幼馴染の仲間達が自分を大嫌いだと思っていて、見返すために大賢者になった話
今度は幼馴染パーティーの話。 @短編その7
「カイエン!お前はもう足手纏いだ!このパーティーから出て行け!」
幼馴染で、ガキの頃から一緒にいたポラリスが、ずっと一緒に戦って来たメンバーであるカイエンに、最終通告をした。彼は呆然として何も言えない。
他にも同じく幼馴染みのユース、ゴルチャもその場にいたが、二人もポラリスと同じ意見の様で、口を挟まない。4人はしばし無言・・
長く一緒にいたのに、キッパリと言い切られてしまったショックも、ようやく落ち着いた様だ。
「すまなかった。何か役に立てると思っていたんだが・・」
カイエンは皆と比べてレベルが低かった。
なぜかは分からなったが、なかなか上がらない。
彼も努力をしてみた。いろいろな文献を調べ、人にも頼り、付与アイテムも探したりもした。
だが全く上がらなかったのだ。
こんなオレじゃ、見捨てられても仕方がない・・
「俺達はもう先に行く。お前はここに泊まっていけば良い。餞別も置いといてやる」
「ごめんね、カイエン。自分にあった道、探しなね」
「さようなら、カイエン。きっと見つかるよ」
そして3人は宿を出て行ってしまった。彼一人残して。
しょんぼりと晩飯を宿屋の食堂で食べていると、一人の冒険者が声を掛けてきた。
それがきっかけで、カイエンの人生が大きく開けていくのだった。
今まで上がらなかったレベルだが、自分が思い込んでいたスキルとは違う所為だった。
それを活かすレベリングに変えると、あら不思議!!
「なんだ!こんな簡単な事だったなんて!もっと早く気付けたらポラリス達に愛想尽かされなかったのにな・・・」
同じ村出身で、4人とも孤児で、教会で一緒に暮らしていた。
「大きくなったら冒険者になって、金をガンガン稼ぐぞ!!」
4人は14歳になると、ギルドのある街に旅立った。
そしてみんなで頑張った。
頑張って・・励まし合って・・泣いて、喧嘩して、怒って、笑った。
だけど彼を置いて行ってしまった・・・
彼だけ置いて・・
「いつか再会したら、言ってやる。『オレを追い出さなかったら良かった!』って、悔しがらせるんだ!」
それが彼のやる気の源となった。
5年が過ぎ・・
彼は勇者のパーティーのメンバーで、『大賢者』になっていた。
夢中で頑張っていた彼だったが、ここ数年は余裕が出来た。
ギルドに行くと、昔のパーティーの名を捜すが、一度も見当たらない。
「もしかして解散したのかな。ユースとゴルチャは女だから、結婚したとか」
あれから5年経っているから、それもあり得る。
たまたま受けた依頼先が、彼のいた村の近くだったから、久しぶりに立ち寄った。
驚いたことに、懐かしい教会にはゴルチャがいた。
彼女から聞いた話に、カイエンは愕然とした。
実はポラリスは呪いを受けていて、余命が1年だったのだと。
ユースはポラリスが好きだったから、看病するためにパーティーを抜けるつもりでいたと。
教会のシスターも病気がちだったので、ゴルチャはシスターになろうと前から思っていたと。
でも、カイエンはどうする?
みんな彼がレベルで悩んでいるのを知っていた。
俺達ではアイツの役に立てない。
あちこちのギルドに立ち寄る度に、彼を助けてくれるメンバーを探した。
そして遂にあの街のギルドで見つけたのだ。
だがその頃には、ポラリスの寿命は2ヶ月を切っていた。
大好きな親友に嫌われる様に言うのは、本当に辛かったのだと。
宿屋を出て、ポラリスはずっと泣き続けたと。
『やっぱり取り消しだ!あれは冗談だ!』
何度も戻って、謝って、また一緒に旅をしたいと。
でも、ここで彼を放してやらなければ。
本当のことを告げたら、優しい彼は立ち止まってしまうから。
だから3人は泣きながら街を後にしたのだと。
そして3人で村に戻り、ちょっと延命出来たポラリスだ。
別れてから半年後にこの世を去った。
ポラリスの子を産んだユースだが、2年前に病気で亡くなっていた。
子供はこの教会で、彼女や他の孤児と一緒に暮らしている。
思ったよりも長生きをしたシスターも、1年前に他界した。
私はここを守っていく。ゴルチャはにっこり笑って言うのだった。
「黙っていてごめんね、カイエン。君の活躍、応援してるよ」
教会の前には墓地があって。
そこに親友二人が眠っている。
自分より才能があって、強かったポラリスは、余命宣告されてどんな思いだったのだろう。
そんな苦しい時に、親友を思い、悪者になった彼に・・・カイエンは怒鳴ってやりたい。
親友なら、言えよ!言ってくれよ!!
オレだって、一緒にいたかったんだ!!でも格好悪いところ見せたく無かったから・・
つまんない意地を張った!!やっぱり追っ掛ければ良かった!!
レベルがなんだ、お前の命に比べたら、そんなもん、そんなもん・・
「くそったれ・・」
親友があまりにも優しくて、もう彼がいないのがただ悲しくて。
「文句も言えねーじゃねえか・・」
彼は墓跡の前に座り、目を瞑る。彼との思い出が、浮かんでは消え、浮かんでは消え。
ようやく目も乾いて、帰りを告げると。
これを持っていけと、ゴルチャに手渡されたのは、ポラリスの短刀だ。
「大剣は息子に渡すから、これをあげる」
礼を言い、カイエンは教会を後にした。
テーブルに短刀を置き、グラスは2つ、酒を『交わす』。
それが彼の日課となった。
ほぼ毎日短編を1つ書いてます。随時加筆修正もします。
どの短編も割と良い感じの話に仕上げてますので、短編、色々読んでみてちょ。
pixivでも変な絵を描いたり話を書いておるのじゃ。
https://www.pixiv.net/users/476191




