もこは森林浴中。
大きな切り株の側面に穴を開け空洞にし、そこをワンフロアにしたお家。
中の家具は全部木製で、猫サイズの小さいものから人間サイズのものが2組ずつ隣り合わせで置かれている。
この家を借りる時に気になり聞いてみたが、この世界と私の存在を学べばいずれ必要になると、納得のいく答えは貰えなかった。
質のいい布団に名残惜しいが、寝ぼけ眼で起きてふらふらと洗面台へ向かう。
肉球でどうにか水をすくい顔を洗い、うがいをしたところで丁度よいタイミングでドアがノックされた。
人間サイズのドアではなく、50cm程の小さなドアを押して開ける。
猫といっても子猫並みの大きさなので立ったままでも余裕がある。
そのドアを開いて目の前に現れたのは訪問客の足だ。
--スタイルが良くて羨ましい…
小麦色の健康的な長い足は、程よい肉付きで私の憧れだ。なんたって今は人間の時より短い足になっている。
その美脚に勢いよく飛びつく。
そのまま膝下まであるスカートに爪を少しだけ立てて、お腹、胸、肩とよじ登っていく。
爪を立てられている相手は気にすることなく、痛がる素振りも見せずされるがままだ。
登ったあとに落ちないように首筋に体を寄せる。
「もこ、おはよう。支度はできた?」
「--んにゃ」
ここにお世話になって一週間。
切り株の家の周りは大小様々の木が生い茂っていて、他に家は見当たらない。
この場所に住んでいるのは私だけのようだ。
右も左も木だらけのこの場所は、森に入ったら100%の確率で迷子になる。
家に一人でいるときは絶対に外へ出ないようにしている。
そんな森を抜けるために、迷子防止策として緑の肩を借りている。
緑と呼んでいた女性の名前は木蓮。
髪と瞳は緑で、スタイルのいい体は健康的な小麦色。とても気さくで明るい美女だ。
この住処を紹介し、さらに私にこの世界の言葉と歴史を教えてくれている。
見た目も性格も頭もいいなんて、本当に羨ましい。




