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モコモコおててで異世界を歩く。  作者: 壱菜
モコモコおてては旅に出る。
21/83

もこは怒っちゃう。


白蓮のド天然は恐ろしい。

それは身をもって経験済み。


この世界に来てから災難続きだ。

雀もどきから逃れた後は熱い鍋で煮詰められた。

なぜ煮詰められていたのか、その話を聞かされたのはこの世界に来て5日目のことだ。

地の精霊である木蓮に大きな切り株を我が家として作ってもらい、そこでゆっくり休養し、二足で走り回れるほど回復した私に、白蓮が謝ってきたことで事件は発覚した。



ーー姉と水の精霊とお話してて火を消し忘れました。


と、頭を深々と下げたのだ。


ーー今なんと?

ぽかんっと口を開けっぱなしの私をよそに白蓮はあの時の出来事を話し始めた。


「私と木蓮は地の精霊だった父と風の精霊だった母から生まれた一卵性の双子です。

この土地は精霊だった両親から引き継ぎ、姉妹で守護しています。

カラスズから逃れて湖に落ちたもこさんを助けたのは水の精霊です。」


あの雀もどきの名前はカラスズと言うのか、と憎き鳥を思い出す。

白蓮がお詫びと持ってきた、ホットケーキのような甘いパン生地のお菓子を両手で持ち頬張る。



「私たちは突然現れた侵入者のもこさんを助けるか悩みました。」


白蓮の激白に、食べていたパサパサの甘菓子が喉に張り付き、ごほっ!!とむせる。

突然むせ始めた私に、目の前に座る白蓮の大きく綺麗な薄水色の瞳が更に大きく開く。

肉球で口を押さえ、白蓮が「大丈夫ですか?」と背中を摩る。


ーー大丈夫じゃない!!

でも、ここで話を遮ってしまうと話が進まない。とグッと我慢する。


咳が落ち着いたところで、白蓮が再び口を開く。


「湖に落ちたもこさんが浮かんで来なかったので、私の風魔法で上へ上へと波に乗せて浮かぶようにしたのですが…失敗してしまいました。」


「……うにゃにゃ(つづけて)


「浮かぶどころか渦に巻き込まれて更に水底へ沈んでしまったので、これ以上水底へ行かないようにと姉の地魔法で底を高くしたのです。……ですが、失敗しました。」


「……うにゃにゃ」

大丈夫、まだ大丈夫。


「私の風魔法でぐるぐると回るように波が立ってしまっていたので、もこさんは姉の作った岩にぶつかるだけでした。」


「……うにゃにゃ」


よく死ななかったな…

まだ大丈夫、イライラなんてしてない。

でも体は正直で、尻尾は苛立ちを隠すことはせずにバタン、バタンと椅子の側面を叩く。



「私たちだけでは助けられないと気付き、友人である水の精霊を呼んで助けてもらいました。」


ーー無理だってことをもっと早く気づいて欲しかったかなぁ。


「カラスズに負わされた傷と、私たちが付けてしまった打ち身切り傷が酷かったので、この森で特級の薬草で作った薬湯に入れさせて頂きました。」


うにゃにゃ(ありが)…「ですが、私たちは久々に再会した水の精霊と会話を楽しんでしまい…火を消し忘れてしまったのです。姉に注意されていたのにもかかわらず…」


ーーにゃんだと!?

思い出すのはあの濁ったお湯の中で熱いと跳ねまわり鍋と格闘したこと。

怒りのメーターは限界値を超えていた。


「申し訳ありませんでした!」


椅子から立ち上がり、勢いよく頭を下げた白蓮に短い足で飛び蹴りを食らわす。

ついでに爪を出し、綺麗な白蓮の頬を引っ掻く。

血が滲んだ三本の線が白蓮の頬に刻まれたが、白蓮は痛がるそぶりもなく、傷は数秒で綺麗に治ってしまった…


精霊は源となる木や花などが壊されない限り不死に近い存在だと白蓮はか細い声で呟く。

「不気味ですよね」と笑うその笑顔はとても寂しそうだった。


そんな顔を見せられてしまったら私が悪いことをしたみたいじゃないか。

再び頭を下げる白蓮の謝罪の言葉を今度は素直に受け入れた。


それが2日前の出来事。

私と白蓮との距離がなかなか縮まらないでいる。

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