もこは失敗する。
「お待たせしました。さぁ、ウルール島に向かいましょう。」
そう言って白蓮は手を二回叩く。
何が起こるのか分からず、首をかしげる私の後ろから突風が吹き、小さな体は押されてよろめく。
短い足で肉球と爪にグッと力を入れ、倒れないように踏ん張る。
少しすると風が穏やかになり後ろを振り返ると、
「うにゃにー!?」
金色に輝く球体の中に紙のゴミ箱が浮いていた。
やっちゃった…。
飛んでいくと聞いただけだったから紙飛行機みたいに紙のゴミ箱がそのまま飛んでいくものだと…。こんなお洒落でゴージャスな球体の中にゴミ箱なんて…。
再び両膝を付いて項垂れる猫に、木蓮はしゃがみ込み肩をそっと撫でた。
「とても乗り心地よさそうだね。さすが、もこ!」
--そうよ!!
見た目の問題じゃない!!
顔をガバッと上げる。
その先には球体を撫でる白蓮。
撫でられた場所は扉が作り出され、白蓮は引き戸を引いたままこちらの様子を伺っている。
「にゃっみゃうにゃ!」
項垂れていた体を起こし、しゃがみ込んだままの木蓮に敬礼のポーズをとり走り出す。
「うにゃっ」と白蓮にお礼を言い、高い位置にあるゴミ箱の縁に飛び乗った。
紙は強度を増していて、猫が縁に立っていても折れることはない。シャボン玉のような透明な球体は手を伸ばせば届くところにあり、爪で突いてみても風船のように破裂することもなかった。
魔法って凄いなぁっと何度目かの感動をし、ふわりっと揺れもなく浮き上がったゴミ箱にまた感動する。
4mほど上がったところで、木蓮へ手を振ろうと下を覗くと、木蓮は先程もこが無意識にポーズをとった敬礼を真似て立っている。
しかし、全く違う…
おでこに手を添えるのは当たっているが、手のひらで熱を測ってる人になってる!
うにゃっにゃっと腹を抱えて笑い、笑いが収まった後に木蓮に手を振った。
戻ってきたら敬礼のポーズを教えてあげよう。
こうして白蓮と猫の旅が始まった--。




