翳りゆく物書きの空想と言葉
描きつけた想像の空を言葉に変えた
届かない理想にあえいで捨てた現実
掻き集めても消える言葉にもがいた
満たされないのは昼夜をつなぐ夢想
欠けてしまう想いを無理でつないだ
心のひだに引っかかり取れない塵芥
掻きむしる掌には一筋の髪が残った
頭蓋の中から一言も出てこない幻想
賭けた人生の時間だけ焦りを生んだ
昼行灯の口先からつづりあげた架空
懸けたはずの命は独りよがりだった
出来上がった文の連なりの名は妄想
書き上げた文章は月の下でほどけた
暗がりに浮かぶ幾つもの言葉の残骸
囲い込んでいた想像が月夜に弾けた
現実と塵芥と架空と残骸で紡ぐ連想
輝き始める地平線に端書きを載せた
空想の海の中で生まれ変わった言葉