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モコモコおててで異世界を歩く。  作者: 壱菜
モコモコおててでお手伝い。
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もこは強くでる。


 契約した私は好きな時に人間の姿へ変化することができる。けれど人間の姿にコンプレックスがあるため一度も変化をしたことがない。これからもする予定はない。多分。

 首には今まで使用していたリボン、左手首にはロアンとお揃いの数珠を付けている。数珠は手首につけるとサイズが変わり左手首にしっかりとフィットしているため歩いたり走ったりしても外れることはない。


 人間だった時はアクセサリー類を付けることなく生活をしていたため、首と手首の二箇所に付けるだけで派手だなと思ってしまう自分がいる。

 しかし、二つとも必要で大切なものだから取れないでいる。


 契約し言葉を理解できるようになり、白蓮によってリボンにかけられた通訳の固定魔法は解除し、新しくロアンによって結界の魔法がかけられた。

 何かあれば魔法をかけた相手に場所や状況が伝わるからと契約者であるロアンがかけることになったのだ。

 だから迷子になってもすぐに場所を知られ、回収されたのだ。魔法はうまく使えば便利だなぁ。としみじみ思う。


 白猫と出会ったことでロアンが想像もしていなかった程の権力者と分かり、二人の距離はーー…そのままを保っている。

 周りからはロアンの愛猫と黙認され、衣・食・住を共に過ごしている。

 島での暮らしと違うのは、家の方は暖かみのある木材の家具ばかりだったが、新しく同居している部屋は高級なものばかりで壺一つでも壊さないかとハラハラしながら暮らしている。

 ベッドは一つしかなく、ロアンの隣で寝るしか選択肢はないし、トイレは室内に付いた個室を使用している。


(猫が人間のトイレに入ったら周りは驚いてしまうしね。)


 毎日、毎日、暇すぎてダラダラしながら高級なお菓子を食べ、下っ腹辺りが太ってきたような気がする。

 だから朝は迷わない程度に街中を歩いて散策し、同じ道を通り城に戻ってくる。そうしているうちに門番さんと顔見知りになったのだ。


 あの日、野良猫と言われたことをもちろん気にしている。だからここに来て太ってしまった分は痩せなくては。あの口の悪い白猫にあったら馬鹿にされる。


 そう考えていると実際に会ってしまうものだ。


 門番さんに挨拶回りをして城へ戻った私は、東棟にある騎士団の宿舎へ向かう。

 何故か城の中には猫が通れるように開閉式の小さな戸があり、エントランスと東棟に繋がる戸の前にそいつはいた。


 ドーンっと効果音付きで現れた白猫。

 白猫は私を見るなり口を開く。


「ーーおせぇ…。待ちくたびれて足が痺れた。」

(そんなの知らないよ。)


「聞いてんの?わざわざ待ってた先輩に何か言うことあるだろ?」

(数ヶ月前に会ったっきりなのに、なんだろうこの馴れ馴れしさ。)


 バレないように小さくため息を吐く。

 異性とはこんなもんなのか?弟にアクア、白猫と知人の男運には恵まれていないようだ。契約者がイケメンで優しいのが救いだ。


「はい、はい、すいません。」


 首の後ろを後ろ足で掻きながら答える。


「それ謝る気がないだろ。」

(えぇ、もちろん。私悪くないもの)


「まぁいいか、それより俺様の主人がお前に会いたいと言ってる。だからついて来い。」

「……やだ。」

「はぁ?」

「やだ。」

「なんでだよ。」

「そんな言い方されて君はついて行きたいと思う?しかも、君に会うの2回目、名前知らない、不審猫、信頼ない、ついていく理由ない。以上。」

「ーーなっ…。」


 言葉を失う白猫を体で押しやり戸を押してエントランスを後にする。

 戸が閉まる瞬間、驚愕した青い目と視線が合い心の中で捨て台詞を吐く。


(ざまーみろ、今時俺様とか流行ってないから。甘やかされすぎなんだよ。元人間を舐めるなっ)


 気分がスッキリし、二足で立ちついついスキップをしてしまう。だから気付かなかった。


「うわっ、なにこの猫。二本足で歩いてるじゃん。君、魔物?」


 両脇を掴まれ持ち上げられる。

 気付いた時にはがっちりと捕獲され、目の前に現れたのはこれまたイケメンさんでした。


 木蓮、白蓮、この国はイケメンが多いんですね。

 


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