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モコモコおててで異世界を歩く。  作者: 壱菜
モコモコおてては旅に出る。
30/83

もこは混乱する。


頭の中でぐるぐると回る白蓮の言葉。


"本物の猫になってしまったのです"


血の気が引き、体を抱きしめる爪が肩に刺さってそこから血が滲み出る。


痛みなんて感じない。

それよりもどうすればいい。どうすればいい。


どうすれば。


どうすれば。


どうすれば。


どうすれば。


どうすれば。


どうすれば。


どうすれば。


どうすれば。


ぶつぶつと呟く。


どうすればいい。


どうすればいい。


どう……


ぽんっと肩に乗る温もり。

しゃらんっと鈴の音が真っ白になった頭の中で響き、徐々に色を取り戻していく。

肩に乗せられた手から感じる温もりはうっすらと金色を帯び、爪が食い込んだ傷を治癒する。


その光は体全体を包み込み、その温もりは母に抱きしめられているような安心感があった。



にゃおみゃみゃん(ありがと)


背中をゆっくりと撫でる手がとても優しくて涙が出そうになる。

ぐっと涙をこらえ猫にならない方法を白蓮に問う。



「350年の間で異世界から迷い込んだのはもこさんを合わせて四人。四人全てが精霊の森に迷い込んでいます。精霊達の中で異世界からの迷い人は現れた森の精霊が責任を持つようにしています。そして、動物の姿だった彼らは人間として人生を送っていました。」


微かに残っている黒くてドロドロした鬱念がすとんっと体の外へ落ちた気がした。


「未だかつてガサール島に異世界人が迷い込むことがなかったのです。私たち姉妹は初めてのことだらけで--…経験のある水の精霊に助けを求めたのです。彼女は一人目の迷い人が動物に変化することを止められなかったのを悔いて、何十年かに一度現れる迷い人を人間に戻す方法を発見した精霊なのです。」


なので大丈夫ですよ。と安心させるように優しく笑う白蓮に、我慢していた涙が溢れ頬の毛に吸収されていった。


あぁ、私助かるんだ…


安堵と共に、猫って涙流れるんだなぁと気づいた瞬間だった。



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