彼女に秘密がありました・・・。02
この作品は出血があります。苦手な方はシールド構えて緊急回避だ!
どうも二度目まして、ぬこのしっぼです。
この作品は腕試し的な作品として投稿した作品なのです。
気が向いてくれた人へ感想を頂けると嬉しいです!
それでは、下さいお楽しみ・・・誤字ですか、たぶん・・・無いよ、うん。
title02
「暗い夜道にゃ危険がいっぱい」
……ごめんなさい。
光の無い闇の中で女の子が泣いている。
……ごめんなさい。
ただただ悲痛な叫びを訴える。
……ごめんなさい。
ユリの声だ。
真っ暗な闇の中にオレンジ色の光が差した。
その光と首筋の痛みにつられて瞼が開く。
夕陽の色だった。
目を覚ますと俺はベッドの上、しかもユリの膝枕で寝ていたようだ。
時折、ユリの瞳から涙が零れ落ちて俺の頬を濡らす。
ユリの瞳には生気が無く悲しみと後悔に染まってしまったかのような色で少し怖かった。
そしてユリの口は一定の間隔で「ごめんなさい」と呟く機械のようで『放心状態』と言う表現が一番しっくり来る、とても見るに見るに耐えない様子だった。
「そんなに泣くなよ」
俺が第一声を上げるとユリのビクッと反応し彼女は膝枕で寝ている俺の方へと視線を落としてユリと視線が合うと彼女は少し震えだして瞳からは涙が零れ落ち嗚咽を漏らす。
「だってぇ……。 葵の事、殺しちゃった……かと…思った」
俺がユリの涙で濡れ頬に右手を当てるとユリはその手を両手でギュッと握り締めてくれた
「大丈夫、俺は簡単には死なないよ」
そう声を掛けるとユリの肩から力が抜けて次第に震えが無くなりユリは更に激しい嗚咽で泣き出してしまうが彼女は嗚咽を無理矢理、殺して殺伐とした雰囲気で俺に警告を飛ばしてきた。
「もう、私に関わらない方がいい今度こそアナタを本当に殺すかもしれない」
「構わない」
「どぉして、そんなに傷つけられて優しく出来るの? 意味が解らない! 私はアナタを殺しちゃうかも知れないんだよッ!?」
「ユリは俺を殺さない!」
「だって……それに…それ以前に!……こんな不気味な人間受け入れて貰える訳無いもん!? 葵だってそうでしょッ! こんな人を血を喰らう人間と同じ空間に居るなんて嫌だよね? 気持ち悪いよね!? 虫唾が走るよね!!!」
ユリは今の今まで抱えて歩いて来た心の闇を吐き出した。
「お願いだから、これ以上優しくしないでよぉ………」
ユリ気持ちは痛いほど理解出来る。
同じ人の形をしているのに軽蔑され差別されて自分だけ他の生き物の様な扱いを受ける嫌な仕打ち、一方的に揮われる悲しい暴力、俺にもそんな時期があったから痛いくらい解ってしまう。
「辛いなら素直に泣いた方が良いよ俺で良ければ少しつきあう」
俺は起きあがってユリをそっと抱きしめる。
「ぁぉぃ……」
「悲しい事を言うなよ少なくとも俺はユリの事、好きだ」
そう打ち明けるとユリの瞳には何時の間にか生気が戻っていた。
それから何時間経ったのかは知らないが俺はユリの涙を受け止め続けて彼女が泣き止む頃にはもう外は日が沈みかけていた。
「帰ろう、ユリ、もうじき日が暮れる」
「……うん」
ユリから離れると凄まじい光景が広がっていた。
学校の校章がワンポイントで刺繍されているワイシャツが俺の血とユリのなみだでぐっちょりと濡れていたのだ。流石に誤魔化せそうに無い汚れだ。
「うわぁ! 凄まじい汚れだな」
「ごめんね葵、私ワイシャツ弁償する……」
ユリは俯いて制服のスカートの裾をグッと握り締めた。
また慰めてあげないと直ぐにでも泣きだしてしまいそうな勢いだったので俺は右手で俯いたユリの頭を優しく撫でてあげる。
「ユリが罪悪を感じる必要無いよ。 それにユリは笑ってる方が可愛い」
そう声を掛けると俯いてたユリが頭を上げて瞳に一杯、涙を溜めて一生懸命に笑顔を作くろうとしていて笑っているのか泣いているのか良く判らない笑顔が印象的だった。
「ありがとう……葵、もう大丈夫だよ」
「だいぶ落ち着いたな」
「あ……あの、おかげさまで」
俺はユリを撫でる手を止めて制服のズボンからハンカチを取り出しユリの涙で濡れた目元と血で汚れた口元を良く拭いてあげる。
「はい、綺麗になりました」
「あの……本当にごめんなさい。 私の所為で遅くなっちゃって」
「気にして無いよユリの面倒が見れて嬉しいくらいさ」
「そう言ってくれると嬉しい」
ユリに笑顔が戻った瞬間少し気になる事を見つける。
誰だって笑顔を見せれば歯が見えるが吸血鬼の特徴の一つである地味に長く鋭い犬歯の片方が不自然に折れていたのだ
「ユリ……犬歯が片方折れてるけど痛く無いのか?」
「うん、平気かな……中学生の時に金属バットで殴られただけだから「気持ち悪いんだよ!」って、だから大丈夫だよ♪」
ユリは笑顔で応えるが聞いた俺の方が辛かった。
きっとユリにとっては気の遠くなるような三年間だっのだろうと想像するだけで心が痛い。
感傷に浸ってるとユリが立ち上がりベッドから降りて俺に手を差し伸べた。
「帰ろう葵。お日様沈んじゃったよ」
「ああ、そうだな」
俺に差し出されたユリの手を掴むと体がふわっとして一瞬で立ち上がれる。
そしては福山先生の部屋を出るとユリはエレベーターの方に向かうが俺はそれを全力で阻止しなければならない何故ならエレベーター内でユリ以外の事情を知らない人間に出くわせば大変な騒ぎになりそうな位に血塗れたワイシャツを着ているので見られるのは非常に宜しく無いのだ。
「あのさ、ユリ……この状態を他の人に見られるのはちょっとマズいから非常階段で移動しないか?」
「ごめん葵ぜんぜん気にして無かった」
俺はユリの言葉に苦笑してしまう。
そして、意見を聞き入れてくれたユリは先導し手招きをしてくれた。
「葵、こっちだよ」
案内の通りにユリの後ろについて行く直ぐに四階の非常階段へと辿り着くが扉には『解放厳禁』と書かれていて鍵がかかっていたのだが……。
「あけちゃおっか!」
「まずくないか?」
「へーきだよぉ」
ユリは非常階段の扉の鍵をあけてしまう。
「あーけちゃった」
「共犯だな」
扉を開けて非常階段に出るとすっかり日が暮れて辺りは暗くなっていた。
早速階段を降りるために歩き出すとワイシャツの右腕の袖が引っ張られた。
袖を後ろを見てみるとユリの仕業だと言う事が直ぐにわかる。
気になって振り返り「どうしたの?」と聞いてみるとユリは急に頬を赤く染めて上目遣いで見つめてきたのだ。
「葵、あのね…いっ、嫌じゃ無かったら一緒に帰りたいなぁなんて……」
「嫌じゃないよ」
「帰ろうっか葵!」
「お腹も空いたしな」
「うん♪」
帰る算段を纏めた俺達は人目を忍んた非常階段を降り始める。
地上をめざして数分後。
俺はいつも通りのトラブルに見舞われる事になってしまう。
しかもユリを巻き込んで……。
階段を降りている真っ最中の出来事だ
突然に俺の頭上から何者かの声が響き渡る。
『人の子のクセに良い匂いだな俺の事、誘ってんのか?』
恐らく規格外の人間にしか聞こえない妖怪の声だ。
粗方、俺のワイシャツに染み付いた血の匂いに釣られて来た輩だろうか恐る恐る上を確認してみると赤黒い太い尻尾のついた異形が病院の外壁を四つん這いで這いずり回っていた。
しかも大きくてその辺の雑魚とは違う雰囲気だ。
『お前、俺達の事みえるんだってなぁ。 おい……無視すんなよ気にいんねぁ』
俺は何時の間にかユリの手を掴んで彼女の耳元で小さく「逃げるぞ」とそれだけいって走り出した。
「葵?」
ユリは妙に焦ってる俺を不思議そうに見つめるが無理も無いだろう。
今の状況を理解出きるのは俺だけなのだから……。
『どこまでも逃げるが良い必ず食ってやるぅ!』
俺がユリの手を引いて四階から一階へ一気に駆け降りると病院の外壁にへばりついている赤黒い妖怪も俺達を追って来た。
図体がでかい分、歩幅が大きく足を止めると直ぐにでも追いつかれそうな勢いだ。
『大人しく喰われちまえよ人間、俺様に喰われるんだ光栄だろう?』
もちろん対策が無いの訳じゃあ無い。
それに喰い殺される義理もユリを殺させる訳にもいか無いので俺は人のいない場所、街の裏通りを抜けて通学路から少し離れた場所にある、まだ鉄骨だけのビルの建設現場へと走ると何時の間にか妖怪の気配は宵闇へと消えていた。
「はぁ、はぁ、撒いたか?」
俺は酷く乱れた呼吸を懸命に整えるがユリは何事も無かった様にケロッとしている。
「葵、急にどうしたの撒いたって、もしかしてストーカーさん?」
「ああ、すぐに襲って来る質の悪いストーカーだよ。」
妖怪の気配が消えてから数分。
俺は不意に考えてしまう。
もし気配が消えたのでは無く己の意志で消していたとしたらと……。
そんな疑問が脳裏を過ぎった時だ俺は突然あの赤黒い妖怪の両手に鷲掴みにされてしまう。
「うおッ!!!」
「葵ッ!?」
『くくく……悪いな小僧。あまりにも逃げるから気配を殺させてもらったよ。 だが安心しろ暇つぶしに散々(さんざん)、痛ぶってから喰ってやる』
「くそがぁ……がはッ!」
しかも巨体なだけあって握力は異常なくらい強く拘束されたままの俺の身体が締め付けられる様な痛みで悲鳴を上げていて今すぐにでも窒息しそうな勢いだ。
「ぐうぅッ……」
そして視界が霞んで意識が飛びかけた瞬間、俺の耳に信じられ無い様な言葉が飛び込んできた。
「……なせ………」
『ぐははは! 愉快だ、もっと苦しめ人の子よぉ!』
朦朧としか見えなかったがユリは地面に転がっていた鉄パイプ徐に拾い上げる。
「その手を離せええええええええええええええええええええええッ!!!」
それは突然の出来事だった。
妖怪が見える筈の無いユリが急に声を張り上げて突っ込んで来たのだ!
「やめろ、ゆりぃ……かはッ」
ユリは赤黒い妖怪に全力疾走で急接近して距離を詰めると拾った鉄パイプを逆手に持ち替え勢い良ぐ跳躍すると飛び上がった彼女は落下の重力を利用して妖怪の顔面に目掛けて逆手に構えた鉄パイプを妖怪へと突き立てる。
ぐちゅッ!!!
『ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!!』
驚いた事にユリの鉄パイプは赤黒い妖怪の右目に突き刺さり奴は片目を押さえて眼球を潰された痛みに激しく悶え始めたために俺の体が解放されて自由になった。
俺は財布の中に何時も忍ばせてある三枚の御札を取り出し、その内の二枚をズボンのポケットにしまうと俺も地面に転がっていた鉄パイプを拾い上げて妖怪から距離を取ると、とある陣を地面に刻み付けるように描き出す。
その陣は直径1メートルくらいの物で妖怪を追い払う為の退魔の陣と呼ばれるものだった、もちろん見えない人にはただのミステリーサークルにしか見えないものだ。
俺は数分で陣を完成させる事が出来た。
まだ建設現場の地面がコンクリートで舗装される前だったのが不幸中の幸いかもしれない。
もし完全に舗装済みの地面だったらと思うと少しぞっとする。
陣が完成した時だ気が付くと隣でユリが息を切らしながら話しかけてきた。
「コレが葵の見て来た世界なの?」
「ああ、悪いな変な荒事に巻き込んだりして」
「お化けとか夢物語だと思ってた」
「出来れば、そうだと願いたいけど……ユリはいつから見えてたの?」
俺は率直に気になった事を聞いてみる。
「葵の血を飲んだら福山先生の部屋で女の子の泣き声が聞こえて来たのが始めで、その後に非常階段を降りてる最中に病院の外壁に変な影が見えた気がして気になっていたら突然、葵が空中に浮いて苦しみだしたと思ったらその原因がはっきり見えて葵を放って。置けなかった」
その話を聞いた瞬間、俺は己の血液を摂取すると妖怪や幽霊が見えてしまうステキ機能があると言う凄い事実が判明してしまったのだー……というのは後で騒ぐ事にした。
なぜなら今は目の前で眼球の痛みに悶え苦しむ食欲旺盛な妖怪を何とかし無ければならないからだ。
また逃げて家まで来られたらたまったもんじゃ無いハッキリ言って迷惑極まりないから俺は安全な帰り道の為に今ここで追い払った方が良いと思った。
「ユリ、悪いなまだ帰れそうに無いかもしれない……」
「平気だよ家に帰ったて誰も居ないからこのまま、ずっと葵と一緒に居ても良いくらい」
その言葉を聞けた俺は少しだけ安心したが安心したのと同じくらい恥ずかしくなってしまい咄嗟にユリと合わせてた視線を妖怪の方に逸らすとユリはその様子を見逃さなかった様だ
「ときめいてくれた?」
「ああ、困った事に今すぐにでも口説かれそうだよ」
「じゃあ、あのお化けを追い払ったら葵の事、口説いても良いよね……」
ユリの言葉がかなり気になったが時間がそれは許さないようだ。
先ほどまで痛みに悶えていた筈の妖怪がが此方に向かって突然、突進を仕掛けてきた。
『絶対、許さんぞ人の子よおおおおおおおおッ!?』
するとユリが再び建設現場の地面にに落ちている鉄パイプを拾って構えたユリは「葵は私が守る!」と言って再び突撃を始めてしまったのだ。
でも俺はとしては陣の中心に妖怪を誘いこんで撃退する作戦を考えているのでの下手に突撃されると非常に困る俺は慌ててユリへ、がしっと抱きついて無理やり突撃を止めさせる。
因みにユリは力がありすぎて、これぐらい強く引き止めないと止まらない暴れん坊のようだ。
「ちょっと待ったユリは行かなくて良いからッ!?」
「ひゃあッ!? 葵、だめぇ! こんな所で触っちゃぁ!!!」
慌てて抱きついてどこを触ったのかも分からない俺は罪悪感に塗れながらも強引にユリの突撃を阻止した俺は彼女の持っている鉄パイプを拝借し鉄パイプを赤黒い妖怪へ投擲すると四つん這いで此方に向かって来る赤黒い妖怪の右腕に鉄パイプの先端が上手く命中すると鉄パイプの先端で風の抵抗を受けながら一緒に飛んで行った御札が妖怪の右腕に張り付くと突然『バチンッ!?』と青白い閃光が瞬いて赤黒い妖怪が前のめりに転倒した。
『うおぉッ!?』
テンションの上がった俺は右手をパチッと鳴らして赤黒い妖怪に大声で挑発を始める。
「どおした妖怪ッ!?それでお終いか?」
『貴様ああああああああああああああああああああああああああああッ!?』
御札の効果が薄かったのは残念だったが、どうにも短気な妖怪の様で俺の挑発には簡単に乗ってくれたのか再び叫びながら一直線に突っ込んで来てくれたので俺はユリに離れてくれと伝えた。
「ユリ、少し離れてくれないか?」
「葵は?」
「俺なら平気だよ……だから少し下がって」
「うん、わかった」
俺はユリの頭を軽く撫でるとユリは何故か納得して離れて行くのを見届けると赤黒い妖怪は何時の間にか物凄い迫力で眼前に迫っていたので俺は御札をポケットから素早く取り出し右手、親指の指先を噛み切って少しだけ流れてきた血を御札の表面にサァッと塗るとそれを構え眼前に迫った妖怪が俺の描いた陣を踏んだ瞬間に俺は自分の血を付着させた御札を足元の陣へと貼り付けた。
「帰れ妖怪、お前の居場所は此処じゃ無いッ!?」
あまりにも至近距離だったので噛みつかれると思ったが、どうやら退魔の陣の発動が先で奴の牙が俺に触れる事は無かった。
なぜなら狙い通りに赤黒い妖怪が俺の陣に拘束されたからだ。
そして陣が妖怪を拘束すると突然、陣全体が光を放ち無数の閃光が妖怪を貫いた。
『ぬぅがぁぁぁぁぁッ!?光が私をおおおおおおおおおおおおおおッ!!!」
陣の胸、腹、腕、足、頭、首、尻尾、体の至る所をを串刺しにされた妖怪はショックと鋭い痛みで地面に崩れ落ちる様に倒れこみ全身が訴える苦痛にもがき苦しんで血反吐を吐いた。
『がはぁッ!!!』
「悪いな妖怪……ここで喰われるつもりは無いんだ」
決着がついたようにも見えたが妖怪もまだ潰れるつもりじゃ無いらしい。
『許さんぞおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!!』
妖怪は咆哮を放つと後ろ足だけで立ち上がり突然、頑丈な腕を振り回して退魔の陣を破壊するかのように暴れだし、その強靭な爪が御札と陣を引き裂いてしまう。
陣が破壊されたせいで妖怪の体に自由が戻ってしまい俺は奴の反撃を喰らう事になる。
「葵、逃げてぇッ!?」
「無理だッ!?」
妖怪が腕を振りかぶり凄まじい勢いで、その巨大な拳が今まさに叩き込まれようとした時だった。
何の予兆も無く振りかぶられた妖怪の腕が何者かの鋭い一閃によって解体されてしまう。
『私の腕がああああああああああああああああああッ!!!』
『なんだい、お前の血の臭いがすると思って来てみれば随分ボロボロじゃないか、なんならシュークリーム三つで追い払ってやろうか?』
一帯、何が起きたのか分らなかったが良く目の前を確認してみると俺の目の前にはユリよりも長い黒髪を風になびかせ漆黒の帯で血のように紅く鮮烈な着物を着付けて身に纏い血に濡れる日本刀を八相の構えと呼ばれる、いわばバッティングフォームの様な構え方で妖怪を睨む妖怪の姿があった。
「弥生じゃないかッ!?」
『……で、くれるの?くれないの? まぁ、無いんなら帰るけど……』
と言って弥生は日本刀に付着した血をふき取って鞘に納めようとしたので俺は慌てて納刀をひきとめた。
「わかったッ!コンビニので良ければ奢るから!?」
慌てた俺を見た弥生は笑いながら日本刀を構える。
『そう来なくっちゃね♪ じゃあ悪いけど消えてもらうわね中級さん?』
『誰が中級だあああああああああああああああああッ!?』
彼女が薄く微笑むと弥生は既に妖怪の懐に飛び込み残酷なほど強力な一閃で、あの妖怪を薙ぎ払っていた。
『があああああああああああああああああああああああああッ!!!』
弥生の一撃をもろに喰らった妖怪は地面に再び崩れる様に倒れると黒い影の塊とって蒸発してしまう。
俺とユリは弥生の放つ美しくも力強い一閃に目を奪われてしまった。
『やれやれ……とんだ雑魚だねぇ』
妖怪を始末した弥生は日本刀についた血を処理して鞘へと納めた。
「ありがとう弥生、助かった」
『礼はどうでも良いから早くコンビニへ行くぞ。こっちはシュークリームが待ち遠しいんだ!』
「ああ、わかってるよ」
妖怪を退治して貰った後の事だ俺とユリは騒ぐ弥生を落ち着かせる為にシュークリームを近くのコンビニへ買いに行く事にした。
俺は、たまに弥生を見ると心の中で時々思う「お前本当に妖怪なのか?」と……。
「悪いな、ユリまだ帰れそうに無い」
「いいよ、気にしないで葵と一緒だと楽しいから。それよりも賑やかな夜だね……」
「同感だな」
『おーい、置いてくぞ?』
「人臭い妖怪だな弥生は」
『なんか言ったか?』
「何でもないよ」
そう……心の中で突っ込みを入れつつ俺達は歩き出した
この作品を偶然、読んじゃった読者様へ感謝を・・・。
いろいろ勝手に精進します・・・うん。
とにかく頑張ります! よろしくです!