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モコモコおててで異世界を歩く。  作者: 壱菜
モコモコおてては旅に出る。
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もこは必殺技を出す。


「まぁ、簡単にいえば…契約したい人とお互いに身につけるものを一緒に作ればいいだけ。」


……ん?


「何その間抜け面。」

「アクア、それは言い過ぎ。」

「だってー、木蓮が可愛すぎて。他の女なんてただの芋にしかみえないんだもん!」


……だもん!じゃないでしょー!この男女っ!


大人の対応。大人の対応。

青筋がピキッと浮かんでいるが、表情に出さないように腕に爪を立て耐える。

目の前でイチャイチャするふたりを邪魔するかのように、ずずずずっとトロピカルジュースを下品に飲み干す。


「わかりやすく言えば、契約する相手とお互いに身につけられるものをお互いの魔力を合わせて作る。二つペアで。以上!」


ーーんんっ?


「だーかーらー、僕は彦次郎と契約を結ぶときにこのピアスをお互いの魔力を込めて作った。そこまではわかる!?」


アクアは心底面倒だとテーブルに肘をつき手のひらに顎を乗せる。長い髪の毛を空いた手で払い、耳の軟骨についたアクアマリン色の輪を指で弾いた。


実物を見せてもらうとイメージが湧くから不思議だ。

うんうん、とピアスを見つめながら頷く。バカにされてるような気がするが気にしていたらキリがないと割り切る。


「気付いたかと思うけど、僕と彦次郎は水の魔法が得意だ。」


……そうなの??

思わず首を傾げてしまい、目の前のアクアが人を見下すように目を細めたのをみてしまった。と思ったが無視だ無視。

だってこの世界に来てそんな経ってないもんと開き直る。


「はぁ、僕が水の精霊だから水魔法が得意なのはわかるだろうけど、彦次郎はシーラカンスなんだよ。そりゃ水の魔法が得意に決まってるじゃん。」


……そうですねー。

シーラカンスが口から火を吐いたらイメージがガタ落ちですよね。

アクアの態度に言いたいことがすっごくあるけれど、私は大人の女性。大人の女性。介護施設で理不尽なお客様が当たり散らしていた時に得たスキルを使う時が来たようだ。


必殺、ただの笑顔!!

にこにこにこにこ、にこにこにこにこ。

ただひたすらに笑顔を絶やさないのがポイント。

理不尽なことで怒鳴られても、嫌味を言われてもただ無になり笑顔を作ることだけ精を出す。

これで何人もの理不尽や我が儘に対応してきた。最強の必殺技だ。


「まぁ、いいや。早く終わらせたいから話進めるよ。っで、二人の魔力を込めた結晶がこれな訳。この綺麗な色、僕の魔力が澄んでるって証拠ー。」

「アクア、話が脱線してるっ!」

「あー、木蓮…。僕は早く君と日向ぼっこがしたいよ…。」

「ふふふっ、私もっ。けど、今は大事な話の最中でしょ?がんばって!」


ひ、ひっさーつ、ただーの笑顔っ!

早く終わらせたいなら自画自賛もイチャイチャもどっかに置いてこい!と言ってやりたい。だか、今は貼り付けた笑顔が剥がれ落ちそうで、必死に取り繕う。


「僕の場合は簡単に契約はできてしまうけれど、君の場合はまだ魔法が制御できない上にど素人だ。相手は出来るだけ魔力が高く君の暴走する魔力を抑えられる奴がいいね。誰か知ってる人いる?」


張り付いた笑顔のまま首を左右に振る。

その笑顔を見たアクアは若干引き気味だが全く気にしない。


「なら僕が選んでいい?」

ーーえっ!?


仮面がその一言で簡単に剥がれ落ちる。


「だって、そこに逸材がいるじゃん?この場で契約してないの二人だけだしね。」


アクアは細く長い指でさす。

それは私を通り過ぎて後ろの方に。


バッと振り返り、刺された人物を確認し…


えぇぇぇぇぇー!!


「だから君うるさいってばっ!!」


お互い、目を見張った。

グッバイ、ただの笑顔。

まだまだ修行が足りないようだ。



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