Dear PAPA
ずっと貴方が苦手だった。
貴方の機嫌が悪いのはいつも私のせいだと思っていた。
愛されてると思った事もないし、貴方から離れたくて高校卒業と同時に実家を出た。
それでも貴方が反対した男と結婚し、子供が産まれると凄く喜んで可愛がってくれた。
貴方に褒められた事のなかった私は、少し褒められた気がした。
度々 子供達を連れ実家に帰った。
貴方は喜んで色んな場所へ連れて行ってくれ、毎日写真を何枚も撮ってくれた。
子供達は貴方が大好きだった。
そして私が実家を出て19年目で貴方は急に居なくなった。
自分の意志でこの世に別れを告げた。
ポケットには私の子供達の写真を忍ばせて。
貴方がいつかそうするんじゃないかと、私は知っていた。
ねぇ、もっと話したい事あった気がするよ。
どうして大事な時に居ないの?
私の問いに返事をしてくれないの?
最後に見た景色は貴方の目にどう写ったの?
鳥の囀りは貴方に春を教えてくれなかったの?
失ったものは いつも美しくなる。
儚きものは いつだって綺麗だ。
貴方が居なくなって初めて気付いた。
私は貴方の娘で良かった。
そして貴方のにおいが好きだった。