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蛮夷

  ロロ・ボナは、アナ・ボナの兄だ。

 モモ・テオも3つ下の兄弟であるが、弟

 なのか妹なのかの判断が難しい。

 

 父のノア・テオと母のテッサ・ボナが離婚

 して、モモ・テオと父が一緒に住み、

 ロロ・ボナとアナ・ボナは母と一緒に

 住むことになった。

 

 身体的特徴は、どちらかというとモモ・テオ

 が母のものを受け継いでおり、背もそこそこ

 あって体格も良い。

 

 ロロ・ボナとアナ・ボナは父の身体的特徴を

 受け継いでいるようで、ロロと父はほぼ

 同じ160センチ前後の身長だった。

 

 この兄妹たちから見る限りでは、父と母の

 性格はどちらも一度言い出すと後には引け

 ないタイプで、実際にそんなにお互いを

 嫌っているわけではないようなのだ。

 

 兄妹たちはしょっちゅうお互いの実家を

 行き来していて、それぞれが持っている

 漫画や小説を借りたり返したりしている。

 

 父と母が結婚した当初は、家族で劇団を

 運営していた。

 

 父とモモ・テオは今も演劇と絡んだ仕事を

 しているが、母とロロ・ボナ、アナ・ボナは

 今のところそれほど演劇とは縁のない生き方

 をしている。

 

  ロロ・ボナは、年少のころから軍事の

 才能を示していた。この時代、学校の試験

 だけではなく、簡単なアンケートから一日

 かけたテストなどで、個人の適正がかなり

 のところまでわかるようになっていた。

 

 その才能も、前線で戦うというよりは、

 スパイを多用した諜報活動による情報収集

 からの戦機の判断、政治や経済の状況を

 背景とした兵站の確保方法など、戦術より

 も戦略面で光っていた。

 

 歴史や文化的考察による和戦両面からの

 外交アプローチのコメントなどもオンライン

 上にあげている。

 

 しかし、ロロにとって軍事は、漫画や小説

 などの趣味の延長で、自身は数学や物理が

 得意なこともあって、エンジニアか何か

 になるつもりだった。

 

 

  最近一部の人の間で、ロロ・ボナの評価

 が上がってきた。

 

 タイナート帝国という国が勃興し、辺境の

 各都市を併合していっている。それに早く

 から目を付け、警告を発していた。

 

 中間都市の各国は、最初それを無視していた。

 辺境で勃興した国の国力などたかが知れて

 いる、という理由だったが、けっきょくは

 それは希望的観測に過ぎなかった。

 

 中間都市は、太陽系と半獣半人座星系を繋ぐ

 経路にあるが、それに直行する形で、資源

 宙域が広がっていた。過去には、暗黒物質と

 してその存在を予言されていたものだ。

 

 たとえ人口が少なくても、豊富な資源と

 政治的、文化的傾向により、脅威となり得る

 国が興り得る可能性がある、とロロ・ボナ

 他何人かの研究者も指摘していた。

 

 タイナート帝国が中間都市から約1か月の

 距離に到達したころに、どの程度の脅威かが

 明確になってきた。

 

 現存の中間都市連合軍が通常の戦闘を行えば、

 必ず負けるとの仮想戦闘結果が出た。

 そこに至って、中間都市連合国はやっと外交

 担当者と軍事担当者を変更した。

 

  当初ロロ・ボナは、国交のない辺境国にも

 スパイも含めて人を送り、文化的交流も

 交えながら情報をとるべきである、場合に

 よっては外交努力で懐柔を行うべき、

 

 と主張していたが、完全に態度を硬化させた

 タイナート帝国に対しては、戦力を集中

 させて一戦して勝利し、その後すぐに講和

 条約を結ぶべき、との意見に変わっていた。

 

 もはや日和見は許されない状況であり、

 タイナート帝国建国の歴史的経緯から見ても、

 何らかの有利な状況を作らない限り帝国側

 が妥協することはないだろうとの判断だ。

 

 連合国のトップは、この考え方を採用した。

 

 そして、ロロ・ボナは、連合国参謀本部に

 特別研究員として迎えられる。彼の献策は、

 新戦法による敵主力の殲滅または撃退と、

 新技術による都市防衛だ。

 

 これらの案において、戦術面で適正を見せて

 いたのが、彼の弟のモモ・テオと、妹の

 アナ・ボナだった。彼らは、戦略のマクロ

 面を充分理解しつつ、戦術面で素晴らしい

 適正を見せた。

 

 それに関しては、連合軍の内部でもほとんど

 知るひとがいないまま、計画が進められて

 いた。ただ、仮想戦闘計算では、かなりの

 適正と成功率が示されていた。

 

 もともとロロ・ボナが民間人で、ほとんど

 見向きもされていなかったことが、彼の

 案を採用するにあたり、情報隠ぺいの面で

 プラスとなった。

 

 しかも、公式には、いまだに軍の参謀から

 その時点で最良と思われる既存のプランを

 採用していることになっている。

 

 知っているのは、政治と軍のトップ、そして

 当事者含めたごく一部の人間。

 

  新しい公演のための充電期間に入るとして、

 モモ・テオはふだんの公演を減らしていた。

 アナ・ボナは、すでに軍属で訓練を繰り返し

 ている。

 

 その二人に召集がかかった。いよいよ、

 タイナート帝国軍の主力が中間都市に接近

 していることがわかったからだ。

 

 帝国は、まず軍事用の移動都市を中間都市

 から2週間ほどの位置に接近させており、

 そこから移動基地を4日ほどの位置へ接近

 させ、艦隊を出撃させるようだ。

 

 その数、およそ1万隻。対する連合軍側は、

 7千隻。同時に、帝国側は別動隊を出して、

 中間都市そのものを攻撃するという予想が、

 軍の機密として一部関係者に出されている。

 

 中間都市の防衛にはおよそ3千隻。帝国側は、

 中間都市の軍事関連の情報をかなり入手

 できているらしく、主力とは別で中間都市を

 攻略する場合、都市攻略に充分な戦力を用意

 している可能性がある。

 

 この一戦に敗れた場合、中間都市側は、全面

 降伏という事態も考えなければならなかった。

 

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