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モコモコおててで異世界を歩く。  作者: 壱菜
モコモコおてては旅に出る。
20/83

もこは自由満喫中。


木蓮は森の中を迷いなく歩く。

少し歩いた所に太陽の光を反射してキラキラと光る湖が姿をあらわした。


歪なひょうたんの形をした湖は私が溺れたところだ。

森が開けた先から湖にかけて芝生が生えており、そこへ木蓮の肩からジャンプして着地する。


木蓮が用意してくれた猫用の椅子とテーブルの横を通り過ぎて向かった先は、湖のほとり。

湖を覗き込み水面に映ったのは猫の姿になった自分。


黒に茶色の毛が混じり、立派なヒゲの真ん中にある鼻は綺麗なピンク色。

目は鋭いけれど、瞳は綺麗な茶色で人間の時とは違い、美人だと思う。

長毛だから毛玉にならないように毎日のケアが大変で、必死に毛繕いをしていた私を見た木蓮は「自然と綺麗になるから大丈夫よ」と言った。

二、三日はその言葉が理解できず必死に毛繕いをしていたが、一週間経った今ではその言葉の意味が理解できた。


ここは私の住んでいた地球とは異なるところであって、人間の時の常識は通用しない。

異世界に来たことに対して私は特に何も思っていない。

泣き叫んだり帰りたがったりするのが普通の反応なんだと思うけれど、私は人間の自分に満足なんてしていなかったし未練すらない。


手を湖の中に入れ爪の出し、水面に映る自分を掻き消す。


人間の時の雰囲気を残しつつ猫の姿になった自分にとても満足している。

コンプレックスを感じることもなく、束縛してきた弟の響の存在もなく自由だ。



--そう、私は自由なんだ。


水の中に入れた手を目の前に持ってきて息を吹きかける。

ビショビショで張り付いた毛は、フゥと息をかければ一瞬で乾き、ふわふわの毛は艶やかだ。


この世界には魔法がある。

綺麗な水で体を濡らし、風魔法を使えばあら不思議。お風呂で念入りに洗った後のように艶やかだ。

毛繕いをしていた私に木蓮が言いたかったことは魔法を使えば毛繕いは必要がない。という事。



「もこさん、おはようございます。」


左手も水につけ息を吹きかけている時に後ろから声をかけられ、突然のことで驚き、尻尾がブワッと逆立て太くなる。


水面に映ったのは口をポカンと開けた猫の驚愕した顔と、その後ろに映る白い美女。

後ろを振り返れば木蓮に瓜二つの白蓮が立っていた。

よく似ている二人は色が全く違う。

木蓮は派手な色の容姿だが、白蓮は髪と肌は真っ白で瞳は薄い水色といった容姿だ。


気さくで明るいと木蓮とは違い、お淑やかで物静かな白蓮は笑うと飛んで行ってしまいそうな儚さがある。


毛を乾かす魔法は白蓮に教えてもらった。

白蓮は風の精霊なんだとか。人間の私には精霊とか言われてもちんぷんかんぷんで、この世界の常識を勉強中だ。

因みに、白蓮は究極のど天然で私を薬湯に入れ煮立たせたのは白蓮だ。


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