表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モコモコおててで異世界を歩く。  作者: 壱菜
モコモコおてては旅に出る。
61/83

もこは水の精霊とあう。


ロアンに抱かれた私は、彼の鼓動を全身で感じながら固まるしか出来なかった。暴れたら彼を拒絶するようだし、反対にゴロニャーなんて態度を取ったら引かれちゃうかもしれないし。いや、もしかしたらゴロニャーしたら喜ぶかもしれない。


「ーーみゃぉ」


恥ずかしさで気絶してしまいそうだが、試しに首筋に横顔スリスリを仕掛けてみた。筋張った立派な首は硬いけれどすべすべしていい匂いがした。


「猫を抱いたのは初めてだが…」


背をポンポンと叩かれる。

男の人の喉仏ってこうなってるんだーっと上下する喉仏をじってみていた私は「柔らかくて可愛いんだな。」と爽やかに笑ったロアンを至近距離で見てしまい、くらりと目眩がした。


これ以上は命の危険を察した白蓮に回収され、魂が抜けかけている状態のままサンゴの椅子に戻された。ロアンの優しく撫でる手と温もりや匂いから解放され、尋常じゃない速さで動く心臓を落ち着かせるために深呼吸を繰り返す。


「戻ってこられたみたいですね。」


再び隣に座った白蓮は、7色の海面をジッと見つめる。そこには特に変化がなく首を傾げた。


7色の海は赤、橙、黄、黄緑、緑、青、藍、紫と日本でよくお見かけする虹色と同じ。私の知る海とはかけ離れた色で、日本の海もこの世界のエメラルドグリーンの海も綺麗だけれど、ここの海は神秘的で幻想的だ。波が立っていなければCGや絵と勘違いしてしまいそうになる。

上陸してからハプニングがあり、ゆっくりと島を観察していなかったことに気付く。白蓮とロアンは水面を見ているだけで動く気配はないし、暇な私はキョロキョロと辺りを見渡す。


結界の中に入り下降しているゴミ箱からこの島全体を見たが、森という森はなく、あるのはこの丸い7色の海と白い海岸、そしてそれを囲うように陸があるだけだ。陸には木が一本も生えていなく白、黄色、水色と薄い色の花が一面に咲いていた。

結局、外の海とつながる川は見つからず不思議に思ったが、この世界は私の知る世界とは違うことに気付き深く考えないことにした。


ちゃぷんっ


水面で何かが跳ねた。

生き物がいるのかと辺りを観察していた視線を海へ向けた瞬間。


「うにゃみぅー」


大きな亀が水面から顔を出し、水しぶきを立て現れた。


毛が一気に逆立ち、驚いた勢いのまま肘掛のない椅子から落ち、白い砂の中にダイブ。椅子の後ろに立ったまま控えていたロアンが拾い上げて元の位置に戻す。

口の中に砂が入ってしまいペッペッと砂を吐きながら「ありがとう。」と伝えたが伝わったかはわからない。猫語だから伝わっていない確率が高い。

体についた砂を落とすように体を肉球で払うが長毛が仇となりなかなか取れない。あ、水があったから毛繕いついでに魔法を。と思いフッと今の出来事を思い出し海を勢いよく見た。


「みなっさまお待たせしやした。」

「ーーうなぅ(うそん)…」


海から突然現れた亀は見上げるほど大きく、猫の私なんかは簡単に飲み込んでしまいそうな口から出たのは可愛らしいアニメ声。口をポカンと開き声の主を訝しげに見る。


「まさかこんなに早く到着するなんて聞いてないよ。」


亀とは違い、少し低いそれでも可愛らしい声が亀の甲羅辺りからきこえた。


「あれ?伝えませんでしたか?」


と首を傾げる白蓮。

甲羅の上にいた人物は高い位置から飛び降り砂浜に難なく着地した。


「猫化の期限が短いから急いでいるとは伝書蝶が来たから知っていたけど、到着がこんな早くになるなんて聞いていない。」


そういって頬を膨らました彼女は向かい側の椅子に腰を下ろした。


第一印象を一言でいうと「可愛い。」だ。

想像していたのとは全く異なり、双子のような綺麗な人なのだろうと思っていた。しかし、実際はめちゃくちゃ可愛い人だった。


「君がもこちゃんかな?初めまして、僕は水の精霊アクアだよ。」


そう言って彼女ではなく彼はにっこり笑った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ