プロローグ
「彼がこの世界から去ってからもう三年かね。あの素晴らしい才能をもう一度将棋界に戻ってきてくれないかね。」
「あの赤旗名人のお弟子さんですから。将棋は引退していないと思うが。」
とある日本将棋連盟の自動販売機前。飲料水を買おうと有名なプロ棋士らが話していた。主題は将棋界最強と呼ばれている赤旗篠名人のお弟子さんの昇君。篠名人の次期逸材と呼ばれていたスーパー少年だ。
彼は凄い才能に溢れていた。将棋プロになるために通らなければならない育成機関である奨励会。6級から始まり、奨励会四段になるとプロ棋士四段の昇格権利が与えられるもの。彼は15歳にて奨励会三段に登り詰めた少年であった。そして彼にはとてつもない由来がある。凄まじい受け将棋でありながら、その受けが鬼神のように攻めに変わっていることことから『ベルリンの鬼神』と呼ばれた。
しかし、三段昇段が決まった時、彼は奨励会退会を本部に告げたのだ。一度も奨励会で負けを知らない彼にとって奨励会のレベルに飽きてしまったのか?果ては将棋に飽きてしまったのか?と訳あり説が浮上してくるなか、師匠はあっさりと承認する。
無敗による退会…。
彼の才能にはとても惜しいものである。
「彼は戻ってくるよ、先生方。」
「あ…赤旗名人!?」
二人の目の前に現れたのは対局の休憩中に自動販売機に訪れた赤旗篠名人であった。
「彼も思い増分休んだと思うから、そろそろ動いてくれると思うよ。」
「名人にはどうして未来が見えるんですか?」
「未来か…。私も未来なんか見えないよ。ただ、彼に先手を指したまでだ。」
赤旗名人は謎の言葉を放って対局室に戻っていった。まだここでは分かるまでもない。このあとに衝撃な告白があることに…。
ムギムギです。初投稿作品閲覧して戴きありがとうございます。将棋大好き小説として将棋好きな読者方に合うような内容を目指していきたいと思います。誤不備な点が多く見受けられると思われますが、今後とも宜しくお願いします。