もこは調子にのる。
なんだろうこれは…?
ぐー、ぱー、ぐー、ぱー、と何度も何度も動かす。
黒い毛に埋もれた中心にはピンクの肉球。
指先を開くと出てくる鋭い爪。
立ち上がり肉球がある手で顔をくまなく触る。
頭の上に付いている尖った耳。
瞳のうえにある長いヒゲ。
口元に生えた沢山のヒゲ。
寄り目をした時に見えるピンク色の小さな鼻。
そのままお腹に触れるとふわふわモコモコの弾力のある太ったお腹。
黒にところどころ茶色が入った毛は長く、さらさらと毛質がいい。
一通り触り終え、腿あげ1、2、1、2と心の中で数え足を動かす。
手同様に意思通りに動く短い足。
そして、お尻に付いているゆらゆら揺れている尻尾。
--私は猫になっているみたいだ。
驚きを通り越して冷静になれたのはきっと、この状況が非現実的すぎるからだ。
低すぎた視線は猫の状態で二足歩行していたからだなと納得する。
--この夢はいつ覚めるのだろうか。
短い腕を組み、頭を傾げる。
よくできている夢だ。
意識がはっきりして、自分の思い通りに体も動かせる。
頬を掴みびよーん。と伸ばす。
しかし、途中で頬が手から外れ元の位置に戻ってしまった。
掴めはするが、短い指では力を加えるのが難しく、猫の手は不便だ。
よし、夢なら覚めるまで猫を満喫しようではないか。
二足歩行ができるならばスキップもできるはず。と上へ跳ね上がる。
--スキップ、すきっ…!!
「……うにゃ?」
足場が崩れ、急降下する体。
コンプレックスの塊であった自分以外の存在になれて浮かれていたのかもしれない。
すっかり忘れていた。
雀もどきが掘った穴があったことを…




