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第4話 敵国の王子
『やるな!白いの!』
青い機体のパイロットが、通信してきた。
『我が名は、アルティス・ドルガーラ!
ドルガ帝国の王子である!』
「な・・・!」
『ここは、貴殿の健闘に免じて退こう。』
青い機体は去っていった。
地球・旧日本エリア・・・
「ついに長きに渡る、宇宙戦国時代の幕開けか・・・」
隼尾は、空を見上げた。
「先祖、葉狐様が持ち帰ったこの記録・・・
どこまで再現できるか・・・」
「それよりも、この時代の人々が神波動を理解できるかが微妙ですが。」
ウサギ娘が、トマトをかじる。
「ホント好きだな、トマト・・・」
「ミストマトと呼ばれています。」
彼女の名は、「伊藤トメ」。
何代か一度に、その名を冠した女性を輩出する家系である・・・
「まあ、隼尾様。」
隼尾に控えていた狐巫女が、声をかける。
「歴史に介入するのはいかがなものかと。」
「違うな。」
隼尾は答える。
「撤退ですか王子?」
ドルガ帝国軍王子専用艦・イクス級・ドルギアの艦長が、アルティスに訊く。
「ああ。」
艦長は、つぶやく。
「皇帝陛下の方針に、真っ向から逆らうおつもりですね?」
「ふッ・・・
それが、民意である!」