1 クラス移転
今朝はいつもの朝と何かが違う。何だろう。
トイレ、洗顔を済ませ、朝ご飯を済ませる。
弁当をカバンに詰め、2分で着替え、家を飛び出し、学校に急いだ。
教室には3分前に滑り込んだ。
俺は始業時間ギリギリに登校する。
ただし、遅刻はしない。
いつもの事だから同級生は何も言わない。
俺、児島優斗は中学1年生。
12歳、男。身長165cm。
両親、俺の3人家族。
あだ名はまだ無い。
俺は公立北中学校の1年C組の生徒。
1年C組は男子15名、女子15名の30名、
クラスには不良はいない。
いじめもない。
学校ではストレスをまったく感じない。
俺は自分のことをオタクと思っていない。
もし自分を客観的に見ることができるなら、まさしく、
中二病真っ盛りのオタクであろう。たぶん。
特技はパソコン、タブレット、スマホ。(本人談)
趣味は小学生4年生から始めたプログラミング、
近頃はAIにも手を伸ばしている。
女には興味がない。
(ごめんなさい。嘘です。紳士の嗜みとして、興味ないフリしています。)
本当は興味津々で、健全に大人の階段をのぼっている。
このクラスには将来の嫁がいる。
名は雨宮玲。
席は俺の二つ前。
女。身長158cm。スリーサイズ不明。
近づくと良い匂いがする。
顔は小顔で、手足が長く、超スタイルが良い。
体形は動物に例えるとシャムネコ、それも子猫。
性格は俺にだけドS。
俺にだけ自分勝手。
俺にだけ暴力娘。
暴力をふるった後は優しい。
暴力をふるった後は笑顔は甘い。
雨宮玲とは物心ついた時からの幼馴染で、よく一緒に遊んだ。
優斗の母と雨宮の母は親友で、お互いの家を行き来していた。
玲との付き合は、今どの段階かって?
・玲の全裸を見たことがある。(3歳くらいの時、よく覚えていない)
・玲と一緒にお風呂に入たことがある。(3歳くらいの時、よく覚えていない)
・玲と一緒の布団で寝たことがある。(保育園の年長まで)
・玲は俺の前で平気でオナラをする。(~現在まで)
・玲のパンツを持っている。(小学校6年の時、玲の家に遊びに行って、パンツを拾った。おばさんのじゃないパンツ。ポケットに突っ込んだ。持ち帰ってしまった。大切に保管して、たまに鑑賞している。玲、ごめん! )
・玲で抜いている。(1カ月ほど前から、玲、ごめん!! )
・玲に殴られる。(~現在まで、玲は機嫌が悪い時、怒った時、手が出る。小学生まではグーパンチ。中学生からは平手で。若干、平手の方が痛い。俺を殴った後はいつも優しい。可愛い笑顔を向けてくる)
玲から見れば、たぶん、俺は何もアプローチしていない。
ただ、玲意外との結婚は俺には考えられない。
玲は俺の嫁だ。
4限の授業が終わり、昼休みになった。
俺はカバンから弁当をだし、机に広げる。
玲が速攻、俺の前に来る。
「優斗、食べるの待った! おかず見せて」
俺はおかずのパックを開け、玲に見せる。
玲「あ! しぐれ煮入ってんじゃん。
よし! 私の竹輪と交換してあげよう」
俺「エー、俺が竹輪、そんなに好きじゃないの知ってるよね」
玲「ただの竹輪じゃないよ。
チーズ入りだよ。等価交換、等価交換」
玲はしぐれ煮を強奪して、席に帰っていった。
玲は、花田あかりと一緒に弁当を食うようだ。
弁当を持ってあかりの席に移動していった。
二人でキャッキャしながら弁当を食べだした。
玲はあかりのことを親友と言っている。
花田あかり、女。
推定身長155cm。スリーサイズは無意味。
魅力のロリ体形、アニメ顔、超可愛い、マジ天使。
俺があかりの親父だったら、絶対、嫁にはやらない。
運動音痴、方向音痴のドッジ娘。
見かけに騙されてはいけない。
本質は理科女。成績は学年でトップクラス。
ただ、俺の好みではない。俺は玲一筋。
弁当を食べ終え、まったりしていると違和感を覚える。
今日はいつもと何かが違う。何だろう。
雄太がサッカーボールをリフティングしながら、「優斗、サッカー付き合えよ。体動かそうぜ」
俺「うんー。ごめん。気分じゃない」
雄太「しゃーねーなー。
健全な体じゃねーと健全なオタクは育たねーぞ」
俺「意味わかんない。
午後一の社会、テストだぞ。いいのか?」
雄太「あ! 俺も気分じゃなくなった。
忠告ゲットだぜ! 」
篠山雄太。男。身長167cm。
幼稚園からの友達。
サッカー少年。勉強もできる優等生。
男から見ても、さわやか少年、女子に人気抜群。
中学生になり、俺はオタク、雄太はスポーツ少年のため、
学校以外での私的な付き合いがめっきり減った。
花田あかりと付き合っているとの噂がある。
玲からの情報だが、直接確かめる勇気はない。
5限は社会のテスト。
先生はテスト用紙を配り、
「時間は40分、テスト始め」と言って、
教室を出て行った。
俺は調子よく回答を書き込んでいた。
それは突然起こった。
急激な目まい、机に座っていることすら難しい程のめまいが俺を襲う。
胃の内容物を吐きそうになり、寸での所でこらえる。
目の前の光景がブレて虹色に見える。
「やべー。超やべー。俺の体。
脳梗塞?脳溢血?死にそう」
周りから「キャ」とか「アー」とか「オエー」とか聞こえる。
床に倒れている子や、ランチを吐き戻している子がいる。
「俺だけじゃないのか?全員?何なの?」
吐き気をこらえきれない。
とっさに、空いた窓に走り、倒れこむ。
窓から頭を出し、盛大に吐いた。
意識の糸がそこで途切れた。
次に気づいた時、俺は何もない白い空間に寝ていた。