第一話『願いは原動力に』
「つーことで、アンタをここに呼んだってわけ」
突如何もない空間に呼ばれた俺は、そこで出会った美女に掴みがたい規模感の話をされた。そう、女神同士の魔王討伐争いの話だ。
「分かりましたが、それだと僕たち人間にあまり特がないような……」
「あー……ちょいまち。もしもしチルコ〜」
"もしもし"と言っているが、電話を使っている様子はない。何をしているのかと怪訝な顔で見ていると、
『もっしーエネジア』
どこからか別人の声が聞こえてきた。恐らく『チルコ』と呼ばれる人の声。また、目の前にいる美女が『エネジア』と呼ばれることも分かった。
「あのさー、ウチの選んだ地球人にゲーム説明したんだせどさー、『それ俺に得なくね?』って生意気言われてさー、マジどうしよー」
『私は、"勇者になったら何でも願いを叶えたげる"って言っといたよー』
「「そんなことできるの!?」」
俺とエネジアの声が重なる。
『うん、最高神様にアポとったら"一個くらいなら叶えられる"ってさ。つっても、あんまり人間に干渉しすぎるのは神界のルール違反だから、勝者一人の夢かつ世界が揺らがない程度が条件ってワケ。ってことで私は用事があるからバイバーイ──』ツー、ツー、ツー。
「ってことなんだけ……」
「──参加します」
「え? マジ? いい意味でマジ?」
「その代わりに一つ頼み事があります」
「な、なに」
「一度家に帰らせてください。どうしてもしておきたい事があるので、明日のうちに済ませます。日付が変わったらもう一度お呼びください」
「え、えぇ。そのくらいなら」
「ありがとうございます」
「じゃあ、あなたを送り返す準備を始めるわ」
激しい白光が身体が覆い始める。
「女神様」
「今度は何よ」
「僕は『白津目 葉月』といいます。魔王を倒して妹の病気を直したい、何より貴女を勝たせたい」
「ふんっ、ウチは原動力の女神『エネジア』。アンタを『勇者』にしたい、何よりそれによって誉だかき最高神の嫁になりたい。いい? 私はお世辞が嫌いなの」
「重々承知致しました」
「よろしい」
白光が完全に俺を覆い──そして俺は現世に送られた。




