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姫は勇者で魔法使い。  作者: 不忍唐傘
第一章 【姫と愉快な仲間たち】
11/26

#11

「汝、今日は嫌に機嫌がいいのぅ」

「そうですか?」

「うむ、なんというか……何故か肌もツヤツヤしておるし」

「やっぱり、分かっちゃいますかー」


珍しくオルドルが嬉しそうに弾んだ口調でそう言う。

楽しそうで何よりではあるが、明日から責任重大な仕事があるというのに、こんな調子で大丈夫なのだろうか。


「それはそうと、早めに旅支度の方をしてくださいね」


ただの業務連絡の話になっても、まだ少しにやけているオルドルに布団を剥がれたため、起き上がる。

まぁ、明日にはこの国を発つ訳だし、早起きに身体を慣らしておくのも悪くない。


―*―*―*―*―*―


「……誰じゃ?」


窓から見える景色が少し赤く色づき始めた頃、念のために、と始めた荷物整理をしていたら、いつもならミコガミが逆さまの状態で出てくる場所から、黒いおかっぱロングの少女が顔を覗かせていた。

まさか、賽国の暗殺兵だとか……!?


「【竜頭荼毘(りゅうとうだび)】」


すぐ隣の部屋の扉が開き、そこから飛び出してきたクロヌが右手で剣を構えつつ、左手で魔術を放つ。

彼の左手から、小さな仄蒼い炎が現れた次の瞬間、それは竜の形へと変貌し、おかっぱロングの娘の元へと飛来する。

おかっぱロングの方は意外なことに、あまり魔術に長けてはいないようで、為す術なく恐怖で目を見開き、その場から一歩も動かない。


響子(きょうこ)!!」


そう叫んだミコガミが仄蒼い竜の前に飛び出し、文言無しで両手で発生させた吸収性の結界を張り、おかっぱロングの娘の前に立ちはだかる。

クロヌはなかなか強力な魔術を使っていたようで、竜は吸収性の結界にあたっても、消滅することもすり減りことさえもなく、前へと突き進もうと何度も結界に身を叩きつける。


竜が身を叩きつける度に、ミコガミの表情が目に見えて苦しくなっていく。

援護してやりたい気持ちは山々だが、妾は魔術をほとんど扱えないため、加勢しに行ったところで、守らなくてはならない対象が増えるだけ。

意味は無いどころか、むしろマイナス方向に傾く。


「オルドル、早く助けなあかんやろ!」

「ダメ。 身体に障るから。 兄さんは大人しくしてて」


さっきまでキッチンにいたはずのオルドルが、何故か兄を引き連れて戻ってきていた。

前に出ようとする兄を後ろに下げ、彼の魔術以外の戦闘に使用しているナイフとピザカッターを構える。

本人曰わく、フォークは刺さりづらい上に見た目よりも威力が無いらしい。

スプーンは言うまでもなく、刺さりづらいという次元を超えて、そもそも刺さらないし、威力もない。


というか、これらは本来、武器ですらなく銀食器(シルバー)なのだが。


「いきますよ」


オルドルが戦闘地帯にナイフを投擲する。


オルドルが投擲したナイフ累々は竜に向いてなどいなかった。

クロヌもそれが狙った先へと竜を方向転換させる。

否、先行する竜がナイフを誘導するように2つある内の一番右側の開いている窓の外へと飛び出す。


どうやら妾以外の人達は状況を理解したらしい。

……いや、リヤン殿も分かっていないようだが。


「え? 何? どういうことなん?」


妾以上に状況を理解していなさげなリヤン殿がオルドルの服の裾を引っ張り問いかける。


「外に狙撃手がいましたので。 クロヌは私よりも先に気付いていたようでしたが、ミコガミは気付いていませんでしたね?」

「べ、別に気付いてたぜ?」


オルドルがミコガミに向かい、笑顔でそう言った。

対するミコガミはオルドルから顔を逸らし、早口に答えた。

つまり、分かっていなかったらしい。


「よいしょっと……」


不運なタイミングに現れた狙撃手を撃退した時のどさくさに紛れて、天井からおかっぱロングの娘が身軽に宙返りをして、綺麗に着地した。

さっきまでは、目と長い黒髪しか見えなかったのだが、その娘はかなり可愛い。


紺色の夏用の紺色のブレザーのような服に白い丸襟のワイシャツ、ブレザーの色に揃えられた膝上丈のスカート、黒いパンプス。

ぱっちりした紫色の大きな瞳といい、綺麗に手入れされた黒髪といい、天井から現れるという非常識さを引けば、非の打ち所がない。


「えっと、はじめまして。 キョウコ・ミコガミと申します」

次回から、全体的に一話一話の文字数を増やす予定です(´∀`*)

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