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姫は勇者で魔法使い。  作者: 不忍唐傘
第一章 【姫と愉快な仲間たち】
13/26

#13

「その前に、キョウコ殿も妾も幼女じゃないのじゃ!」


キョウコ殿はミコガミの年齢から考えて最高でも15歳なわけで低年齢ではあるが、胸はぺったんこながら身長は160センチ近くありそうだし、妾に至ってはもう16歳だ。

一般定義から考えると、どちらも幼女とは言い難い。


「14歳以下はもれなく全員幼女です」

「……ふぅ、妾はセーフじゃな」


オルドルの幼女の定義は少し幅が広かったものの、妾が考えていたものとほぼ同じだった。

命の危機が去ったため、思わず安堵の声が口からこぼれ出た。


「それと容姿と中身が14歳以下でもアウトですね」

「……セーフじゃな!」


一瞬考えてから、「背丈は少しばかり当てはまらなくもないが、滲み出る大人の貫禄がフォローしてくれているから大丈夫、中身が余裕で14歳以上だから大丈夫」という結論に至った。


「響子……お前のことは忘れないぜ」

「聖にぃ、そんなことを言う前に助けて欲しいッスよ!」


目尻に涙を浮かべたミコガミがキョウコ殿に冗談だと受け止めづらい冗談を言っていた。

受け止めづらい、というより、キョウコ殿は本当にシャレにならない状況にあったりする。


「僕はロリコンやなくて、子供が好きなんや! それに、男の人が好きなオルドルの方がおかしいやろ!」

「違うよ! 僕は男の人はイケメンしか受け付けないし、女の人だってキレイだったり可愛い人にはキチンと反応するよ!」


リヤン殿の普通の反論に、オルドルがおかしな反論をする。

オルドルが自分の意見を言うのは割と珍しいのだが、こんな意見なら聞かない方が良かったかもしれない。


「だから、兄さんも……」


オルドルが顔を仄かに赤らめ、小声でそう言った。

きっとリヤン殿には聞こえていないのだろうが、妾と同じくカミングアウトが聞こえたらしいクロヌがフリーズしている辺りから、これがリヤン殿に知れてしまった時、彼らが今のままでいられるかと言われたら無理だろう。

第三者のクロヌと妾でも受け入れがたいことなのに、リヤン殿本人が今までずっと側にいたオルドルが自分を邪な目で見ていたと知ったなら。

いや、知ってしまったなら。


受け入れろ、という方が酷だろう。


「……お腹が空いたのじゃ」


このどうしたらいいか分からない混沌空間を打破すべく、さりげなくオルドルに少し早めの晩ご飯を要求する。

朝ご飯はオルドルが作ってくれているのだが、昼と夜は母上達と同じく宮廷専属の料理人(シェフ)が作ったものを食べている。


おやつは日によって、オルドルが作ったり、料理人が作ったものだったり、そもそも無かったりと様々だ。


「クロヌ、インスタントでも作ってさしあげてくださ……」

「……小竜【竜頭荼毘】」


クロヌが指先からさきほどの強力な魔術で造った炎の竜のミニチュアサイズを出す。

肩に乗せるのにはちょうど良さそうな大きさだが、文字通り火力の高い魔術を多く扱うクロヌにしては珍しく戦闘能力は高くなさそうだ。


「これくらいなら、妾でもちょっと練習すれば、出せるようになるかのぅ……?」

「……こいつ出すには、あのデカいやつ出せるようにならなくちゃ無理だぞ」


妾がそう言いながら小竜に触れようとしたところ、クロヌに手をはたかれた。

小竜は久しぶりに呼び出してもらえたらしく、嬉しそうにクロヌにすり寄る。


「こんなに弱そうなのにか!?」

「みゅっ!?」


口をついて出てしまった妾の素直な感想に怒った竜が見た目通りの可愛い鳴き声と見た目からはとても想像できない火力の炎を吐き出す。

すると、こうなることを予知していたクロヌが妾の前に立ちはだかり、魔術の文言を唱える。


「【霜石鎮流(そうせきちんりゅう)】」


クロヌの言葉が終わると同時に、クロヌと妾を囲むような形で、床から天井までの高さの石柱と更にそれを囲むような形で水の柱と氷の柱が現れた。

強大な魔力を必要とするこの魔術を眉一つ動かさずに、扱えることからも、妾のボディガードとしても騎士団の指導員としても実力が伺える。


「汝は昔と変わらぬのに、変わったな」

「どういう意味だ?」


クロヌが【霜石鎮流】を発動させたまま、妾に問いかけてきた。

昔、と言ってもクロヌが妾のボディガードとして働き始めた10年の前の頃との比較だが。


「秘密じゃ。 自分で考えてみたらどうじゃ?」


たまにははぐらかしてみるのも悪くないだろう。

いつもは表情に出てしまったりとあっさりバレてしまうからな……。


「特に意味は無さそうだな」


クロヌが妾から目を逸らし、愛用している黒い革製の指先だけが出ているグローブ越しに軽く石柱に触れて、魔術の解除を行う。

何故、右手にだけグローブをつけているのか、と尋ねたことがあるのだが、曰わく、剣との摩擦で皮膚が焼き切れたりしないように、という理由らしい。


「オルドル、早く何か作れ。 公私は分けるタイプなのだろう?」


クロヌが崩れ始めた石柱の陰からそう言った。


「オルドル、わがまま言ったらあかんよ」


クロヌの言葉に続けて、リヤン殿が諭すような口調でオルドルに告げる。

リヤン殿からの言葉には素直に従い、オルドルがキッチンへと消える。


「じゃあ、聖にぃ、後は頼むッスよ」

「おぅ、任せておけ!」


一番口うるさいオルドルがいなくなった瞬間、これ幸いとばかりにキョウコ殿とミコガミがそう言いながら、ハイタッチしてから、肩車でキョウコ殿を来た時と同じ天井裏に押し入れる。


帰りも正規ルートで帰る気は無いらしい。

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