もこは叫ぶ。
「ばーか、ばーか、ばぁぁーかっ!!響のどあほぉー!!」
車を走らせ40分の場所にある高台の公園は、むしゃくしゃした時に来る穴場のスポット。
街灯一つと月明かりで照らされた薄暗い公園内は、砂場横にあるベンチにカップルが一組。いちゃつく二人なんて気にもせずに砂埃を立てながらベンチの横を通り過ぎ、公園の端の木で作られた囲いに手を置き、公園下の街並みに向かって声を張り上げた。
「神様は不公平だー!!両親から何故私が生まれたのー!背がチビ!顔でかい!髪の毛癖っ毛!目がほそーいっ!!うがぁぁぁー!」
肺いっぱいに空気を溜め、暴言と共に一気に吐き出す。
「響ばっか!!なんだあの艶やかな髪!長身!ぱっちりふ・た・えっ!!!」
「顔ちーさいしっ!なんで私には何もないんだぁぁぁ!!」
柵に爪を立てる。
「響はいっつもいっつも私をからかう…チビだから姉だと思わないで抱きつくし…」
「そんな響が大っ嫌いだぁ!!」
頭を上下左右に勢いよく振る。
宙をばさばさと暴れ狂う髪の毛。
響に切るなと言われ伸ばし続けている髪。
響の髪質と似ても似つかない猫っ毛。
「こんなんだったら猫に生まれたほうがマシだぁー!!神様のバカヤロゥー!」
そう、これが過去の私が発した最後の言葉。
覚えているのは、暴言の少し後に後頭部に受けた衝撃と、気を失う前にベンチでいちゃついていたカップルの冷え切った瞳。
今なら分かる。
神様、怒ったんだろうなぁ…って。




