もこは決意する。
「じゃぁ、説明するわね。」
背にしていた木のボードに手をかざす。
木蓮が目を瞑ったのは一瞬で、目を開いた時にはボードいっぱいに地図が描かれていた。
「ひし形の形をした小さな島が今いるところ。」
木の棒で中心を指す。
指された島は緑色に輝く。
「そして、右隣にある大きな大陸がタファーナ大陸。この線に沿って国境があり、左がルイバナ右がバヂガーナよ。」
再び木の棒で国境をなぞり、なぞられた国境は赤く光りだす。
「タファーナ大陸は元々一つの国だったの。8年前に国王の実弟が反乱を起こし返り討ちにされ逃げた先が、バヂガーナと呼ばれるようになったの。」
今度は木の棒でバヂガーナを何度か叩く。
しかし、そこが光ることはない。
魔法って便利だなぁっと感心していると、白蓮とバチッと目が合い、引きつった笑みを浮かべボードに視線を戻した。
あの白蓮の激白から気まずくて会話することも、目を合わせることも、白蓮と接すること全て挙動不審になってしまう。
飛び蹴りや引っ掻いたりと苛立ったからといって手や足を出してしまった罪悪感から不自然な態度を取ってしまっている。
「っで、もこに向かってもらうのはここっ!」
バシッと棒の先で叩いたところは、タファーナ大陸の右下にある小さな島。
棒で叩かれた島は赤く点滅している。
ーーそんなに遠いの!?
この地図がどれぐらい縮小されているのかは分からない。
けれど、猫の一歩で着く距離でないのは確かで、この国素人の猫が一匹で行ける距離ではない。
目を見開き、今いるところと目的地を行ったり来たりと目で確認する。
その私の行動に木蓮はニヤリと笑う。
「そこで、もこには白蓮と一緒にこのウルール島へ行ってもらいます!」
その言葉に、垂れ下がっていた尻尾がぴょんっと跳ね上がる。
そーっと白蓮を見れば微笑みを浮かべ「もこさん、よろしくお願いします。」と頭を下げた。
ーーうっ…大人だ…
「ーーにゃおみゃおん」
見た目は小さいけど、中身は32歳なんだからいつまでもウジウジしてないでちゃんと白蓮に謝ろう。
小さな決意を胸に、よしっと小さな腕でガッツポーズをした。
それをみた木蓮が首を傾げながらも同じポーズを取る。
精霊にはガッツポーズの意味がわからないらしい…けれど、私の意思が伝わったのか木蓮は白蓮に気付かれないように「がんばれ」と小さく口を動かした。




