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10

201:クレイ

お前、そんな夢見てたのかよ

あ、たまに魘されてたのそれか!


202:フィリップ

まぁ、うん

ウカノ兄ちゃんとミタマ姉ちゃん

あとフェイ兄ちゃん、カイ兄ちゃんは知ってるけどな

14歳かそこらの時にミタマ姉ちゃんに相談したら、災害の時の記憶だろうって言ってた

ミタマ姉ちゃんから他の兄ちゃん3人にこの事が伝わったって感じ


203:名無しの異種族

なるほどな


204:名無しの異種族

救助が来なかったってのは?


205:考察厨

あー、あったな16年前にとある山間にある農村がスタンピードに巻き込まれた

村民の大半が死亡

災害対策本部は、すぐに立ち上げられたものの、対策本部の名前を何にするかってので和気あいあいと話し合いが行われてて、救助が遅れたんだ

事態に気づいた当時の王様が、鶴の一声で救助隊を派遣した

でも、救助隊が到着した時には色々手遅れだった

大人たちはほぼ全滅

生き残ったのは、17歳前後の、ついこの間まで子供だった青年たち

そして、その青年達が守った当時15歳以下の子供たちだった

流石に、この時の初動の遅さは問題視されて

関わってた貴族が何人か更迭され、失脚した


206:名無しの異種族

あ、あー、覚えてる

青年たちが、虚ろな目で大人たちの墓穴を掘ってる写真が新聞に載ってたの覚えてる


207:名無しの異種族

そんなことが、あったのか

でも、そんなある意味大事件は歴史に残りそうなのに


208:クレイ

記録にすらほとんど残されてないんだよ

せいぜい、当時の新聞くらいか

その新聞も王都で凄惨な事件が起きると同時に報道をやめたらしいし

田舎の農村の人間の命なんて、そんなもんなんだよ

そして、記憶は薄れるし忘れる

いや、だいたいの人間なんてそんなもんか


209:名無しの異種族

でも、矛盾ってのは??


210:考察厨

ほかの奴も書き込んでるが

本来、スタンピードが起きた時の被害って

人も建物のもぐちゃぐちゃになるもんなんだ


211:考察厨

でも、フィリップの記憶が正しいならそうなっていない

被害者の死体も建物も、ぐちゃぐちゃになっていなかった


212:名無しの異種族

つまり?


213:考察厨

スタンピードで村が滅んだってのは、マユツバかもしれないってこと


214:名無しの異種族

嘘ってことか


215:考察厨

そして、その嘘に

少なくとも村の生き残った青年達と、国の上層部が関わってる可能性がある


216:名無しの異種族

なんで上層部?


217:特定班

現時点の情報をまとめて整理すると

情報操作が行われてる可能性が高いんだよ

嘘ってのはそのこと


218:名無しの異種族

なるほど


219:名無しの異種族

じゃあ、村の大人たちはスタンピード以外の何かで命を落としたってことか??


220:考察厨

その可能性は高い

まぁ、建物が綺麗だったってのと

外傷のない死体がある点で妄想するなら

毒殺の可能性があるな


221:特定班

なぁんか、裏がありそうだな

ちょっと楽しそうだし、調べてみるかな

(。-∀-)ニヤリ


222:名無しの異種族

あのさ、村の青年たちが、ってことはないかな?


223:出稼ぎ農民

ウカノ兄ちゃんが村の大人たちを殺したっていいたいのか??

そんなことするわけないじゃん


224:名無しの異種族

いや、そうは言うけど

状況がさ


225:クレイ

それはないかなぁ

状況はたしかに、そうなんだけど

俺は当時のこと覚えてるから言える

災害が起きた時の、ウカノ兄ちゃん達の慌てようは演技でもなんでもなかった

それだったら、俺はウカノ兄ちゃん達にも不信感持ってる


226:名無しの異種族

あ、そうか

クレイは当時のこと覚えてるのか


227:考察厨

……ところで、まだ、20階層には着かないんだよな?


228:クレイ

まだだなー


229:出稼ぎ農民

今、9階層目


230:考察厨

じゃあ、まだ雑談できるな


231:名無しの異種族

いや、話の内容が雑談のレベルじゃないからな

Σ\(゜Д゜;)


232:考察厨

まぁ、そうだけど

でもさ、気になるんだよなあ

俺が知ってる情報は、情報操作されたやつだし

当時、出稼ぎ農民達の生まれた村で、なにが起きていたのか、知りたい


233:クレイ

なにがおきてたのか、ね


234:考察厨

どうせ、隠密部隊の方も殺意が無いなら

ダンジョン探索を邪魔してはこないだろ

だから、ある種の暇つぶしだよ

20階層に着くまでの暇つぶしだ


235:クレイ

>>234

アンタに話せば、ある程度は当時のことが分かるかもしれないって??


236:考察厨

あくまで、考察という名の妄想をするだけだ

正解かどうかは、当時を知る【ウカノ兄ちゃん】とやらに聞けばいい


237:考察厨

そんなわけで、この場でおそらく唯一当時の現場のことを知ってるクレイに聞く

ウカノ兄ちゃん含め、生き残ったであろう青年たちは

災害が起きた時に慌ててたってことでいいんだな?


238:クレイ

まぁ、たしかに暇つぶしにはなるか

ただ淡々とダンジョン内を進むよりはいいな


239:クレイ

>>237

夜中だった

誰かがウチに来たんだ

それで、兄ちゃんが慌てて玄関に出た

兄弟姉妹全員で雑魚寝してたから、ウカノ兄ちゃんが起きだしたのがわかったんだ


240:クレイ

それに続く形で、たしかミタマ姉ちゃんとフェイ兄ちゃんも玄関に行った

それで来客と話をしたんだ

で、ウカノ兄ちゃんが、俺たちを起こせって怒鳴った


241:出稼ぎ農民

ウカノ兄ちゃん、怒鳴ることあるんだ

∑(゜Д゜)


242:クレイ

そしたら、なにがなんだかわかんないうちに

俺たちは外に出て、そのままミタマ姉ちゃん達に手を引っ張られて家から離れた

それで、あれ?

それでどうなったんだっけ??


243:名無しの異種族

ん?


244:名無しの異種族

覚えてないのか??


245:クレイ

シンが、弟が、ギャン泣きして

ミタマ姉ちゃんとマリア姉ちゃんがそれをあやしてて

それでも、どこかに向かって歩を進めてた

でも、どこに向かってるかはわからなかった

それで……んー???

思い出せない


246:名無しの異種族

まぁ、古い記憶だし

子供心にはかなりショッキングな内容だからな

忘れたりしてても不思議じゃない


247:クレイ

あかい、華が咲いたんだ


248:名無しの異種族

あかいはな??


249:考察厨

移動した先で、赤い花が咲くところを見たってことかな??


250:クレイ

月がきれいで

饅頭みたいにまん丸で

そしたら、あかいはなが目の前に広がった気がする


251:名無しの異種族

????


252:名無しの異種族

意味がわからん


253:クレイ

声が、聞こえた気がする


254:名無しの異種族

声?


255:考察厨

それは、誰の声だ??


256:クレイ

わからん

思い出せない


257:クレイ

ただ、気づいたらお日様が昇ってて

俺たちはどこかの家で寝てた

実家じゃない

別の家だったはず

でも、ウカノ兄ちゃんはいなくて

俺は探しに行った

兄ちゃんの名前を呼びながら、家を出た

シーンとしててさ

あの時間なら、誰かしら畑や田んぼに行ったり帰ってきたりしてるはずの時間なのに

本当に誰もいなかったんだ

そしたら、村の、1番外れの場所で大人たちが寝転んでた

大人たちは、布団を被って寝てたんだ


258:名無しの異種族

>大人たちは布団を被って寝てた

これ、アレだろ

遺体に目隠しとして布団被せておいたんだろ


259:クレイ

>>258

今だから、そうだったってわかるけど

俺は外で布団敷いて寝てるだけかと思ったんだ


260:クレイ

そのすぐ近くで、ウカノ兄ちゃんと今でも時々家に遊びに来る兄ちゃんの友達

あと、同じ村の他の家の兄ちゃん、青年たちが黙々と穴を掘ってた

ウカノ兄ちゃんの友達が、俺に気づいて

ウカノ兄ちゃんへ何か言った

そしたらウカノ兄ちゃんが俺を見たんだ

ウカノ兄ちゃん、ぼろぼろ泣いてた


261:クレイ

そんなウカノ兄ちゃんを見たのは初めてでさ

それだけじゃなくて

ウカノ兄ちゃん、俺を見るなりこっちに走ってきて

俺の事抱きしめたんだよ

ぎゅうって、めっちゃ強く抱きしめたんだ


262:クレイ

それで、何度も何度も


よかった

ごめん

俺のせいだ

ぜんぶ、俺が悪いんだ


って繰り返してた

泣きながら繰り返してた

抱きしめてくる兄ちゃんは、ほんとに見たことないほどに震えてたのを覚えてる


263:考察厨

それから??

どうなったんだ??


264:クレイ

俺はなにがなんだかわからなくて

されるがままだった

でも、ふと兄ちゃんの友達を見たら

物凄く複雑そうな顔で、兄ちゃんの友達は俺を見てた

目が合うと、兄ちゃんの友達は悲しそうな表情を浮かべて

視線を逸らした

でも、今度は、たぶんウカノ兄ちゃんに向かってこう言ったんだ


「そうは言うけどな、今度はちゃんと守れたじゃないか」


って

でもウカノ兄ちゃんは首を横に振った


「守れてない。

結局、同じことを繰り返しただけだ。

俺は、なにも守れなかった」


「そう言うなよ。少なくとも最善のことはしたんだからよ。

お前の弟妹(きょうだい)は生きてる。

そうだろ?」


俺には、その会話の意味がわからなかった


265:クレイ

そんで、俺は、たしかこうきいたんだ


「お母ちゃん、どこ??

お父ちゃんとじいちゃん、ばあちゃんもどこ??」


ってな

そしたら、ウカノ兄ちゃんは言葉が詰まってなにも言ってくれなくなって

代わりに兄ちゃんの友達が


「んー、皆してちょっと遠出したみたいなんだ。

お空の上に遊びに行ったんだ」


なんて言ってきた


266:名無しの異種族

かなり言葉を選んでるな

でも、嘘はついてない


267:クレイ

俺はさらに聞いた

それも駄々を捏ねてな


「ズルい!

俺も遊びに行きたい!

お母ちゃんたちはいつ帰ってくるの!?」


兄ちゃんの友達は困った顔をして、こう返してきた


「いつだろうなぁ。

ちょっとわからないや。

とりあえず、お家で他の兄ちゃんや姉ちゃんと待ってようか」


268:名無しの異種族

まぁ、妥当な返しだな


269:考察厨

それで??


270:クレイ

兄ちゃんの友達が、俺を寝てた家に連れていこうとしたんだ


「ウカノ兄ちゃんは、大事なお仕事があるから。

今は家に戻ろうなってな」


俺はまた駄々をこねた

でも、強制的に寝てた家に戻された

ミタマ姉ちゃんとフェイ兄ちゃん達も起きてた

兄ちゃんの友達は、俺の事をフェイ兄ちゃんに預けると

ミタマ姉ちゃんと一緒にどっか行った

ついて行こうとしたら、また兄ちゃんの友達が、


「とっても大事な話をしなきゃいけないんだ」


って、今度はかなり強い口調でいってきた


271:クレイ

その後、二週間後に救助隊が来た

それまでの二週間は兄ちゃんたちが試行錯誤してくれて、なんとか生活してたんだ

幸い、畑は無事だったし

肉類は、近くを飛んでるドラゴンを狩ることで確保してた


さて、俺が覚えてるのはここまでだ

どんな考察を聞かせてくれるんだ??


272:名無しの異種族

二週間?!


273:名無しの異種族

そんなに掛かったのか


274:名無しの異種族

でも、自給自足でなんとかなった、と


275:名無しの異種族

なぁ、疑問なんだけど

誰が災害が起こったことを王都の貴族達に伝えたんだ?


276:考察厨

>>275

村と取引があった農業ギルドだよ

たまたま職員が村を訪れてて、通信魔法を使って災害が起きたことを農業ギルドへ伝えたんだ

農業ギルドは、緊急性があると判断して王都の貴族たちへそのことを伝えた


277:名無しの異種族

でも、動くのに、いや救助隊が来るのに二週間かかった、と


278:考察厨

農業ギルドはだいぶせっついたらしいけどな

でも、貴族達は中々重い腰を上げなかったって話だ

スタンピードっていっても、せいぜい畑がやられただけ

人的被害はそこまでじゃないと判断されてたらしい

救助隊が来るまで二週間かかったのには、他にも理由があった


279:クレイ

そうなのか?


280:フィリップ

そんなの初耳なんだが


281:出稼ぎ農民

救助に時間がかかった理由って??


282:考察厨

物理的にも魔法的にも、村は外界から閉ざされていたんだ


283:名無しの異種族


284:名無しの異種族

物理的にも、魔法的にも??


285:名無しの異種族

どゆこと??


286:考察厨

村に続く主要な道は、倒木があったり崖崩れがあったりして通れなかった

これが物理的な理由


287:名無しの異種族

じゃあ、魔法的な理由ってなに?


288:考察厨

魔法が使えなかったらしい


289:名無しの異種族

え?


290:名無しの異種族

はい??


291:名無しの異種族

そんなことあるの??


292:考察厨

本来なら、そういった倒木や崖崩れは魔法でなんとかするんだ

でも、魔法が全く発動しなかったらしい

当然、転移魔法も飛翔魔法も使えない


293:考察厨

救助隊は地図と方位磁石を頼りに、山の中をさまよい歩くこととなったんだ

結果、途中途中でモンスターと遭遇して消耗していくことになる

ようやく村にたどり着いた時には、二週間が経過していた



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