でいない。
なので河原で練習している。
魔法を勉強し始めて分かったのだが、アレフギアでの魔法はマクロなのだ。
表計算ソフトなどで集計を行ったりするアレである。
魔法は魔法名だけでは発動しない。
どのように発動させるかという指定が必要となる。
マクロでは引数に当たる。
例えばファイアーボールでは
魔法文字:ファイアーボール,的の方向,的の高さ
といった形で指定する。
俺は言葉にして思い浮かべるようにしている。
「炎球、真正面、30m先で高さ2m」
魔法文字は漢字に似ている。
表意文字で、魔法名は魔法文字の組み合わせで表す。
魔法を使うには魔法文字を読み書きできること、思い浮かべることが必要となる。
なぜ、思い浮かべるだけで、魔法が発動するか。
それは利用者権限上級を取得した後、開示される。
今は分からない。
タマ「ファイアーボール実践は合格です」
俺「ありがとう。セーフハウスに戻たら、コンテンツ魔法文字初級の合否を判定してくれ」
タマ「了、今日で利用者権限初級は取得できますね」
俺「たぶん」
タマ「夜は利用者権限中級用のチュートリアルを構築しましょう」
俺は魔術師になりたいとは思っていない。
あくまでイステナ様の使徒として生きたい。
重要なのは使徒として必要な魔法の習得
・ストーンバレット(石)
石銃弾の拳銃、この世界には魔物がいる
ナイフで戦うとケガする。拳銃で戦いたい
・マジックバレット(アスリープ,ポージー,デス)
麻酔銃、麻痺銃、死の銃。無音でしかも相手に弾痕を残さない。ロマンだ
・バリア
弓矢、槍、魔法なんかを弾きたい。当たると死ぬから
・アストラクト(魔法妨害)
魔法で反撃されるとやだ。魔法使えなくしてから、料理したい
タマによると似たものはあるが、該当する魔法はない。ただし、魔法は作れるという。
バレット系は利用者権限上級が、バリア、アストラクトは管理者権限中級以上があればだが。
タマから管理者権限上級の取得までサポートする。
一緒に頑張ろうと励まされた。
俺の知識欲は旺盛だ。
まだまだ欲しいもの、知りたいことがある。
・マジックバッグ、アイテムボックス
クジュ村へは40Kgの荷物を担いだ。だるかった
これさえあれば、手ぶらでゴーだ
・移転
隣村に行くにも丸1日かかる。歩くのだるい
・魔法陣
なんかプログラムぽい感じ。すごく、そそられる
地球では自称だけどプログラマーだった
・スキル
魔法なの?なんなの?自分で生やせるの?
優斗はイステナ様に次の復讐は?と聞くと、
「予定はない。当分、好きにして良い」と言われた。
ユートの復讐が終わり、今は夏休みのようだ。
気分はルンルン、好きなことし放題、パラダイスだ。
イステナは優斗をどう育てようかと考えていた。
最初は使徒にと考えていたが、使徒は危険だ。
いつ死ぬか分からない。
そう思うと、優斗を使徒にはしておけない。
死なせるにはもったいない。
では従者か。
始終そばに置きたいわけではない。
もっと自由にさせたい。
従者は違う。
イステナは考えたあげく、優斗にとって恐ろしい案に至る。
「そうだ。ペットね。ピッタリ。
普段は自由にさせて、可愛い姿を、鑑賞する。
たまに、ご褒美をあげる。
気が向いたら、ちょっかいを掛けて遊ぶ。
『イステナのペット証明』とかも考えないとね」
イステナは名案に満足した。
イステナとは別に優斗の出現に歓喜している集団がいた。
教育ゴーレム達である。
教育IDは50万年の間、1回も使用されなかった。
教育ゴーレム達は常に準備をし、延々と利用者を待ち続けた。
もう利用者は現れないと思われた時、イステナ神から教育IDが有効かどうか問い合わせがあった。
50万年前にマザーゴーレムから依頼を受け、発行したものであった。
未使用であったので有効だと回答した。
すると次の日、その教育IDは有効化されたのだ。
50万年ぶりの仕事である。
教育ゴーレム達は歓喜した。
さらに、その者は性格テストで800点台をマークした。
管理者権限を取得できる可能性が十分ある。
教育ゴーレム達はさらに歓喜した。
教育IDの発行は管理者権限者にゆだねられている。
だが、その管理者権限者は50万年前に、途絶えている。
ここで管理者権限者が誕生すれば、教育IDが復活する。
この者を管理者権限者に導かねば、絶対に失敗は許されない。
まず、タマには、優斗が管理者権限者を目指すよう、精神誘導を命じた。
次に、警備ゴーレムに優斗の身の守りを依頼した。
優斗の頭上には、不可視化された警備ゴーレムが常時3機、円を描くように浮かんでいる。
使徒が警備されるなど、前代未聞のこと。
イステナ神から抗議がきたが、教育中の魔法事故への対処を理由に、優斗の警備を続けた。