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姫は勇者で魔法使い。  作者: 不忍唐傘
第一章 【姫と愉快な仲間たち】
6/26

#6

「……クロヌの後任を探さなくてはいけないかもしれませんね」


オルドルもが深刻そうな表情を浮かべる。

二人揃って、一体どうしたというのだろうか。


「のぅ、妾が何かしたのか? そんなに菓子を取られたのが悔しかったのか?」


まさかクロヌからクインアマンを取っただけで、窃盗罪やら強盗の罪に問われるということはないだろう。


「ミコガミには千切ったり切り分けた状態で分けていたので目を瞑っていましたが、今、姫様はクロヌの食べかけを召し上がりましたよね?」

「うむ」


確かにその通りだ。

しかし、そんなことは過去に幾度もあるし、咎められることもあるまい。


「つまり、姫様はクロヌと間接的にですが、キスをされたのですよ」

「ぬぴゃっ!?」


オルドルの言葉に思わず、妾の口から今まで出したことの無いような奇声が飛び出す。

もう一度、今の声を出せと言われても、多分不可能だ。


「で、でも、今までもしたことがあるのじゃ!」


今はあまりしないが、昔は普通にしていたことだ。

だというのに、今まで怒られたことは一度も無い。


「……クロヌ、聞いてませんよ」


オルドルがこめかみに血管を浮かべた状態で、引きつった笑みを浮かべる。

目が笑っていないどころか、表情が笑っていない。

笑おうとしているのは分かるのだが、ただひたすらに恐い。


その般若のような笑みが妾ではなく、クロヌに向いているのがせめてもの救いだ。

向けられているクロヌとしてはたまったものでは無いだろうが。


「お前に言ったら面倒くさいことになるだろうが」


その後、すぐに「ミコガミは人のこと言えないから気にしてなかったがな」と付け足す。

言われてみれば、ミコガミの前ではあまり気にしていないようだったが、オルドルの前ではあからさまに拒絶されていた気もする。

あくまで気がするだけだが……。


「今晩は寝かせませんよ」


オルドルがクロヌに向けて微笑みを浮かべる。

オルドルは引きずるタイプだし、夜になっても今と寸分違わぬ怒りを持続しているだろう。

夜通し説教されるということも十分に有り得る。


「その言い方は誤解を生むから、やめてくれ」


クロヌが嫌という感情を通り越したのか、全くの無表情でそう言った。

いつもも無愛想ではあるが、ここまでの無表情は初めて見た。

というか、これは何か悟りの境地に達しているようにしか見えない。


―*―*―*―*―*―


「んー……。 まだ眠いのじゃ……」


翌朝、クロヌに叩き起こされ、眠気と戦いながら布団から抜け出す。

妾を叩き起こした張本人の目の下には、まだ朝だというのにうっすら隈が浮かんでいる。

……どうやら、本当に彼は一晩中オルドルに説教されていたらしい。


「サフィール、シャルロット様から呼び出しがかかった。 それ、食べたら行くぞ」


特に何事も起こらなかったから、平和に昼ご飯を食べていたのだが、そこへ母上から呼び出しがかかったとの知らせがクロヌによって伝えられてきた。

あの問題が起こったのは昨日の今日。

いや、正しくは昨日なのだが。


何かあった時はいつもに増して、心配になるものだ。

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