もこ再び。
「ーーにゃみゅにゃぁぁっ」
何故こうなった!?
ロアンのお色気にやられ使用不可となった足腰が元に戻り、さて島に降りるかとゴミ箱から出た瞬間、ポンっと音と共に視界が低くなった。
何があったのだろうと手を見ると視界に入ったピンクの可愛らしい肉球。二足で立ったままお腹と背中、ふわっふわの尻尾を目視で確認し、だいぶ遅い悲鳴をあげたのだ。
「あら。」と後ろから付いてきていた白蓮が驚き、先に降りていたロアンは目を見開き固まってしまっている。
ガクッと漫画でよくある膝をついて倒れた私を持ち上げたのは白蓮で、胸に抱えてどこかへ歩いていく。
ついた先は7色の海がある真っ白な海岸で、大きな貝でできたテーブルにサンゴでできた椅子がありその一つに私を座らせた。
「水の精霊は…お出かけしているみたいですね。」
「ーーうにゃうにゃ、うにゃにゃぁ。」
「何か問題でもありました?」
白蓮は分からないと首を傾げて隣のスペースに腰を下ろす。
「にゃう、にゃにゃ、にゃうぅ」
「そのお姿は嫌いですか?」
「ーーにぅ。」
「その姿ももこさんに変わりないですし、猫の症状もないようなので大丈夫なのでしょう。もしかしたら人間になれる時間が決まっているのかもしれませんね。」
「みゃぉにゃぁ?」
「はい、因みにですが自力で人間に戻れますか?」
「……にゃにゃっ」
「そうですか…。」
あの時は何故人間に戻ったのかも分からないのに、更に猫に戻る時なんて強制的過ぎてわからない。でも、この姿の方が落ち着く。猫に戻って気付く、人間の姿はやっぱり嫌いだ。こっちの方が愛嬌あるし可愛い。と尻尾をゆらゆら揺らした。そんな私たちをジッと見つめる人物が。
「ーー会話ができるのか…?」
突然のことで忘れられていたロアンだ。
「うにゃにゃみゃう。」
慌てて口を肉球で押さえる。あ、髭が曲がって鼻の穴に刺さった。
クスッと白蓮が笑う。
「えぇ、私は精霊ですから動物と会話ができるのです。こちらの姿では初めましてになりますので改めてご紹介いたしますね。猫のもこさんです。」
脇の下で持ち上げられてデローンとなった私をロアンの前に出す。お腹、お腹っ!一応レディーなんだから。大事な部分も見えちゃう!と慌てる私を他所に、ロアンは真面目に捉え肉球と握手を交わし「ロアンだよろしく頼む。」と知っていることまで口走る。だいぶ頭が混乱しているようだ。
一緒にいて気付く、白蓮って儚くて華奢でお淑やかだと思っていたけれど、性格はなかなか意地悪だ。それを本人に伝えるとけろりと「そんなことないですよ。」というが、私とロアンのやりとりを満面の笑みで観察するところを見るとそう思うじゃない。ブラーんと伸びたままの私をロアンに押しつけて持たせた時はほんっと白蓮を恨んだからね。
びっくりし過ぎてロアンの肩に爪を出してしまったが、寸前に結界が発動して刺さることなくて安堵した。
「うにゃうぅ…」と謝ったけれどロアンには通じなくて、首を傾げた後に眉間を撫でられた。
白蓮さん、ほんっと笑わないで。私本当に恥ずかしさ限界です。




